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第二十四話 ダルそうな任務


「ルナ先輩、寄り道してもいいでしょうか?」


 ナギは、ルナとの任務帰りにそう言った。


「なんで?ナギは、直帰宅する性格じゃねぇか」


 怪訝そうな顔で見るルナを横目に、帰宅の道の方向とは大それた道に進む。


「少し気になっている寄りたい場所があるので」


 淡白に話した。


 ルナは、ナギが初めて魔剣士に所属した頃からの付き合いであり、ナギの事はよく知っていた。


 最初はいつも真顔で、生意気なガキだと思っていたが違った。


 ナギは、魔物に家族を殺され、魔王に復讐をする為に、魔剣士をやっている事を知った。


 きっと、家族を殺された事で笑顔を消したのだろう。


 仕事とならば、人一倍に真面目に頑張っている。


 休日は、マンションのベランダでコーヒーを飲んで、何かを考えてる。


 そんなナギが行きたい場所があると言ったのだ。


 ちゃんとした理由があるのだろう。


 ルナは承諾した。


 商店街を抜け、薄暗くネズミが1匹2匹ゴミ箱の裏から出てくるような裏路地を抜け、住宅街に入った。


 そして、ナギが足を止めた場所は、ボロアパートであった。


 今にも朽ちそうな木柱が、何とか2階建を保ち、塗装の剥げた外壁には傷跡が不規則に走っていた。


「2階です」


 ナギは軋む階段を登り、やけに騒がしい部屋にノックをした。


「ここに何に用だ?」


「様子を見に」


 すると、可愛らしい少女が笑顔でドアを開け出てきた。


「あ!ナギさん来てくれたのですね!!兄も随分と良くなりましたし、他の兄弟達も楽しそうです。本当にありがとうございました」


「それは良かったです。今日は任務帰りで、手土産の一つもありませんがその調子なら、もう心配は要らないようですね」


 ここは笑顔で言う所だが、ナギは表情筋の使い方を忘れ、真顔なままである。


 後ろにいる兄弟達も笑顔で、こちらへと手を振った。


「この人達とナギはどんな関係なんだ?」


「レベル3の任務にレベル5の魔人が出てきた任務の時に、助けた人の家族です」


 アレンが死んだと片付けられたあの任務である。


 工場から抜け出す際に、助けた人が兄だったらしく、致命傷な傷を負っていなかった為治療で回復したのだ。


 この家では、両親を事故で失い、4人兄弟で兄の収入源を頼りに生きていた。


「うわー!お兄ちゃん来てくれたんだ。はよ来い!!」


「早く来てー!遊ぶぞ!!」


 小さい子供がナギの足の服を引っ張る。


 こう言うテンションについていけないナギは、少し戸惑いながらも部屋へと連れられて行った。


「ナギさんの連れさんも入って下さい。お飲み物は、あるので」


 部屋の中は、ボロアパート同様、ボロくお世辞にも良い環境とは言えない場所であったが、それを打ち消すくらい楽しそうな家族であった。


 ベッドに横たわる兄も、子供達の元気で大きな声を聞いても不快ではないのだと言う。


 逆に、聞いてるだけで元気になって、傷ついた体も回復していくのだそうだ。


 すると、兄は、ナギの手を両手で握り、助けてくれてありがとう....その上に援助までありがとうと泣き付いていた。



 ナギとルナは、アパートから魔剣騎士団本部へと帰っていた。


「付き合ってくれてありがとうございます」


 ナギは感謝の意を伝えると、ルナはニッと笑う。


「いや、良い。ナギは、意外にもそう言う所があるから嫌いじゃねぇ」


 ルナは男勝りな所があり、余計な事を言いつつもナギを褒める。


「俺は、そんな人じゃないですよ。唯の罪滅ぼしです。俺は、任務の時、あの家族の兄はおろかその他の人も見捨てようとしてしまいました。ですが、アレンによって、気付かされました。どんな人でも愛している人達がいると。俺の家族は魔物に殺され、魔王に復讐する為に頭を裂き取捨選択をし、救えないと思った命は捨てていました。だけど、きっと生まれた場所、環境が違っただけで俺もその人達と同じ人間なんだって、そう思えてきたんです」


「そっか。気持ちの変化的なのがあったんだな。まぁ私は、ナギとは違う理由で魔剣士に所属にしたが、何か守るものがある奴は強いぜ」


 ルナは、親指で背中を指して、胸を張った。


 その後、ナギとルナは、魔剣騎士団本部へと着き、トレーニング場にへと足を運んだ。


「ちょ!もう無理ぃいいいいい!!」


「まだまだぁ!」


「あと30分」


 ラインが練習疲れにより根を上げたが、デルバとタバナが容赦なく追い込みをする。


「受けないと竹刀当たっちゃうぞー」


「当たったら、いった〜い怪我で一日中狼狽えるよ」


 デルタとタバナが脅しながら、練習を辞めさせない。


「ナギィイイイ!!お前も参加しろぉおおお」


 ラインは、ナギが魔剣騎士団本部に到着した事が分かり、指を指して叫んできた。


 2人で剣を受ければ、使う体力も半減すると考えたのだ。


 でも、ナギにその練習は必要はないのだ。


「遠慮しとく」


 ナギは一瞥した。


「おーい、あんた達!任務があるから、こっちへ来て」


 そう呼ぶのは、魔剣騎士団関係者のレアスと言う女性だ。


 朱色の和服のような服を着飾っていて華やかである。


 レアスは、主に任務を誰に回すかなど色々管理している。


 ラインは、練習を辞める口実ができ、目を光らせレアスの元へと駆け寄る。


「で?今回に任務は何ですか?」


「今回の任務は、魔薬、魔道具などを流通させる違法組織を壊滅させる事。で、その任務に行くのは、デルバ、タバナ、ナギ、ラインそしてあともう1人は内緒。頼める?」


「はい!」


「うい」


 と一斉に声を上げる。


 ルナは少し不満げな顔をしていた。


「ね!あと1人って誰!?ね!!」


「教えないと言ってるでしょ!全く....」


「レアスさん、こんな大人数で行くと言う事は、その組織とやらは規模がデカいのでしょうか?」


 ナギは、そう問うた。


 確かに、通常の任務ならば、2〜3人で行く。


 それに通常任務を1人でも熟せる先輩が2人同行となると、異質ではあった。


「そうね。コレは、街ぐるみで行われている違法取引の温室。大規模な戦いになりそうなのでこうしたわ」


 レアスさんは目を細め何か嫌な未来でも見通しているのかようだった。


「よっしゃ!初めての大きな任務ね。どんと任せなさい」


 ラインは胸を叩きそう言った。


「ダルそうな任務....」


 デルバは少し落ち込む。


 ナギは、あと1人が誰なのかを察していた。


 右の口角をあげフッと笑う。


「うわー!ナギ今少し笑ったよね?今笑ったよね!?」


 ラインがだる絡みを始めた。


「ナギも笑うようになったのよねぇ」


「あら、素直に育っちゃって!」


 デルバ、タバナも悪ノリを始める。


 ナギはそれに苛立ち


「黙れ」


 と一喝した。


 そうして、任務先が決まったのであった。

 

 

区切りが良いので、ここで区切らせていただきます!!

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