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第十七話 魔人のフェアン

「や!白龍魔剣士!!」


 フェアンは嬉しそうに手を振った。


「....何で?」


 アレンの心は、ぐちゃぐちゃに引き裂かれていた。


 初めて出会ったダチの暴走。


 そして死。


 ラリの死の悲しみはいつしか、怒りへと変わり理性をも飲み込んだ。


「ああ、ラリはね、どっかで利用できないかな?って思って育ててたんだよ。そして、記憶を無くさせ、後で思い出させる。結果、今がある。感謝してるよコマとして」


 魔人は、知性を持った猛獣。


 人間と似てて、遠い存在。


 コイツらは、人間をコマとして、食物としてしか見ていないのだ。


 アレンもそれを思い知らされる。


「そうか、そうだよな。やっぱお前らは、人間の皮を着た猛獣で本能でしか動けない」


「お前をどう殺すか考えていてね。友達を目の前で殺して、お前も殺すのが1番良いかなって結論に至ったんだ」


 無邪気そうに話すフェアンにアレンは、剣を振りかざす。


 フェアンは、後ろへと飛び攻撃を避けた。


「危ないな。せっかくの舞台だ、もっと正々堂々と楽しも」


「お前を何百回と斬ってやる。斬って斬って殺す」


 フェアンは、収縮させた生き物をアレンへと向けて肥大させる。


 アレンは飛んでくる攻撃を剣で叩き落とした。


 アレンの本業は白龍である。


 ユニークスキルの通じないアレンは、早めに殺す事が得策だとフェアンは考えていた。


 アレンに掛けられている莫大な類似のユニークスキル(記憶操作)で、フェアンのユニークスキルの上書きを可能としない。


 マジでお前どうなってんだよと、フェアンは心の中で唸った。


 フェアンが1番避けなければいけないのは――時間をかける事による魔剣士の加勢だ。


 だが、魔剣士の数もそう多くは無く、仲間達により他で暴れさせている。


 来たとしても大した加勢は来ないだろう。


「時間いっぱい楽しもうぜ!!魔剣士」


 フェアンは手をムチの方にしならせ伸ばしアレンへ当てる。


 アレンは、剣で受けるがあまりの衝撃に3階へと飛ばされる。


 3回壁にのめり込み、フェアンの居場所が掴めなくなった。


「威力半端じゃねぇな」


 流石、レベル5級の魔人といった所だろう。


 コミュニケーションを取れている時点で、強いのは必然的だ。


 目の前には、俺が開けた穴と資料室であるのか、大量の資料と魔電子が沢山置かれていた。


 棚にのめり込んだ体を起こした瞬間、また伸びてくる攻撃がアレンを襲う。


 これは、最初に行ったフェアンの攻撃だと瞬時にアレンは理解した。


 剣で受け流し、攻撃が来た方へと駆け付け、勘で剣を振るった。


 だが、手応えはなく、そこにあったのは破れた窓ガラスと照明だけだった。


「バァカ!!こっちだよ魔剣士」


 フェアンは、天井から身を出し、アレンの腕をおもいっきり殴った。


 魔力が光る勢いだった。


 アレンも負けじと刀を振るい、フェアンの胴体に浅い傷を付けた。


 だが浅い傷だったばかりに、隙を与えたアレンは、蹴られ建物の外へと放り出された。


 宙を舞い、地面へと叩きつけられる。


 周りを見渡すと、誰1人、人は居なく避難させたのだと察する。


 頭上に、フェアンの気配を察知したアレンは見上げると、狂気じみた笑顔で幾つかの棘がついた膨れ上がった手を落とす。


 だがアレンは誘いに乗らず、手で受け止めた。


 手には無数の穴が空き、痛みで叫びそうになるが、必死に舌を噛み抑える。


 フェアンは続けて、体から針を取り出しアレンの胴体、足を貫くがよろめかなかった。


 アレンは、血で真っ赤になった目をフェアンに見せ付け、フェアンの心臓を刺した。


「おいおい、マジかよ。度胸どうなってんだ」


 腕でフェアンを固定し、何度も刺した。


 アレンの臓器、骨は幾つか棘の貫通により、ダメージを負っていた。


 だが、そんなのは構わないと言わんばかりに、フェアンを刺す。


 フェアンは、イカれたアレンを横目に少しばかりの間戦慄したが、腹を蹴り込み間合いを取った。


 アレンの体は限界を迎えていた。


 フェアンは無情に体を魔力で修復しアレンに近付いた。


「さぁ変わりなよ。白龍に」


 指先を鋭い刃先に変え、首を狙った瞬間、その刃先は、剣による阻まれた。


 何事だと思い、目線をやると、そこには制帽と白いロングコートを着ている女の人が居た。


 加勢だと察し、又もや距離を取った。


「次の飯当番は、お前にする。そこで休んでろ」


 アレンは、嬉しさと無茶振りに心が複雑になる。


 休んで、治る怪我でもないからだ。


 だが、仕方ないと言っても仕方ない。


 リヴェナ先輩は、レベル4で相手はレベル5。


 アレンに構っている暇もないからだ。


「君はどこまでやれるかな?」


 親指を舌で舐めた。

 

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