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第十二話 魔人の仕業!?

「今回の任務は、裁判所での魔物出現の討伐だ」


 馬車に乗ったリヴェナさんは、深い声で任務の詳細を俺に説明した。


 裁判所に魔物が出現か....


 裁判所って大事な場所なんじゃねぇのか?


「そんな場所に魔力が湧くってマジか?」


「――マジだ。だが本来ならば、そう言う重要な場所には魔物出現を阻止する為に、複雑な魔力が掛けられているのだが」


 なら自然に魔物が湧いて人々を襲ったとは、考えにくいわけか。


 うーん、何か知性を持った者による犯行ってことかな。


「お前は色々考えてるようだが、粗方当ってると思うぞ。何しろ魔物が複雑魔力を潜り抜ける知性などある訳がない」


 馬車のサイドガラスの肘を預けるくぼみに腕を乗せた。


「ならば――魔人の仕業」


「そうだな」



 現場に着くと魔剣騎士団関係者が現場の外に張り付いていた。


 魔剣騎士団関係者に事態の説明をしてくれた。


 どうやら、複数の魔物が出現しているらしく、中の人達は全滅している可能性が高いとか。


 いや、俺の仮説が正しければ魔人が出現しているから、中の人達は全滅の可能性が....100パー。


 ――いや、違う。


 まだ誰かしらは、何処か見つからない隅で震えながらヒーローの助けを待っている筈だ。


 俺は足早に裁判所に入ろうとすると、リヴェナさんが制止した。


「お前は、私の後ろにいろ。魔剣騎士団に所属してばっかだろ。私はお前の先輩であり先生的な立場だ。後輩であり生徒的な立場のお前は、私が命をかけて守る義務がある。後ろに来い」


 そう言いながら、親指を後ろ向きに向けた。


 俺は、魔剣士に所属してから色んな事があった。


 仲間が出来て、人を助け、弱さを知って、命を刺した。


 もうあの時の俺じゃない。


「でも俺はその時から十分成長した。自分の弱さも知ったし無理もしない。何があっても大丈夫だ」


 俺は強く握りしめた拳を見た。


 するとリヴェナさんは、呆れたため息を吐き、腰を落とし俺の顔をに顔を近づけてきた。


 赤い目が鋭く俺を射抜くように見た。


「お前の事は色々と聞いている。それを込みで話せば、お前は成長をしていない。成長とはな、自分の間違いを気づいた時ではない。また逆境に立たされその気付きを活かせた時に初めて成長したと言える」


 確かに....間違いを気付いても、それを活かせれなければ意味がない。


 それは口だけになるからだ。


 リヴェナさんは続けた。


「それにお前、私に嘘をついただろ?無理しないと言った癖に、お前は人を助ける為なら命さえ捨てる気だな。そんな目をしている。嘘をついてる奴の言い分なんて聞かない。さ、後ろからついてこい」


 心臓が耳の奥で跳ね回り、全身がびくんと震えた。


 全てお見通しってわけか。


 ああ、この人にはもう嘘つけないなぁ。


 無意識に頭をぽりぽりと掻くと、リヴェナさんの後ろについていった。


 裁判所の中へと入ると、腐敗臭の臭いが鼻をツンと刺す。


 長い廊下には硬質な空気が漂っていた。


 所々に血飛沫が壁や床、天井にも付着していた。


 すると、俺達の前に魔物が数体立ち塞がる。


「キュルルルルルル」


 魔物が不気味な声で、血のついた口から音を震わす。


 いつもの事だが、魔物は気持ち悪い。


 魔物がしている事もそうだが、外見も気持ち悪い。


 中身どうなってんだ?とツッコミたくなるほどのおかしな変形した魔物がザラにいる。


 命と隣り合わせだからと言う理由もあるけど、こんなの見る事にもなるから、魔剣士は不人気なんだろうな。


 リヴェナは、腰に掛けられた剣を抜いた。


「レベル2以下の魔物にユニークスキルなど使う必要もないが、一緒に戦う仲間だ。見せてやろ」


 リヴェナさんの剣には、魔力が込められ魔物を見据えていた。


 魔物は、リヴェナさんの魔力に怒りを表し一斉に襲いかかった。


「私のユニークスキルは割合ダメージだ」


 そして、俺が瞬きをした間に、魔物は胴体を真っ二つにされ息絶えた。


「かと言っても、自分自身よりも酷く弱い相手には、10割のダメージがそうでなければ、1割と言った所だ」


 帽子から見えた鋭い眼光が俺の目に焼き付いた。


 はええええええ!!


 速さがユニークスキルなんじゃねぇか?と勘違いする程に。


 レベル4の魔剣士は伊達じゃない。


「カッコいいっす!!リヴェナ先輩!!!」


 興奮気味に褒めると、リヴェナ先輩は唖然とした顔をした。


 そして、呆れたような顔をした。


「別に私は、カッコよくもない。それに呼び方をいきなり変えるのはやめろ」


「何言ってるんすか?リヴェナ先輩はカッコいいに決まってるんじゃないすか」


「ったく....早く行くぞ」


 少し微笑んだリヴェナ先輩を見て、俺も心が踊った。


「おっす!!」



「多分あいつです」


 顔が変形した辛うじて生きている人間を横目に、俺はそう言った。


 全フロアを見たが、居たのは醜い魔物と変形させられた人間。


 アッカレンが言ってたように、死なないように変形させるのは、難しいだろう。


 それをパッパと楽しむように変形させられ、苦しみながら生きさせている事が出来るのはアイツだ。


 ――そう、記憶操作魔人。


「そうか、お前が会った魔人とやらか」


 俺の喉から熱い物を込み上げてきた。


 人をこんなに玩具のように。


 アイツは、俺を狙っているとかライヴァンは言ってたか?


 良いだろう、買ってやるよその勝負。


「リヴェナさんその魔人は、俺が殺します。アイツは俺を狙っている。任務を熟せばいつかは出会う。その時に絶対殺す。」


 するとリヴェナさんは、俺の頭に手のひらを乗せた。


「今のお前じゃ無理だ、白龍化をして勝てないしな。だが、私が居るから勝てる可能性はあるだろう。一緒に倒すぞ少年」


 リヴェナ先輩....


 最初の出会いは、最悪だと思ってた。


 けど、俺の首に剣を向けたのも、リヴェナ先輩の優しさだったかもしれない。


 俺の人を助けると言うゴールもない抽象的な目的に具体性をくれた。


 目頭が熱い。


 怒りと嬉しさの熱が混合しているのだろうか。


 先輩は、魔神倒しに魔剣士だからと言う理由もあると思うが、それだけとは思えない。


 先輩の姿を見てるとそう思える。


「はい!!」

 

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