第十一話 小さな研究者
リヴェナさん専用である事務所があるらしく、そこへと来ていた。
俺が死んでる判定にしている理由は、上層部に邪魔が入らない為であるらしい。
リヴェナ専用事務所は、上層部などに目が付かないらしいのだ。
リヴェナさんは、上層部にある程度実力を評価されているから、自由にやらせて貰っているのだろうか。
確かに上層部に目が付かない+実力ありの条件が揃っているリヴェナさんは、俺にこれ以上ない適任役だ。
だからライヴァンは、俺をリヴェナさんに任せたのであろう。
「私ともう1人ここに住み着いている研究している人がいるが、気にするな」
リヴェナさんは、事務所がある建物の入り口前に、いきなり立ち止まり言った。
へぇ、どんな人なんだろう。
優しい人だったら良いなー。
研究者と言えば物知りそうだし、記憶無くす前の事とか調べてくれたりしてくれないかなぁ。
今までなんの違和感もなく指に付けていた緑色の指輪。
洞窟から目が覚めた時にはもう身に付けていたから、何かここから分かることでもあるのだろうか。
俺でも分かる事は、この指輪は魔力がこもっているぐらいだ。
でも、この魔力は俺の魔力の気配がしない。
もっと歪な何か。
俺は、リヴェナさんの後ろを付いていき、事務所へと入った。
「ここが私の事務所だ。任務報告、情報整理などを主に行なっている。どこに何があるかは、自分で見て知れ」
そう言うと椅子に座り紙を見出した。
事務所の中は、手前は椅子、机が並べて置いてあって、奥は鼠色の机と車輪付き椅子があった。
鼠色の机は、紙、ファイルなどが乱雑に置かれてある。
こう言うの見ていると、その人の性格が分かる気がするなぁ。
横に目をやるとまだドアがあった。
そこら辺にリビングや風呂などがあるのかな。
「この人がアレンと言う方ですか〜?」
後ろを振り返ると身長が小さい少女が居た。
ピンクの髪色に、先が尖っていてツバサの広い帽子を被っていた。
え?え?小さい....子供じゃん!
この子が研究者だって――そんな頭あんのか?
「あぁ、そうだ。そいつがアレンだ」
リヴェナさんはそう一言。
少女は、俺の事をジッと見ると手を出してくる。
「私の名は、アッカレンです。主に歴史の事について研究しています。こう見ても成人していますので、子供扱いするのは辞めて下さい」
俺は大人であったと言う事実に思わず目を張った。
少女の見た目の人が大人口調で喋っている。
目が子供と信じ、耳が大人と信じる。
頭がぐちゃぐちゃになる。
俺よりも年上だとは....
俺の動揺ぶりにアッカレンは気付き、瞼を小刻みに動かし苛立ちを見せた。
まぁ気を取り直そう。
「そっか。アッカレンか、俺はアレンだ。よろしく」
俺はしゃがみアッカレンの目の位置を合わせた。
「あの、それ辞めて下さい。私が小さいと言う事を再認識してしまいます」
そう言いながらピンクの髪を指でこねくり回す。
へぇ、どこに地雷があるかよく分からないなぁ....
て言うか、アッカレン見てると頭撫でたくなるなぁ。
俺はふと指を見ると指輪が目に映る。
「あ、そうだ。この緑色の指輪について調べてくれないか?」
アッカレンに指輪を渡した。
すると、アッカレンは、緑色の指輪を怪訝な顔で見た。
そして、パッと目を大きくし、焦った口調で喋り出す。
「なんですか?コレ、殆ど魔力で出来た指輪――いや、正しく言うと魔石が長い時間を掛けて魔力に侵食された物です。ちょっと来てださい」
アッカレンは手招きすると、あるドアの方へと入って行った。
俺も付いて行こうとすると、リヴェナさんが堰き止める。
「おい、アレン。あいつに研究のネタを投下するのも程々にしろよ。研究のことになるとアイツ見境が無くなるからな」
研究者は、好奇心旺盛でなければ出来ないだろうからな。
「オッケーっす」
「頼むぞ。アイツにやって貰いたい事が沢山あるからな」
部屋へと入ってみると、そこは本棚が沢山設置されていて、難しいそうな本が沢山置いてある。
部屋は荒れており、流石研究者と言った有様である。
アッカレンが座っている机には、異様な体をしている小動物がカゴの中で蠢いていた。
え、なんなの?これ
不気味すぎやろ....
生物学にも精通してんのか?
「アッカレン....これ」
俺は小動物に指を指すと、アッカレンが説明しだした。
「これは、小動物に魔力を注ぎ込み、形を無理矢理変形させた物です。この状態にするまでに相当時間を掛けました。何せすぐ死んでしまうんですもん」
あまりにも平然に説明しだすアッカレンに、少し引いた。
「驚きましたか?私は歴史の研究だけしている訳じゃないんですよ。生物も研究しているんです。歴史を研究する上で必要な時があるんです」
アッカレンは、机に積み上げられた本を漁り、ページをペラペラと捲る。
いや、驚いた所そこじゃ....
この人の感性どうなってんだ....?
まぁいいか。
「これ見て下さい」
アッカレンは本のあるページを指差す。
見てみると、魔石の事が詳細に書かれたページを開いていた。
「魔石は、魔力に侵食されやすい石の事を言います。ほら、あなたが使っている魔剣も魔石を主に作っているんですよ」
へぇ、そうだったのか!?
よく、魔力を使って動かす物などあるが、コレが使われていたのか。
凄いなぁこの石。
「便利な石だな!」
「えぇ、この国を動かす上でとても重要な石です。で、その指輪はかなり年季が経っているように見えます。私も歴史を研究する上で魔石も良く見てきましたが、こんな物見た事ありません。大体その前に壊れますから。しかし、壊れないという事は、古代にでもあった失われた技術でしょうか。これ調べてみてもいいですか?」
「そのためにアッカレンに相談したからな」
俺は、指輪を渡す。
古代にでもあった失われた技術とか言ってたか?
これが作られた時代を特定できれば、俺の事が分かったりするのか?
いや、それならば俺が昔の人みたいになるぞ?
そうなれば、俺と親はもう死んでいる。
ならば、これは誰かに貰ったと言うわけか?
うん、分かんらん!
「アッカレン、俺は記憶失ってんだ。だから、会って早々厚かましいかもしれんが、記憶を戻す為の手掛かりになりそうなのは出来るだけ集めて、俺に伝えて欲しい。その為にその指輪を見せたんだ」
アッカレンは、俺の話を聞くとハァとため息を吐く。
「厚かましいのは確かですが、研究ネタをくれた仲間です。仲間の言う事は聞きますよ」
確かに....仲間か。
アッカレンは成人しているもんな。
そう言う所は、経験豊富で大事さも知っているのだろう。
「ありがとう!!見た目と反して大人びた事を言うな!」
「最後の!言葉が!本当に!余計な一言です!!」
アッカレンは、そう言いながら牙をたて俺に襲いかかった。




