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テザーニアの勇者譚/true  作者: 佐倉マス
第一章:残酷な世界
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第二話:能力測定(中)

能力測定の中、雉崎は”無属性”と判定され、無能扱いを受けてしまう。

かえって他のクラスメイト、特に坂本は特異な能力を発現させ、尊敬された。

そして雉崎の親友、臆病な日比野の番まで回ってきた所で、なんと。


…見知らぬ男によって、王へのクーデターが引き起こされてしまった。


「はい。クーデター開始ーw」



グオアアアアアアアア!!!!!


何者かの発言と共に突如、魔物が出現する。

それは毛むくじゃらの四肢に紅く染まった瞳が蠢き、牛のような二つの角がその凶悪さを如実に示す、3メートルはある二足歩行の化け物。

茶色に膨れ上がった剛毛は周囲の静けさに痰を発したかのように逆立ち、ギョロギョロと標的を見定める。

無論、”飼い主”の要望によって、視線と欲望は転移者たちの方角に強いられて。



グゴァアア……。グゴァアア……。



王の前、彼ら勇者と玉座のその間で、一歩一歩。

魔物は座りこむ転移者たちに歩みを進めていく。


足踏みによって石畳は粉砕され、震える呼吸は大気の嘆きとなって耳に伝わる。

雉崎は地面のヒビがこちらに着々と近づいていくのを感じ取りながら、もう飽きたとばかりに、三度目の死の恐怖を味わったのだった。



アアアアア……!!グガガガ…!!


「やめて…!!こっち来ないで…!!!」


「助けて…!!誰か助けてくれ…!!」


一歩、一歩。

どしんと響く足音は彼らの恐怖をさらに高めていく。


「勇者様方!少しお下がりください!!ここは私が!!」


老人が右腕を出し、刻まれた刺青が駆動を開始する。

再三目撃した黄金色の魔力線が規則正しく並び、魔物の胴体をめがけて走っていく。


─────老人の属性は光。

魔物に対して特攻効果を持ち神聖魔法の使用も可能にする、万能且つ正義の心を持った、そんな属性。

そして彼はその実力もトップクラス、というか正真正銘のトップ。

この程度の魔物など一撃で消し去れる、と。

彼を含めた全員が、そう確信せざるを得ない。


…だが。

それこそが、この事件を引き起こした者の策略。

老人が腕を出し魔法発動の準備を行う、その一瞬の隙を、彼は待っていたのだ。



「おいおいwそんなよそ見してちゃ、おたくの主人がご臨終だぜー?」



フードを被った男。

顔との間に空いた隙間からは金髪が覗く。

身長は170センチ程度、痩せ型でどこにでもいる青年といった風貌。


─────陽気な声色。嘲けるような笑み。

激情を煽るようなその様相は、まさにテロリストにぴったりであった。


「ぅ…ぁ…!!」


首にかかる鋭利なナイフ。

顔を上げる事を強いられ、顎を空に向けたまま王は老人を見る。

従順に伝わる圧迫感と、内側が内出血していく感覚。

ぼやける景色と遠くで蠢く魔物とを背後に捉えながら、目の前で歯を食いしばる老人を見届けた。


(助けよ…オーランド…!!)


「クリス様…!!!」


魔法を使えば主君が巻き添えになる。

そのためには肉弾戦に持ち込むしかないのだが、もうその時間は無い。

彼は無情な現実を嘲笑うかのように、ナイフを握る手に力を込めた。



「あばよ。王様。」


ザクッ。

短刀が首に食い込む。


「ぁっ………。」


─────首が、飛んだのが見えた。

血飛沫が飛び、老人とテロリストの身体に返り血となってかかる。

まるであの、クラスメイトのように。


「クリス様…!!!」


「王…!!!!…この、野郎ッ…!!」


ようやく駆け付けた兵士がテロリストの背を刺す。

血反吐を吐き、衝撃で前に倒れこみながら、それでも笑いながら彼は言った。


「残念ーwこれは偽物w」


彼はすぐに構造だけの骨組みに変わり、魔力の破片となって飛び散る。

そして本来残滓の残らない魔力は、すぐに塵となって消えていく。

─────偽りの身体、偽りの血肉。

目的を達した後も分身体を残し続けたのは彼の矜持によるものだろう。

その方が美しいと、彼は本気で思っていたのだ。


──────すぐ下には目から色が消え、虹彩を失った王が地面に横たわっている。

絵に描いたような敗北の図。

美しいまでの構成と位置関係にテロリストは一層心を擽られる。


「いいねえ…!!wwそれでこそ王様だよ…!!ww」


響く幻想は遠くに木霊となって消えていく。

やがて空気の中に溶け込んで、何もなかったかのように霧散する。


「探せ!!遠隔操作などという高度魔術、遠方からでは不可能だ!!

 あ奴は必ず付近に潜んでいるはず!!早く、直ぐに探し出せ!!」


老人は怒号を上げ、兵士を駆り立てる。

忠誠心の塊である彼らも、自らの無念を晴らすようにすぐさま駆けて行く。

兵士がたちが全員出払い老人が王を抱えて泣いていた後は、ただ魔物と若人の叫びが響いているだけであった。




─────王の死後も、クーデターは続く。


グオアアアアアアアア!!!!!


「やめて…やめてよ…!!」


振り下ろされる剛腕。

床を砕く強靭な脚。

すんでのところでその攻撃を避け、彼らは逃げ回っていく。

時に攻撃が擦っては大きなダメージを与え、そして悲痛の叫びに変換され、それでも足を止めることなく必死に石畳を駆けていた。


「痛い…。痛い…!!」


救いを求めて老人に叫ぶものの、彼にその声は聞こえない。

幾度も呼びかけられた彼らの一方的なSOSは、相手に伝わることなく魔物によってかき消されていく。


「くそっ!!何か…何か出ろよ…!!」


雉崎は右腕の痛みをこらえながら苦心するも、目の前には空虚な空間が広がるだけ。


(なるほど…そりゃまだ魔力構築なんかできっこないか…。

 こりゃちょっと早すぎたかな…。)


首謀者の反省とともに、本来の目的が成し遂げられた今でも、その攻撃が止むことはなかった。


(まあ…、適度な間引きも必要だしな!大丈夫だろ!)


床は崩壊し、壁に亀裂が走る。

高所から華やかなシャンデリアが落下する。

冥府を思わせる城塞と堅固だったはずの回廊。

綺麗で壮観だった王座の間はもう、廃墟と化している。


「もう終わりだ…終わりなんだ…」


攻撃の直前、日比野はもう足に力が入らない。

尻餅をつきながら一生懸命後ろに下がり、必死に生を懇願する。

筋肉が弛緩し、行動が拘禁され、対して心臓の鼓動は加速していく。

右腕に刻まれた刺青のエンジンは冷え切っていて、主人の死を待つように静観するだけであった。


「日比野っ…!!」


雉崎は思わず走り出す。

限りない生への執着も、その瞬間は忘れていた。

友の窮地に思わず体が動く。

手を伸ばし、今すんでのところで当たりそうな攻撃から日比野を救助しようと試みる。


「……………っっ!!!!」


瞬間、爪の先が空を切り、生暖かい風圧が肌をなでて命の危機を知らせた。

が、それでも友を助けたいという気持ちは変わらない。

雉崎は日比野の近くに寄り、叫び続けたのだ。


「おい!しっかりしろ日比野!!本当に死ぬぞ!!」


「怖い…怖い…やめて…やめてよ…」


日比野は未だ震えあがったまま。

冷静な判断もできそうになく、今手を離せば化け物に自ら向かっていく可能性すらある。

だがそんな状態の彼を置いて逃げるわけにもいかず、迫りくる魔物の背後で、

彼は必死に日比野の手を引いて駆けていった。


「大丈夫だ…!!そこまで行けば何とか…!!」


苦肉の策で彼を持ち上げ、小鹿の様に臆病なその身体を感じながら必死に足を踏み出す。

体格に見合わない重量と圧力は、既に傷ついた全身をさらに苦しめる。



「……はあ。情けないな。お前。」



突如、隣から聞こえる声。

視界の端、右側にはなびく黒髪。

通常の、ごく当たり前の、日常そのままの坂本がそこにいた。



───言葉は日比野に対してのものか、それとも雉崎に対してのものか。

どちらにせよ呆れと失望を含んだその声色は危機的状況化にあった雉崎への嘲笑とも捉えられ、普段は温厚な彼の神経を酷く刺激したのは事実。

珍しく癪に障るというか、こんな状況においても平気で自我を保っていられる彼が羨ましかったのかもしれない。


「おい!!坂本!!助けろ!!馬鹿にしてんのか!!」


普段は大人しく抵抗のない雉崎から発せられる、怒気と威圧感。

体格は大変みすぼらしく頼りになるようには見えないものの、なぜか周りを怖気させる凄みがあった。


「…はは。いいじゃねえか雉崎。

 そういう奴こそ、成り上がる素質があるってもんだ。」


ニヤリと笑い、発言者である坂本は右手を掲げる。

まだ刻みたての黒い刺青からは血が流れているが、特段彼は気にしていないよう。

紅い血は黒い傷跡を滝のように滴り、手首から右肩にかけてを流れ落ちていく。

黒と赤に染まった右腕はまるで悪魔のようでもあった。


「魔力線、解放。」


老人と同じ光の線が、右手から出力される。

ワイヤーのように鋭く、蛇のようにしなやかに。少しずつその外形が表れていく。

複雑に交差した彼の魔力線はそれぞれに光り輝き、その魔法の到来を告げる。

あの老人と違う、漆黒の線で。


「魔法構造、成形完了。」


漆黒の線は刀のような剣を縁取り、彼の右手に具現化する。

柄から刀身まで真っ黒の剣。刃渡り約70センチ、鍔のついた日本刀のフォルム。

そこにあるようでないような、存在の不確かなものが朧げに浮かび上がっていく。


「イメージするのは…そうだ。空間を切り裂く斬撃…。」


ブツブツと呟きながら坂本は魔物に歩みを進めていく。

先ほどまで雉崎に狙いをつけていた魔物も、自ら近づいてきたとあって彼に標的を変えて向かってくる。

支配され、服従させられ、揺らぐ視界と聴覚はその者だけに集中させられ。

腕を上げ、脚を踏み出し、球体の両眼を縛り付けられて、魔物は一心不乱に坂本に向かっていった。


「これ、もしかして直接斬らないとダメかもな…」


黒刀を眺めて呟く。ブツブツと途切れるような信号を発しながら、その剣は存在している。

大気との境界線は揺らいでいて、縁取りもおぼつかない。

どんな形なのか、どんな能力を有しているのか、彼自身にとっても不可解なものがあった。


(振っても斬撃は出ない…。確かにイメージしたんだけどな…。ミスったか…?)


彼の疑念はもっとも。

この世界の魔法は、魔力線の引いた範囲にしか発現しない。

この世界の魔力及び魔法の性質上、飛ぶ斬撃は創出不可能であることを、彼は知るわけも無かった。


────ゆっくりと歩いていた彼は突然、魔物に向かって一直線に駆けだす。

他者からすれば、明らかな自殺行為。

雉崎が先程想像した、錯乱した日比野の姿と瓜二つ。

思いがけない行動に、雉崎も彼を制止しようと呼びかけた。


「おい止めろ…!!死ぬぞお前…!!」


「問題ない…!!俺なら…!!俺ならできる…!!」


覚悟を決め、狂気じみた笑いを浮かべながら坂本はさらに加速する。

接近する両者。お互いに加速していく二つの影はすぐに重なる直前まで。

そして彼は華麗に身を翻して攻撃を避け、再び攻撃を振るおうとする魔物の下に鮮やかに辿り着いて、嘲笑うかのように告げた。


「これで…終わりだ…!!」


ザキン!!!!


一閃。

彼の刀が魔物の腹に切り込む。

いや、正確に言えば切り裂いた、あるいは分割したといったほうが正しいだろうか。

ともかくその一撃は、あの大きな魔物を中心から真っ二つにしたのだ。



ァアアアアアアアア!!!!!!!!!!


綺麗に裂かれた断面からは腸が覗く。

直後は綺麗に形を保っていたそれも、重力に負けて無様に飛び散っていく。

そして後は人とほとんど変わらない色の血液が、その側に垂れ流された。


「な…まじかよ…」


雉崎は思わず絶句するしかない。

彼は皆がそもそも魔法とは何かを掴めていない状態で、もうそれを自由に使用できている。

誰も見た事のない属性で、誰に教えられわけるでもなく、オリジナルのアレンジをして。

坂本はこの短時間で、自分だけの魔法を編み出したのだ。

雉崎はその事実が信じがたく、また気持ち悪さを感じてもいて、唖然とした表情でただそれを見つめているだけであった。



「これが…魔法か…。」



同じようなセリフでも、雉崎と坂本との間では全く意味が違う。

前者は傍観するだけの観客のセリフ。

後者は舞台に立って主役を演じる俳優のセリフ。


──────世界が違うとはまさにこの事。

誰よりも早く新しいビジネスを開拓し、実践し、市場を独占する。

彼を含めた一家が掲げる、最大のモットー。

そのモットーの権化たる人物が彼、坂本義影であるからして、その事実はもっともな根拠を持ってそこに存在したのだった。


「へえ…。こいつは手に負えねえな…。

 じゃあ、今度はこっちを狙うか!w」


またどこからともなくフードを被ったテロリストが現れる。


「魔法構造、成形ッ!」


空白であったはずの背後から暴れ狂う魔物を召喚して、同じようにニンマリと笑う。

兵士たちはいないためにその姿は丸出しであったが、遠い端所に影もなく表れたために、気付かれることは無い。


グゴアアアア!!!!!!


テロリストが呼び出したのは前回と同じ、ミノタウロスのような大型魔物。


「本当にこれで終わりだ。

 後は傍観者として、結末を見届けようか…w」


魔物は既に最強と化していた坂本の所ではなく、皆が固まっていた玉座の前に出現する。

その咆哮に気付くや否や生徒は一斉に左後方に振り向き、そのまま逃げるように足を踏み出した。


「嫌っ!!来ないでー!!!」


叫んだのは最前にいた少女。

咄嗟に出した手から魔力線が伸び、魔法を繰り出す。

それが発現したのは、本当に希少な事実。

…が、それは所詮、ただの小石に過ぎない。

彼女の矮小な魔法はコツンと魔物に当たっただけで、数ドットのダメージを与える事すら叶わなかった。


アアアアア!!!!


その行為を侮辱と捉えたのか、魔物はさらに乱暴な足取りで彼らのもとに迫る。

そして悲鳴をあげる少年少女は、石を投げた彼女を起点に回転し、さあはやくやれ、と彼女に押し付け。

我が身第一の彼らは必死に、しかし心を痛めながら背後に回っていった。


「──────助けて!!」


突然矢面に立たされた少女もその事実を認識すると同時、隣の男にしがみつく。

突如、絡みつく彼女の左腕。

感触に驚きつつも、突然に多大なる危機を押し付けられた事を知り。

その男は思わず不満を漏らしていた。


「くそっ!!!こんなのってありかよ!!!」


その彼は、雉崎であった。

不運にも、彼はまた命の危機に瀕す。

一難去ってまた一難とはまさにこの事である。


(無理だろ…!!これ…!!)


合わせて三度の死線をくぐってきたにせよ、今度の相手は魔物。

話の通じず、時間的余裕も持たせてくれない化け物の前では、彼の凄みは意味をなさず。

もう本当に終わりかもしれないと、彼が確実な死を覚悟した、その時。




「やめろ…!!くるな…!!!くるなー!!」



─────強引に腕から離れ、言葉とは正反対に駆けだす日比野がいたのだった。

身を守ろうと雉崎が手の力を緩めた一瞬の隙。

その一瞬で、彼は飛び出していた。


「嫌だ!!死にたくないよ!?!?

 何で…!?何で死ななきゃいけないんだよー!!」


案の定の錯乱状態。

物事の分別も、善悪も、利害も判断できない。

ただ衝動に体を任せた、その結果だ。


「うわぁぁぁ!!!!!」


勢いよく踏み出す両足。混乱の渦に呑まれる両眼。

手を懸命に振り、向かう先は間違いなく地獄。

そして魔物も彼の勇敢さに答えるように、また勢いよく距離を詰める。

前回の坂本と魔物の様に、両者向かいあう形となった。



「日比野っ!!!やめろ!!!」


──────誰もが、彼の死を確信した、その瞬間。

誰も予想しなかった、思いがけない事実が彼らの視界に捉えられた。




「え?どういう…こと…?」


ガキン。


鎖に繋がれたような響音。

目前には、行動を停止した敵。

なんと凶悪な表情とは裏腹に、魔物は攻撃の一切を止めている。


「やめろ…!!止まれ…!!」


客観的に事実を述べるとすれば、日比野がその毛皮に手を触れた瞬間に魔物の動きが止まった、という所だろうか。

魔物は一切微動だにせず、まるで時を止められたかのように立ちすくむ。

いや、さらに事実を述べるとすれば。

この生命体は本当に、”時間が停止”しているのだ。


…その、奇天烈な事象は。

彼もまた、属性が特殊な”イレギュラー”である事に由来している。


「おお!!日比野!!!」


坂本はハツラツと駆け寄っていく。

目を輝かせ、その場についたかと思いきや、彼は野心に燃える右腕で漆黒の剣を振り上げる。

つい数秒前まで小便を漏らしそうなか弱い小僧だった彼が、今やクラス全員の前に立って守っているという、その事象に。

坂本はいたく関心を覚え、言いようのない興奮を感じ取っていた。


「おい!!そのままじゃ…!!」


「…大丈夫。当てねえよ…!!」


坂本は雉崎の忠告も無視し、日比野を避けつつ後ろから真っ二つに切断する。

そして魔物は数刻前の繰り返しのように、赤黒い血液を辺りに飛び散らせて倒れていく。

シートベルトの如く肩から腰脇にかけて降ろされた刃先はまったくその通りに空間を通過し、その後に霧散する黒い残像を残したのだ。




「あ…。終わっ、た……?」



両手を床につき、血のシャワーを浴びながら上を向く日比野。

視線の先には悠然と立つ坂本がおり、後方の雉崎の方を眺めている。


「日比野。お前やればできんじゃねえか。自信持てよ。」


黒刀を一振りして血を落とし、そして手を離すと刀は消滅した。

制服のワイシャツには返り血がべっとりと付着しているものの、それも歴戦の勲章のようで迫力がある。

端正な顔立ちはそのままで赤と白、それになびく黒髪の三色が彼の風格をさらに際立たせてもいた。


「……よし。」


砕け散った石片を踏みつけ、坂本は一転真顔に戻り、

その後はゆっくりと老人の方に向きを変えて、



「なあ、いつまでそうしてるつもりだ?

 いい加減こっちの言い分も聞けよジジイ?」



そう、口にしたのだった。



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