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始まり

口内炎ができたZE……


「ちっ、アバズレがっ……!!」

「あらあら、口が悪いですよ、ティオさ……いえ、逆賊さん」


 ティオは一人、設置された魔法による遠隔狙撃と自身による近接、かつ近距離魔法を使用することで、女王を殺そうとしていた。

しかし、それらは全て防がれた。なぜか。


「ふふ、一国のトップが無防備で国の戦力ですらない人の前に行くとでも思ってたんですか?」


 結界? 障壁?

そんな生易しいものではない。


 ティオの魔法の威力は、それだけならアルマだって超えている。

それなのに割れない障壁など、明らかにただの障壁じゃ済まない。


「何? なんなの、それ……」

「なんで教えなきゃいけないのかしら? それ以前に……」


 瞬間、おっとりとした目つきが、威圧感のある、脅迫するような、ゴミを見るような目に変わった。


「頭が高い」


 ガッくん、と。

頭を何かで掴まれたような気がして、直後に、地面に叩きつけられた。


 側から見れば、彼女が怪我をすることも気にせずに思いっきり平伏したように見える。


「ふふ、いい気味。でも、いたぶっているとやられちゃう」


 ぺろり、と。舌舐めずりでもしたのか、そんなどこか艶かしい音がした。


 彼女は、女王は、ティオの下まで歩き、しゃがむと、ティオの髪の毛を乱雑に掴む、顔を合わせるために引っ張り上げる。

ただし、ティオには、何かわからない力がまだ働いている。


 引っ張り上げる力と、押し付ける力が、拮抗した。

きり、と………。

一瞬なんの音かわからなかった。


 首が、ねじ曲がっていることなど、うまく確認できるはずもない。

痛覚がバグっていたとすれば、尚更。


「あは☆ やっぱりバカね。ダメね、ダメ。全然ダメ。やっぱり子供。戦い方が単調すぎる」


 単調。果たして、設置型魔法による遠距離、双剣による近接攻撃、魔法による中距離攻撃が、単調なのか。

この女王は、女は、どこかが、ヤバイ。


「ん〜、この程度なら必要ないわね」


 首が折れているティオは、それでも生命線が維持できていた。

しかし、それは首だけだから。ティオは回復方面や維持方面の魔法に関してはほとんど精通していない。


 精通していれば、首や、それ以外が折れたとしても、折れていない時となんら変わらない風にできるが、ティオにはできない。


「さ、用済みの子には退場してもらわなくちゃ」


 そう、女王がティオにとどめを刺そうとした。

ちょうど、その時だった。


 ドアがゆっくりと開かれたのは。





「知っているか? 闘技において、入場と退場、順番はどっちでもいい。つまり、第二試合のカードと第一試合の勝者で、三つ巴になっても問題はないんだ」





 青黒い髪に、ラピスラズリのような目をした、普段の彼とは全く違う少年、アルマ。

アルマ=ロベリアその人が、数十年ぶりに再臨した。




 アルマ=ロベリア。アルマのフルネームにして、彼の裏向きの名前と姿、力である。

ロベリア、と言う魔女の家系に生まれた彼は、どことなく女性に似た体型、顔つきをしていた。それが今では男性に変わっていたのは、そう言う能力のおかげか。


 彼は、本来発揮できる力を全て発揮しようとしないタイプの人間だ。必ず奥の手のさらに先に奥の手、さらにもう一手。常に打つ手がなくならないようにしている。その一歩が実力の抑制だ。


 それを今回、していない。つまり、その効果が全てない、と言うこと。

だから彼は、前とは打って変わり、少女のような体つきにあどけない顔、青の目に青黒いの髪をしているのだ。


「パピロス。知っているわぁ。一体どこで手に入れたのかしら?」


 魔剣パピロス。通称、ダサい剣。

そう、主に名前がダサいのだ!!


 非常にダサい! パピロスって何!? 笛か何かかな? と言う売り文句で一大ブームを巻き起こしそうになったところをアルマが購入した魔剣である。


「どこで、か。カルマが売っていた」

「カルマ? 誰かしら……。まあいいわ。そっちには用はないの」


 じゃあ最初から話をふるな、とアルマは遠い目をする。危機感のなさもやはりあるまクオリティ。死ぬことを恐れないと言うより、何度も死んだ人間のそれである。


「その程度も知らない人間が女王だったとはな。この国が落ちるわけだ」


 言ってくれるじゃない、そのセリフがない時点で、アルマは可能性全てを切り捨て、正規のルートだけに集中する。



この女王は、国を既に売った人間。



 ティオが下した決断はこれ。詰まるところ、ティオは故郷でもあるこの国を腐敗させないため、魔導師の一人として、魔術先進国を足踏みさせないために、この女王を、王族を排除し、新たなる王族を迎えようとしているのだ。


「さて、どうでもいい事(プライベート)はここまでだ」


 アルマは、左手に握っていた魔剣を右手に持ち替え、代わりに、左手には魔導書を持つ。

彼にとって本は媒体。これを持つことは、魔術・魔法の行使をすると言うこと。


 すなわち。


「ここから先は、作業(しごと)の時間だ」


パピロス。ダサい!!!www


 闘技場の謎ルール。実際に存在したものではありません!!

ただなんとなくです。

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