社燕秋鴻
少し間隔が空いてしまいましたが! サボっただけです!!
本当にっっ! 申し訳ございませんでしたっっ!!
「へぇ。あなた、命すらもが作業だと?」
「ああ。人間一人の命は、上位種族に片手以下であしらわれるからな」
上位種族。彼は、悪魔の子。かれは、悪魔の本当の強さを知っている。
悪魔の前で、人の努力は無駄である。人が一年かけて手に入れた力を、悪魔は生まれた時から、それか一日以下で覚えてしまう。
アルマは知った。彼は彼が知る最強の魔術師の中で、誰よりも努力し、かつ誰よりも無駄だったことを。
故に、今の彼があるのだが、実はアルマ、そのことに気づいておらず、今でもその九人の中で己が最弱だと勘違いしているのだ。
故に、彼の口からは、自然とそう言う言葉が漏れ出る。人間では、決して上位種には勝てない、と。
「そ
ピュッ、と。
レーザーのようなものが女王の横顔をかすめる。
「空気がよm
音もなく、今度は二つのレーザーが掠める。
全て、アルマではない。しかし、女王は勘違いしている。アルマならば、自分の後ろからでも魔法を使える、と。
実際には違う。
「いつから、正々堂々を語れる身になったんだ?」
後ろにいたではないか。
一人。
「ふ、ふふ」
女王は後ろを振り向き、目を見開く。
ティオに使った力は、決して視界に、意識にないからと言って効果が切れるようなものでも、たかが魔術師程度の抵抗力と根性で打ち破れるようなものでも、ティオのような魔剣士みたいなものでも抗えれるものではないのだ。
ティオは、立ち上がっていた。
「勘違いがすごいな。ティオについてもう少し知るべきだ」
ティオの正体について。ティオの力について。ティオの全てについて。
女王は根本的に間違えていた。
「言ってくれるわね」
油断はしないと、させないと。ティオと女王はレーザーのうち避けあいをしている。そんな中で喋ることができるだけの余裕はあるらしい。
「ふふ、そろそろ頃合いね」
ティオの攻撃を捌きつつ、アルマを警戒しながら、女王は状況を理解し出した。
「ふうん、バレちゃしょうがないわね。でも、出口はある」
………………………………………
そして悲鳴に至った。これが事の経緯。そして逃げられた、と。どうやら稀有の横をしれっと通り過ぎたのが女王らしい。いや、今となってはその女王という名も相応しくないかもしれないが。
「きっちり縛り上げるべきだったな」
「なんで……」
修羅場の予感。
『逃げよう!? 逃げよう稀有!? ね? 私だって修羅場にはいたくないよ!?』
火の中に飛び込んでも無事な奴が何をいう。
『スカートの中入ったって今回ばかりは気にしないから逃げよう!? ね? ね?!』
うるさいのが一名。それでも僕はここに残る。正直どこにいくあてもない。
そう! きてしまったからにはささっと立ち去るのが気まずいというやつだ!
『人助けなんてロクでもねぇっっ!!!!!』
だまれ! ボクの辞書に尊重という言葉はないんだよっ! てか君もボクも同一人物なんだから尊重があるとでも思ってんのかアァン??
ちなみにカレンとの会話は基本リアルタイム進行に見えておよそ0.1倍速の環境下における会話! 要するに時間は多少無駄になっているのだった!
『人の扱いっ!』
だまれ! こっからいいとこなんだよ!
『ふええええええ……というかうぜえええええええ』
なんか変なものが混じっているが、時間はきっちり流れるので、会話はきっちり続く。
「なんで! ……わかってて捕まえなかったの?」
この二人は、ぱっと見で協力関係、紫少女が雇用主? で青髪女男が雇われた側みたいな感じ。
『協力者とか使えよ協力関係言ってるんだし』
うるさい! 語彙力ない日本人『元』男子にそんな難しい『であろう』事を言わせ『ようとす』るんじゃない!
というか人のセリフに勝手に台詞をねじ込むんじゃない! やめろ!
このシューリングな場面がボクの脳内だけバグるじゃないか!!
やはり、ボクは思考能力を犠牲にして新しい力……いや、仲間を手に入れてたらしい。
……………………………
一応、ここらでカレンには黙ってもらうことにした。
騒がしくて状況が掴めないから。
「まあ……そうだな。正直その必要がなかった、としか……」
「でも! もしも……! もしも何かあったら……!」
ティオは、理由を端的に説明したあるまに対して、尚も食い下がる。
「もしもの話は知らん」
が、アルマとて頭の固い人間。ティオの意見に耳を貸すほどいい人でも、傘ないほど悪い人でもない。
彼はあくまで、ティオと自分だけが戦力である、という状態で話をしていない。さらに、彼は今回、力を少し解放している。
余裕を持ってやってきたのだ。
ギリギリを愛してやまないマゾとよく間違われる人間が、だ。
「それに、そこのバカだって戦力になる」
バカって誰ですか? え? ボクですか?
確かにテストの点数最近落としてたけど、それでもそれはないでしょ。まあ確かにこの世界基準じゃバカかもね。
それに、戦略を習ったわけでもない、かじった以下の人間がここまでやってこれた?事の方がおかしいと思うんだ!
これが俗にいう主人公補正! いつか絶対破壊してやるから首洗って待ってろよ!!
ここで普通ならバカってなんだよ! とか突っ込むべきなんだろうけど、あいにくとボクにはそこに突っ込めるほどのコミュニケーション能力? コミニュケーション能力? はない!!
故にボクはここで黙りこくるしかないのであったHAHAHAHAこれぞコミュ力のない人間の特権!!
異世界いった陰キャが強い? コミュ力ないのになんで強くなるんだってんだよバーカバーカ!!
「見ればわかる」
「「?」」
二人揃って訳がわからなかった。
何が言いたいのか、それを考える以前の話で……。
飛んできたこの女性はなんだろう?
一言で言うなれば、敗者。
言葉を足すなら、『のような人』。
飛んできた場所は、角度やら何やらを計算すると、闘技場の裏口。それも壁をぶっ壊して直進してきたのだから、そのエネルギーは計り知れない。
しかし、それよりも、一番気になるのは、明らかにここ、この場所でちょうどエネルギーが切れるように力が加えられていた事だろうか。
テニスや卓球の的当てのような、そんなものだ。
「ほらみろ」と言わんばかりの顔で、アルマはその飛んできた女性に視線を送る。
つまり。
まさか……。
「女王!!?」
SOU!JOOU!!
女王ですよ女王!
そういえば女王といえば、ボクは国を救うために来たはずなのに、当の魔王やら魔神やらとはあってないし、一体どうなっているのだろう。
『騙されただけでしょ』
違うね! ボクは呼び出されたんだ! 騙されたなんて訳ないだろというか黙ってるって約束でしょうが晩飯抜き!!
『っ……』
よし、黙った。
「とどめを刺すならやっておけ。持っていかれるぞ」
その言葉と同時、無数の色とりどりな魔法が飛んできた。
赤、青、黄、紫……。ほぼ、全属性。
追加でクナイ? か短刀が少々。何、そっちが本命なんだろうけど、確実にスパイスのノリで投げてる気がする!!
「やっほう箱入り娘のクソ野郎ォッッ!!!」
やばいやつがセットできたぞ!? ハッ○ーセットも大概にしろっ!
金髪に赤いドレス。やばい、顔が完全に戦闘狂のそれだ……。
「ほれほれ〜! どうしたァ? 無敵バリアみたいな事ォ、言ってたくせにィ〜」
ティオが最初に感じたのは、稀有と同じく戦闘狂。続けて、明らかな強者感。最後に恐怖だ。
たった三つしか感じなかった。しかし、その三つは彼女の人生において、多分だが最も大きなものだっただろう。
それほどまでに、この金髪赤ドレス女性の影響力は高かった。
ティオがいくら高出力で魔法を打とうと、障壁やらを無効化する代わりにチマチマしたダメージしか出ないレーザーでしか攻撃を当てられなかった女王に、軽々とダメージを与えていく。
一撃一撃の重さはティオよりも低い。精密さもティオの方が高いし、ティオに関しては固定ダメージという概念が存在する。代わりに相当チマチマしているが。だって累積ダメージが秒間100に満たないのだ。いくら全力で打ちまくろうとも、60出ればそこそこだ。
その垣根をハイドーン、とかいうノリで超えてくるこの女が非常に怖い。
「ちっ!」
かたや女王は、しゃべる余裕もない。いや、喋らせる気がない、というのが正しいのか。
「ん〜? あれれ〜? アルマじゃん。おっかしいな〜、方角反対だよ? 音痴なの?」
ドレス女は、アルマを見るなりそういった。
方角。一体なんのことか、一瞬ティオは目をパチパチとさせ、呆然とした風を装い、次の瞬間理解した。
予め、逃げそうなルート、もしくは逃げられた時、手が届かないところに行かれた時に抑えられるよう、人を用意していた。
「君が方向音痴なだけ」
「高っ」
「え、そこぉ!?」
アルマが声を出すと、その姿自体にまず違和感を覚えていたドレス女は、声を聞いて吹き出した。
そう、アルマは今、限りなく女性に近い、というかぶっちゃければ女性から胸と生殖器を入れ替えたような状態である。つまりほぼ95%女性という訳だ! 信用ならん5%!!
「何あんたww いつ……w どこ、で……ww ちょ、おまムリww」
な ん だ こ の ネ ト ゲ 廃 人 の よ う な 生 命 体は 。
「うるさい……」
それよりも女王が逃げてますよ〜……ってまあボクが始末すればいいか。
………………………………………………
「や、女王様。外出ですか?」
そんな格好で、と言おうとして飲み込む。なんか怪しまれそう。
「あぁ、勇者ですか。こんな見苦しい格好を見られるとは」
うーん、なんていうおうか。
『何かありましたか? もしくは、お力添えしますよ』
へいへい。
「何かありましたか?」
「ええ、少し賊に襲われましてね」
はい、次はなんですかKarenさん。
『人をSi○iみたく言わないで。そうね、やっちゃいましょう』
はいh……いや早くない?! 早いよね↑??
『声裏返ってるw まあ冗談はさておき、そうね、ではボクが……
「賊を始末すればいいですね?」
にっこりと、悪い笑みを浮かべて。
路地裏に逃げ込んだ女王は、ただコクリと、首を縦に振った。
その首が、くっついてたかなんて記憶してない。
ドレス女はクロノア。一応この前出てきたし、まあいいや、ってパスしましたごめんなさい調子乗りました。




