観客席の三人
魔法剣って要するに魔力で構成された剣ってことです。燃費がめっちゃ悪いことで有名(一ノ型が最低でも魔力100必要としたら、魔法剣は5000~7500くらい必要という目安で設定してます)
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観客席
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「お、ちょうど空いてますね。ここにしましょう」
「む、あっちの方がいいと思うが」
「………腹、が……」
三人の松田野朗が観客席にいた。
右から白い外套とローブをした名無し、ダブルスーツのサタニス・アンド・ベルゼブブである。
三人とも、稀有ことカレンの試合を見にきたのだ。
が、実は名無しを除いて、カレンのことを二人は知らない。名無しも、カレンがどう言った風貌かはよくわかっていない。
最初に、クルシアとアルティナの試合が始まった。
「どう見ます?」
「断然クルシア=バーンであるな」
「………右に同じく」
二人揃って同じ答えだったことにか、自分とは違う答えだったことに対してか、顔をしかめかけ、理由を問うた。
「エルフの小娘は『慣れ』で生きているように見える」
「同じく」
「対してあの人間、大局を見据えている。ほれ、見てればわかると思うぞ」
そういい、試合が始まりそうな会場を指差すサタン。
クルシアとあるティナがちょうど礼をし終え、互いに距離を取ろうと踵を返しているところであった。
「大局、ですか……?」
「一手先よりも、二十手先で自分が有利であるようにする、ということであるな」
「…………将棋だ。二十四手組とかいうだろ」
「あー……そういうことですね」
ちなみに3人ともたいして二十四手組の意味を理解していないため、ただ言葉に勝手に意味をつけただけになっているのだが、それを注意する人間はいない。
「「「ん?」」」
3人揃って、クルシア少年の初撃にしてトドメの、回転発車の火魔術三ノ型に理解が追いつかなかった。
少なくとも、3人とも三ノ型の周りに打ってある一ノ型がカモフラージュであることは理解していた。よく見れば打ち上げの高度も全く違うからだ。
「誰か……わかります?」
「いや……さっぱりだ。一の局舎はまだわかるが……三はなんだ?」
「………右に同じく」
右に同じくが口癖になっているベルゼブブは、冗談ではなく本当に訳がわからない、という風だ。
いくら大悪魔でも、こういうことには疎いのだ。
なぜかって? 戦争文化はあっても、二人とも戦う側ではないからだ。
第一、ベルゼブブもサタンも、政治側であって、戦争・防衛側はルシファーやレヴィアタンたちの役目だ。
つまり、二人ともこういうことには少々疎いのだ。
どうしても、ガチ勢には劣る。それがエンジョイ勢!
なのだが……。
「ほう、接近戦……そういうことであるか」
「……あぁ。理解した」
「えぇ…………???」
正直意味不明だ。今まで分からねぇ! わからねぇ! って言ってたくせに、接近戦になった瞬間、二人揃って理解した。
トドメは三だと。
……………………………
そして案の定、三でトドメ。
そして次は何かと見ていると、ふと事件が起こった。
「ちょっと! そこは私の席よ!」
「えぇ……??? なんであるか、お主……」
相変わらずはっきりとしない口調を使い続けるサタンに、一人の女性が食ってかかっていた。
なんとなく高価な服を着ているので、貴族か何かなのだろうが、どうにもうざったい。
権力を振りかざしているよりかは振り回されている感じだ。
正しい権力の振りかざし方を理解していない。
そう。
「…………おい人間。私のツレだ」
「黙ってください。うるさいですよ。ほら、試合、始まっちゃいます」
圧倒的格上に対しての権力の使い方を、理解していなかった。
…………………………
「全く! なんであるか、今の女!」
サタン は憤慨していた。
「いやそのセリフってあっちの人が言うセリフのはずですけど……」
サタンは『憤怒』を司る悪魔である。が、別にサタン自体がお怒りになるわけではないのだ。
サタンは、耐性のない人間に対して自然と怒りを誘発させてしまうのだ。そう言う、憤怒。
耐性、と言うのは感情に振り回されない、と言うことになる。
サタンは、役所に入りたがる悪魔の感情の振れ幅を調べることが多い。例えば、すぐ感情に流されないとか……例えば感情がどーのコーノとか……煽り耐性とか……。
「………始まるぞ」
試合が。
後に、最悪の化け物となる少年と少女の、狼煙が上げられる、この試合を。
………………………
誰一人として声を上げることができなかった。
理解ができない。
たった一日でここまで完璧に魔術師と張り合えるものだろうか?
風魔術の強制相殺にも、条件がある。
ほぼ同じ威力……厳密に言うと、同じ型でしか相殺できないのだ。特に魔法。魔法は必ず魔術からの派生となる。それを理解し、どの魔術と魔術かを見抜き、同じ構成で打たなければ相殺はできない。
風魔法とは、玄人向けなどではない。
純粋な怪物向けなのだ。
それになんだ、明らかに人間の脳と手と口で発動できる魔術の量ではない。二人分だ。二人分ある。
だが、どれも同じ人間から出ている以上、おかしなことではない。できなくはないがありえないこと。
まるでベルフェゴール だ。
悪魔の中でベルゼブブすらも抑え込み、一度は頂点に立った、怠惰な悪魔。好色を司りながら女性が苦手。
司っていながら苦手など、ありえない。そう彼は『有り得ない事』なのだ。
寝ている間は無敵なんて変なスキルを持ちながら、覚醒睡眠とか言うバカみたいなスキルを持つ、バカだ。
「…………むぅ……、流石に魔法剣を使うか……」
「練度からして、奥の手ですね……。多分魔法剣士でしょう……。剣の鋭さが半端じゃありません……下手すると私たちよりも……?」
「………バカなことを……」
魔法剣。これに熟練では表しきれない、天賦の才能が相まっていれば、鬼灯だとしても負けてしまう、そう思っていた三人は、ついぞ忘れることのない、トラウマにも似た何かができた。
鬼灯カレンが、魔法剣を使ったのだ。
それも改造した。
魔法剣のスペック自体は基本術者頼りだが、それでも基礎スペックは全て同じになるはずだ。
無論、改造なんてバカなことをできる奴がいないわけでもない。
過去にいた、神代の頃の英雄たちのほとんどが自分にあった魔法剣に仕立て上げていた。
例えば、彼らから見ても最強の部類の中の最強に入った人間、アーサー=ネウトラーレ。
不死身にして不殺。あの時代で、唯一、ただの一人も殺したことがない人間。選定とか言う変な儀式に連れていかれ、魔界に現れた者。
例えば、ソロモン。
稀有と同じ世界からの来訪者にして、悪魔を、現在の魔界でサタンやベルゼブブと並ぶ権力者。
彼も魔法剣を使った。
そんな部類だと言うだけならばまだいい。どうせ彼、彼女のステータスは自分たちと並び立っているのだから。
だがしかし、彼女は明らかに魔術など一切触れてこなかった部類の人間である。
いきなりどうやれば魔法剣が使えるようになると言うのだろうか。
それも改造と言う行為まで。
人間なのか?
誰も知る由がないのだから、仕方ないとはいえ、カレンは、腐っても一冊の葬られた魔導書から生まれた存在なのだ。
『滅術』の魔法剣がない訳がない。
すごいどうでもいい話にはなるが、滅術と滅魔術は、意味は変わらない。が、滅魔術では、滅魔の術、と言う風にも見えてしまう。
故に、滅の魔術、と言う意味を持たせるため、滅の術、『滅術』なのだ。
試合が、完全に傾く。
魔術、魔法についての修正
面倒だっt……ゲフンゲフン。硬直時間をなくしました。まだ所々硬直、硬直時間、などの言葉が残っているかもしれませんが、無視でお願いします。もし気づいた方がいましたら誤字脱字報告をお願いします……。
なんか、ゲームっぽかったので。w




