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クライン少女

昔作って腐らせかけてた設定①稀有はグレーゾーンの中二病


 次は、私の番だ。


 対戦相手は、クライン=フェンネルト。

目の前に立つ少女は、そういう名前だと、書いてあった。


 この世界では、凶兆の証とも、才能の証とも言われる、とにかく珍しい髪は生まれてこの方一度も切っていないですと言わんばかりの長さをしていた。

具体的に言えば、腰の下あたりまである。


 その髪をツインテールにしている。前髪は切っているのか、整えられている。


魔女らしいとんがり帽子に、ローブを羽織っており、下にはどこかの学院の制服っぽいものが窺える。よくよく見れば、王立魔術学園の制服ではないだろうか?

稀有と懇意の長身細身の所長と同じ服をしている。あの人は王立魔術学園で教鞭もとっているらしいから、服装が同じということはそういうことなのだろう。


「…………」


 この子、目が冷たい。ダウンというシステムがある中でも、死ぬ、と意識し続けている。

というか、この子、私とは違う。つまり、死にかけたこともあれば、殺したこともあって……。果たして、この子はなんなのだろうか。


 というか……。



どうしてこうも一癖も二癖もある奴が多いんですかね!?!?




 なんなの? この大会!? 殺人鬼少女。脳筋系知力少年に近接華奢エルフ。バグですか!!?


『バグは検知されませんでしたとさ』


 そりゃそうですよね!


 いやぁ、クライン少女、ダウン貫通とかしてこないよね? やだよ? ラスボスじゃん。


「始めッ!!!」


 丸メガネ頭ちょこっとはげたおっさん審判がそういうと同時、クライン少女は、あろうことか水、火、風の二ノ型を追尾性能を付与してぶっ放してきた。しかも雑に。考えもなく、ただ適当にそこら中に飛散させやがった!


『おー、後ろはボクが見るやい』


 お願い。


 稀有も精神世界から魔術やら魔法を打てる。実質私は二人分近くの魔法を同時に打てる。


『二ノ型だけに気を取られんなよ』


 ????????


『言った側から……』


 クライン少女、明らかにステータスがバグってる!!

距離を詰める速度が速すぎる……!!


 一瞬だった。


『違うね。スキルだと思うよ』


 え? でも魔術と魔法以外禁止じゃ……。


『「連撃の瞬」とかは魔術スキル、って言ってな。ある種の魔術に入るんだ』


 何それ欲しい!!


『先天的スキルだから、あまり使われないだけだ』


 チッ。

じゃあ初見殺しの瞬間移動か。滅術は奥の手だとして、打つなら風で相殺しながら流れ弾を狙うしかない。


 風魔術には特性がある。拡散効果だ。

本来、属性魔術には同じ属性でなければ相殺できない。しかし、風魔法に限っては違う。





 絶対に相殺するのだ。





 これはあまり知られていない、ゲームで言う裏技だったり、説明欄に書かれていない、裏効果だったりするものだ。


 これを、魔法でうつ。




『帰せよ』「吹けっ!」


 トリガーで発動させるタイプの魔法を作っておいて本当に良かったと思う。

口頭で条件となる文節を発することで効果が発動する。ただし、威力やらは大きく減る。



が、しかし。



風属性に限って、そんなのは関係ない。



 放たれた風魔法は、私の周囲の二ノ型とぶつかり合う。

二ノ型が、拡散する。


「??!!」


 これには冷たい少女も驚いたようだ。

観客席からも驚きと楽しさの入り混じった声が飛び出す。


 しかし、この子、別に冷たいわけじゃなさそうだ。

なぜって? 表情が顔に出過ぎている。


 行動が読めるほどの表情は出ていないが、冷たく無表情、と言い表すには足りない。


 対して私は基本無表情。


『心の声と感情はうっさいけどな』


 だまりやがれヒャッハー!


 さっさと逆転してやる。便乗便乗ォ!!


 まずは火魔術で曲射しつつ、左に大きく動き、ストレートとフックで水魔術をぶっ放す。


 全部当たれば、「火」と「水」の混合判定で「水素の音ぉ」が発生する。

やってやる。


『カレン、自論で悪いが、代償は命。しくじれば全てパァ。これが人生ってものだ。代償なしに失敗も成功もあったもんじゃない』


…………。


 突っ込め。考えるな。


土魔法で吹っ飛ぶ。水と氷を合わせても吹っ飛べるが土の方が効率がいいし、何よりも壊れにくく、障害物、遮蔽物になる。


 空中で回転しながら、突っ込んでいく。


『チッ。なんでボクの命までかけるかな、こいつっ!』


 そう、カレンがダウンしたとしても、稀有はその限りではない。つまり、カレンのダメージは稀有にも通り、稀有はHPが0になればそのまま死ぬのだ。なんの比喩も、冗談もなく。


『ホイホイ……』


 あー、楽しい。


『ああ。おかげでこっちは忙しいよ!!』


 私は行かれ狂ったように動き回るだけ。対して大きな詠唱も攻撃もしない。ただ変な風に動き、相手の考えを撹乱させる。


 そして、ここぞという最悪のタイミングで宙程度の威力の魔術を放つ。


「うざったい……」


 そう、呟くのが聞こえた。


 私もそう思います。

相手の視点でどうなっているかを想定する。私に稀有というもう一人の人間が並列で思考して魔術を放ってくれるからこそ、よりきめ細やかにできる。


 何手先かを読んで、それを潰す。それをし合っているのが二人で、私はそこにチャチャを入れているだけである。


 つまり、クライン少女は、現在進行形で二対一で戦っている。

よりにもよって、意味不明な行動をしながら最悪のタイミングで一撃を打ってくるやつと、普通の戦いを繰り広げてくるやつで。


「…………」


 何か、嫌な予感がする。


『カレン、離れろ』


 はぁ?


 大人しく従うかどうか迷った。今立っているこの位置は、絶妙な位置だと自負している。

つまり、今の硬直状態を生み出している要因の一つと言えるのだ。


 そこから離れる。

つまり、この硬直状態……正確には優勢で攻撃できる状態を捨てることを意味する。


 なぜ?


『いいからっっっ!!』


 その焦りに、突き動かされたのか、定かではないが。


 見えない誰かに押されたような気がした。



 そして、立っていた場所には、クライン少女が、剣を持って立っていた。





「次は当ててやる、覚悟してね」


てかこれ100話目ですねw 100話記念でも書いときゃよかったw(投稿から二秒後に気付きました)

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