シズ【幕間】
記念にするつもりが暗い話になったので、ただの幕間的なものと言うことで……
雪梅お姉ちゃんは優しくて、いつも忙しそうにしてる。でも話しかけると笑顔で反応してくれる。もちろん、急いでいる風は見られるけど、でも困った顔も、面倒そうな顔も、イラついた顔も見せない。
すごく、優しいんだなぁ、と思った。
鬼灯お兄ちゃんはすごく怖かったり、それが嘘のように優しかったり、ピンキリ? って感じがする。
でもいい人。やり方は強引な時もあるけど、根はいい人。向き合い方さえわかれば、すごくいい人!
統括は……なんていうか、よくわからない。
一体どこまでが想定内なのかよくわからない。
アイリスちゃんは、楽しい。フワフワしてる!
でもたまに冷たかったり、怖い顔してる時がある。
雪梅お姉ちゃんは、買い物が大好き。今は私の新しい……なんだっけ……? まあ何かを買ってくれるんだって。
でも、鬼灯お兄ちゃんに、よく「雪梅に甘えちゃダメだぞ〜」って言われるから、あまり甘えないようにしてる。
「シズ? どうかしたの?」
ジー、っと横顔を見ながら歩いていたら、何かあったのかって心配させちゃったみたい。でも何もない。
私は服も、アクセサリーも、可愛いお人形さんも、何も興味ない。
綺麗で、よく切れる刃物が一番好き。誰かを切るわけじゃないけど、でも切れ味が良くて、シンプルで綺麗なのが好き。
雪梅お姉ちゃんは危ないからって買ってくれないけど……。
私は本当にふぁっしょん? とか、こぉでぇ? っていうのがわからない。
やっぱり危ないものが好き。ハラハラして生きるのが大好き!
命の取り合いも、好きかどうかで言ったら……その……好き……!
でもこんなこと言ったら雪梅お姉ちゃん、きっとすごい怒るだろうなぁ……。
「なんでもない……」
そう言えば、眺めると言えば、鬼灯お兄ちゃん、私の……あれ、見たんだっけ……? まあいいや。
「そう」
鬼灯お兄ちゃんがいなくなって、もう三月。
私は、寂しいのか、それとも何も感じてないのか、よくわからない。人と一緒にいる、という経験もほとんどなかったし、お兄ちゃんも大切な人なのかどうかはわからない……。
雪梅お姉ちゃんは、どこか寂しげで、悲しげで、文句を言いたそうだった。
今は、帰ってくる、っていう統括に、みんな従ってる。私も。
オリバーお兄ちゃんは、鬼灯お兄ちゃんと同じか、それ以上に頭がいいから……。
きっと……。帰ってくる……よね。
「シズ? 大丈夫? さっきから俯いてばかりだけれど。帰りたかったら帰るけど……?」
また、心配させてしまった。
大丈夫、問題ない。
「ううん、だいじょうぶ……」
大丈夫なはずだ。
私は、きっと何も感じないから。あの人の死体が見つかっても、きっと泣かないから。
どうせ、悲しくても、泣けないから。
「シズ、帰りましょう。嫌なことはきちんと嫌というべきよ」
「いやじゃ、ない」
「…………」
………それでも。きっとそう言いたかったんだろう。
でも、私は嫌じゃない。お姉ちゃんは優しいし……。
そう。優しい。もう、この世界で私に本当の意味で優しくしてくれる人は、お姉ちゃんしか……いない、から。
だから……、嫌じゃないよ。
無理やり服を着せられて固まったけど、嫌だからじゃないよ。優しさに、心を奪われてたのかな……?
お兄ちゃんも、怒ることないのに……。みんな、私のことをちゃんと気にしてくれる。
私は幸せだよ、お姉ちゃん。
誤字脱字報告、お願いします……。




