魔術勉強会
三ツ矢入りっぱなしのコップにお茶ぶちこんじった。味の抜けかけたメロンソーダの味したよ。
で、あの後、おっちゃんと仲良く帰ってきましたとさ。
そいで現在、王城……ではなく。宿屋でゆったり寝泊り中です。
まあなぜ宿屋かっていうと、おっちゃんの監視の目が残ってそうなので、王城に帰るタイミングを見計らっているってわけだ。
おっちゃん、ギルドに出入りする全ての冒険者のことを覚えてるらしい……。すごいねぇ。
そいで、ついでに宿屋の理由は、これである。
「おい、聞いているのか?」
はい、ドS気質漂っております、外套少女ですね。
魔法と魔術のことについて色々知りたい、って理由で呼びつけているんだから、何も教わらないわけにはいかない。
「おい、踏むぞ」
この人幾つ人格あるんだろうね。
さ、話を聞こうか。
あ、サタンも呼んでおこう。何かあってもサタニスくんなら覚えてそうだし。
『サ〜タ〜ン』
『おう、なんじゃい』
『ちょうど魔術と魔法について教えてくれる人がいるから、君も聞いていく?』
『あぁ。そうしよう。人間の「魔」というのも知りたいしな』
と。いうわけで呼び出す準備はオッケー。
「ごめん、ちょいと見学者を増やすわ」
「? 何を……」
-悪魔召喚-
赤黒い魔法陣が出現し、そこから赤メッシュの黒スーツ美丈夫と同じく黒スーツを着たサタンがやってきた。
ん? 隣の誰や?
「クァ……『調停』の世界は本当に居心地が悪いなぁ……」
「…………」
美丈夫しゃべらねぇしっ! いや何か言えや!
「おぉ。丁度いいからベルを連れてきたぞ、友よ」
友ではないですけどね。
とか馬鹿なこと考えてると、ちと驚いている名無しくんに、サタンが気づく。
「おぉ。教師が誰かと思えば、懐かしい」
「………そうだな」
おぉ。美丈夫がしゃべった!
というか、こいつと知り合いなのだろうか。
「知り合い?」
「む? そうともいうな。まあちと昔にあった小競り合いで共闘した仲というだけじゃて」
そうなの? という視線を送ってみると、どこか不満げに、そうだけど、という視線が返ってくる。
ふ〜ん……。そうか〜……。
まあいいや。ボクが気になるのはこっちの赤メッシュ美丈夫だし……。
「ふむ、こいつが気になるという感じか」
「たりめぇだろ」
くはは、と笑い、サタンは隣の鼻上部の紹介を始める。
「こいつはベルゼ。我らが住処たる魔界の統率者、魔界の王、悪魔たちの王の一人だな」
「…………お初にお目にかかる、類稀なる者よ」
………え何こいつ。
「む? 聞き馴染みがないのか? ほれ、ベルゼブブとでも言えばわからんか?」
蝿の王。サタンさえも超える力を持つ、魔界の王。
「まあ、今戦えば我が勝つがな!」
ドヤってくるこの馬鹿悪魔くんはほっといてさっさとこっちと話してみたいので、ベルゼくんの方に体を向ける。
赤メッシュの入った黒銀の髪、カレンと似た黒の強膜に、赤の虹彩、左目は猫のように切れ長の金の瞳孔で、右は丸い、人間らしい灰色かな?……瞳孔。身の丈は175cmくらい。手袋もしてるから、スーツ男ってよりかは執事っぽく見える。
「よろしく」
「………よろしくお願いします」
必ず前になんか含みみたいなのがあるけど、なんだろう。喋りたくない、とかかな?
「おお。忘れてたな。今のベルゼは消費が大きいから空腹であるっ! 気を付けねば生命を吸われるぞ」
「………私をなんだと思っている」
「腹ペコ娘であるな」
「飢餓感少女ですね」
ついには外套少女まで言い出したぞ。大丈夫か、こいつ……。
「それより、さっさと始めますよ」
「あぁ。そうしてくれ」
「…………頼む」
「クァハハ、楽しみである!」
生徒三人ですね。
「じゃあ始めますよ? まず魔力を感じとることー……はみんなできますね」
はーい、ボクあまりできません!
『大丈夫よ、どうせ大会出るのは私だし』
『え?! なんで!?』
『はぁ? あなたスキルあるんだから魔術使えないんでしょ?』
そ、そうですね〜……。
「で、まずは悪魔と人の違いからいきましょう。悪魔にとって魔法とは……えっと……」
「…………自らの想像を具現化するものである、だ」
「む、我が言いたかった……」
「で、人にとって、魔法とは、魔術を改造したものになります。例えば、混合属性でしょうか……」
混合属性? なんじゃそれ……。
『「火」と「地」と「闇」、そして「光」の混合属性が「滅」よ。そんな感じ。後記憶覗いたけど、フレアって人の使ってる炎魔術は、「火」と「闇」か、「火」と「光」の混合ね』
うーん、なんとなくわかった。基礎二つ以上を足すことで新しいものを生むって感じかな……?
『どっちかというと、1+2=3ね。1を「火」として、2を「闇」だとすると、3は「火」と「闇」の混合属性になるわ』
あー、そういうことか。新しいものじゃなくて、足すことで基礎を増やす、みたいな。
『まあそんなところよ。具体的な説明は難しいからわからないわ』
「む? 我それ使えるぞ。ほれ」
とか言いながら、手の上でポンッ、と小規模な爆発を起こして見せた。
ん? これって……
『あぁ〜! 水素の音ォ〜!!』
て事になるなぁ……。うん。水と火で水素爆発を起こしたのかな?
あれ? 前にもこんなことがあったような……。
「一応混合属性の魔術は悪魔にも使えますけど、人はこれを日常的に使うことが多いので、悪魔とは違う点として挙げました。あと、人は混合属性にも型があるので、そこが一番違いますね」
要するに?
『人には型……剣道で言えば真っ向斬りとか、袈裟斬りとかがあるってわけ。こう、基礎となる部分があるの。対して悪魔にはそれがないから、完全に千差万別。真似はできるけど、完璧に同じ技を打てるのはその技を作った人だけ、ってこと』
なるほどね。なんとなくわかった。
「それでは人の魔術の型の種類を説明していきましょう」
待ってましたと言わんばかりにサタンが跳ねる。
ボクの心も跳ねてますね。
「まずは、型についてです。魔術の型は、金剛を除いて、どの属性でも共通です。以上」
あ、それだけ……。
『………ちょっと期待外れ? 逆に嬉しいけど……』
「では一ノ型から参りましょう。一ノ型は、通常、溜め時間……まあみなさん詠唱使わなくてもできるので、溜め時間にしているだけですよ……2秒のボール投げです。キャンセルからほぼ全ての型に詠唱を繋げながら切り替えれるのが面白みですね。ほとんどの人は知りませんけど」
んーと、要するに一ノ型は二秒間溜めたらうてると。キャンセルから繋ぐってのは?
『一ノ型は、ためてる時にキャンセルするよりも、他の型にそのまま詠唱した方が早い。要するに、他の型にそのまま、どの文節からでも分岐できるってわけ。やろうと思えば、一ノ型詠唱終了ギリギリを見極めて他の型に繋ぐなんて荒技もあるわよ』
なるほど。ところでその知識、どこからきたんですかね。
『私はスキルと「魔導書」とか諸々で構成されてできてるから、ちょっとした知識ならあるのよ。魔術は「滅術」しか知らないけどね』
で、ボール投げってのは、あれか、火球みたいな?
『そうね。そういうものよ。「氷」と「地」は特別で、物理ダメージと属性ダメージの両方の合計値が入るのだけれどね』
「ちなみに一ノ型だけは、火球のダメージに対して、一定以上のダメージと指向性を与えることで弾き返せます。後パリィで吹っ飛ぶので、盾を持ってる人にはあまり使いませんね、せいぜい牽制によく使われる程度です」
なるほど。
「ほう、牽制か。なるほど、確かに向いているな」
「…………確かに、そうだな」
「逆に言うと、基本牽制にしか使わない、だけどね〜」
「むぅ。しかしだな……」
サタニスくんが何か言いたげですけどムッシー。
話の続きを催促する。
「まあ確かに牽制にしか使わない、と言いますけど。ただ、一ノ型は他の型全ての威力アップにつながりますから、無駄ではないですよ」
へぇ。
『な、何よ。別に廃棄処分にしてないから適正スキルは有り余ってるわよ!』
へー、そうですか〜。
「では………」
話が長くなって、結局明け方まで散々魔術と魔法について勉強した。
まあしないと期間的にね。
しょちょーはタイトル戦を一ヶ月ほど先、と言ってるけど、タイトル戦が一ヶ月先なのであって、大会が一ヶ月先なわけではない。
タイトル戦、って言うのは、今のタイトル保持者の魔術師四人に挑戦する大会のことであって、タイトル戦に挑む四人を決める大会は、明後日なのだ。申し込み締め切り日は……
明日まで。正確に言うと、今日まで。日は、昇り始めている!
走れ! メ○ス!
一ノ型以外の魔術(魔術陣のことを、完結に術式、少し長く魔術式と呼ぶ)
・二ノ型(範囲攻撃。威力を減らした一ノ型を大量に打つ感じ。)
威力は1発につき一ノ型60%+INTによる補正。最大16発同時に打てる。
・三ノ型(長範囲高威力単発型。そこそこ広い範囲を持ち、高い威力を持つ単発魔法。代わりに避けやすい)
威力は一ノ型300%+INTによる補正。
発動時間5秒。
・四ノ型
近距離に向けて拡散放射する。
威力は、ゼロ距離で一ノ型1000%。0.5m〜1mの範囲で500%。それ以外は50%となる。
使い勝手が悪く、発動時間も5秒と長いため、あまり使われない。代わりに、硬直時間は存在せず、詠唱中に他の型を用意できる、と言う利点がある。なお、詠唱中に他の型の詠唱につなげるため、威力減衰は否めない。
他の型は考えときます……w




