ドラゴン退治 6
ティオちゃんサイドから始めようと思う。
なんだっけか。大人たちが何か騒いでた気がする……。うまく思い出せないけど。
大会……技術……力……冒険者……ギルド……そうだ。
龍が出たんだっけか。
龍……? んーと、翼があって、爪と牙が大きくて、長くて太い尻尾、だっけ……。それで知性的で、凶暴。違う違う、凶暴じゃなくて縄張り意識が強い、っていうんだった! フレイお姉ちゃんが言ってた!
えーと、すごく硬くて、熱いのもいるんだっけ……。
まあ私には関係ないね!
どうせ、こっちにはこないんだし。
それより早くこの国の闇を潰さなくっちゃ。
組織『守衛の大罪』
その総本山があるとされるこの国……。一体どこにあるのだろうか。すでに一年近く探し続けているが、構成員すら見かけない。
一般人に紛れているのだろうが、うますぎる。
アルマお兄ちゃんに手伝ってもらいたいけど、これは私の仕事だし……。第一、アルマお兄ちゃんがどっちかもわからない……。
『守衛の大罪』の犯罪は多い。
違法奴隷売買は当たり前、麻薬取引、殺し屋家業、果てには王族暗殺も何十件とやっているような真っ黒けっけ。
私だって……。
そして、何より厄介なのは、総本山があるこの国にいるのは総戦力でもなんでもなく、他の世界に分散されている。
もし、この国に、トップがいなければ、かなり面倒になりかねない。
………それに、最も警戒すべきは勇者。二人も召喚されたなんて冗談じゃない!
お兄ちゃんやお姉ちゃんたちに教えて、殺してもらえればなぁ……なんて考えたけど……。でもやっぱり自分でやるべきだよね……。
勇者……ん? 勇者……。
そっか。そういうことだったのか。
そりゃ見つからないって〜……。これだから頭いい人は〜……。
………ま、いいや。
とりあえず、大会の前に、アルマお兄ちゃんにでも聞いてみるとしよう!
……………………
Side change
……………………
ロラインとかいう鬱陶しいおっさんの相手をしました。
いやぁ、このおっさんまじで鬱陶しい……。レベルを聞いてきて、答えれば驚かれて、どうやって戦ったかを延々と聞かれ、それが終わったかと思えば、今度は他のギルドでは何をしていたのかを聞かれ……。話す内容がないっつってんのに聞いてくる!
もういやぁ……。
まあそれはそうとして、現在は頭の中? 心の中? 精神の中ってことにしよう。精神の中で、カレンがスキル整理をしている。
うん。何もなければこんな話しないし、何かあったってわけよ。
そう、出るわ出るわで大変だ。何が出るって? 被りだよ、KBR。
別に被りが出るのはいいんだ。ただ、整理する時、同系統スキルをまとめてから、中身を確認するっていう作業順番だからか、被る時は被りまくるのだ。
うん、もう一回言うけど、これだけならマジでどうでもいいんだ。
だって、被れば被るほどスキルレベルが上がってってくれるんだもん!
で、よ。何があったかってーと……。
『ね、ねぇ? 全部廃棄処分でいい? いいよねっ!!? だるい、だるいッッ! シネッ、フザケンナ!! 何?! 「魔法適性」8連続「火」よ?! バグってるの!? もう廃棄処分で良くないっ!!? いやもう、押すよ!』
お前は吉○○影かッッ!!? ツーか押すな! 絶対押すな!
『え? フリですか?』
フリじゃねぇ! フリじゃねぇって!! 頼む、押すな!
そう、何が大変ってこいつだ、こいつ。カレンだ。
スキル整理のKBRが多い多いって被るたびに報告してきやがるっ! いいから! どうせ共有されてんだから知ってるし!
『あなたも被ることの苦労を知るべきよっ! ねっ? いい提案でしょ?』
とか言い出す始末。スキル整理の過酷さはこれだ。KBRさえなければ楽しくできるのに、KBRから面倒になるっ。
『そうよそうよ!!』
も〜やめましょ〜よ〜!
『ハガキはまだあるっ』
便乗犯じゃねぇよっ!
いやもう、本当後悔してますね、この点に関してだけは。
いつか分裂スキルでも手に入ればいいなぁ……。
そしてこいつをボクの体から追い出してやる。
『というか、あなた私が戦ってる時にこんなことしてたのっ!?』
え、そうですけど。
第一、これしかやることがなかった。まあ見てるだけよりは、見ながら何かやろうかなぁ〜、って思ってやったら楽しくて。
それが動機ですねはい。
面倒なら寝てる時にボクがやろうか? 警戒しててくれるならそれでも……。
『…………別にいいわよ……。やるし……、暇だし……』
それに、楽しいし、とぼそっと呟いてる。
聞こえてないつもりなんだろうけど、きっちりきこえてますね、はい。
さて、それはさておき。
ロラインのおっちゃんの話をしよう。要するに現実を見ようってわけだ。
赤い髪に赤い目。あまり見ない特徴的な髪と瞳をしている人だなぁ、と思った。この世界って、髪の色と瞳の色でステータス特徴が現れる、もしくは現れやすくなるんだと。
このおっちゃんの話を聞いてみたところ、STRとVITが高いらしい。典型的な戦士ステータスでいいですね。
ボクなんて……ボクなんてぇ〜……。
まあそれはそうとして。妹の方が強いとか。
うん。まあ待とうか。妹は七つ下なんだよね? おっちゃん25歳だし。で、18歳。どっちも大体同じ敵とばっか戦ってる。
なんでレベル差ができるんでしょうね。
とか思ってると
『その子、神子なんじゃないの?』
という天のお告げが。
なるほど、神子。
シズも成長速度と成長加算があるんだー、とか言ってたような……。オリバーだっけ?
あー、そうだ。すげぇ懐かしいけど、ステータスランクなんてのもあったな〜……。じゃあステータスランクが、S? それか、神子でSランク?
ちなみにボクはE……EstinzioneのEだとか。
要するに、絶滅してるでしょwってレベルでいないステータス値なのだと。
まあ加算されることが前提のスキル・ステータス構成だし、今となってはどうでもいい話だ。
てことだ。
装備もそこそこいいの着てるっぽい。ボクは装備なんてあまり気にしてこなかったから、軽装でそんないいのは持ってなかったけど。
それに、装備ってつければつけるほど重量判定で動きが鈍くなるんだよね〜……。STRで補えるらしいけど、速度は大事。
特に『淑女』なんて化け物みたいに早かったし。まあ多分スキルなんだろうけど……。
それで、ちょこっと情報を整理してやがったおっちゃんが、復活しやがった。
「お前さん、何者なんだい?」
え〜……出たよこの質問……。これあれでしょ? 勇者って言っちゃダメなやつ。僕知ってるもん。
というか復活初の質問がそれかよ。ふざけんな。マジで何答えればいいかわかんねぇ。
「まあ、流れのものさね」
「いいや。そりゃないな。話じゃBランク昇格試験だっつった。よくよくききゃああんた、元々Bランク一級指定だそうじゃねーか」
なんだこいつぅ。めんどくさっ!?
別に誰でもいいじゃん! 冒険者の素性なんて不明不明不明でしょ、大体!
「あー、ハイハイ。そういうのいいからさ」
「…………チッ。そうか。まあいい。別にお前がどこの誰かなんて重要じゃねーしな」
重要じゃねぇとか言いながら舌打ちしやがったぞ、こいつ。
全く、意味わかんねぇぜ。
おっちゃん、少し残念そうに、質問タイムを終わりにした。
「そうだ。お前さん、この死体、どうすんだ?」
「え〜……。いいよ、面倒だしあげる」
ふぇっ!? という声がどこからかしたがまあいいや。
僕にとって、ドラゴンの素材なんて別に必要じゃない。薬? 必要なもんもらったしもういいさね。
ツーか、僕自身素材に興味ないし。生産? 鍛冶? 知りませんね〜……。
僕は肉体派じじいになりたいんだぁ。
『そう、丁度「状態異常付与スキル」ってのがあるんだけど、「老衰」があったわよ?』
あ、なんでもないです。
ティオちゃんの身長は148cm。年齢は14だよ。




