ドラゴン退治5+
三度目。ドラゴン要素はない。
「だ、大丈夫!……ですか……」
どうやら。シャイが冒険者を連れてやってきたらしい。
声を張り上げすぎてすぐ恥ずかしがる……。本当やりづらっ。
「うん。大丈夫だよ」
頭をポンポンしてあげる。するとあら不思議、俯きすぎてなにも言わなくなるんですっ!
耳まで真っ赤とはまさにこのことっ。いや、この子のこと!
そういえばツノっ、って思ったけど、今は帽子でうまく隠してるらしい。最悪アクセっつってもバレなさそうだけど……。
ツノに引っ掛けて帽子かぶってるから、頭ポンポンつっても結構側頭部に近いんだけどね。
「あ。こ、こんにちは……」
とてつもなく恥ずかしそうに、人見知りlv381なシャイは、このようわからん少女に挨拶をした。そういえば最近女子とばっかあってる気がする。もうちょい男子かもーん。
「どうも。名乗る名前もないのですが、よろしくお願いしますね」
こいつの名前って名乗る名前もないなんだろうか。本当、言い方くらい捻ってほしい。なんだろう、この名乗る程のでもないないですっつー強者感は……。
他の冒険者たちは死体漁りに夢中だ。残念ながらボクが欲しいものはないし、有用そうなものは全てこの意味不明人が持っている。ぶっちゃけあさられてもどうぞどうぞ〜、としかならない。
無駄になるよりマシだしね。そー、冒険者 いず すかべんじゃー。
それにボクは頭なんだし、どかっと構えてりゃ良いのさ。
魔王なんてね、強くなくたって良いのさ。
そんな中、シャイに最悪なことに気づかれてしまった。
「あ、あれ……?」
完全に忘れていた。
ボク今女子だわ。
…………………
Side.シャイ
…………………
稀有さんがお城を出ていくのを見た私は、帽子をかぶってそっとその跡をつけることにした。人間ではない、怪物、と罵られた過去のあるこの身体は、皮肉にもこう言ったことには向いている。足音すら出ない。
お城の外に出ると、なにやらぶつぶつ言い始め、そのまま街をぶらりぶらりしながら、冒険者ギルドまでやってきていた。
ギルドに一体なんのようなのだろうか、と思っていると、稀有さんは、手紙を取り出し、受付のおねーさんに渡した。誰への手紙なんだろうか。気になる。
が、私は透視能力なんて持ってないから、わからなかった。
手紙を出し終え、帰ろうとした稀有さんに、受付のおねーさんが何か依頼を推奨しているように見えた。
頭をかいて、ちょっぴり悩んだあと、稀有さんはそれを受けることにしたのか、依頼書を受け取り、契約金を支払っていた。
私は連れてってもらえないのだろうか。
ついて行きたい。あの人がなにをするのか気になってしょうがない。
優しいアヌビス様に教えられた。あの人がなぜ私を殺さなかったのか。
なんでそんな事ができたのか、気になってしょうがなかった。
稀有さんは、そのまま何処かへ行ってしまったが、私は受付のおねーさんに聞いてみることにした。
「あ、あの……」
「はい。どうしましたか?」
「さっきの人は……何を……」
「ドラゴン退治ですわ。Bランク程度ですので、問題ないはずですが……」
Bランク。私にとってその基準がどれだけ強いかはわからない。いつも、その人の、魔物の発している、『おーら』みたいなものを見て、これは強い、これは弱い、そう格付けしていた。
だからか、私は稀有さんが危険なことをしにいったのではないかと。そう思ってしまった。
第一、ドラゴン、と言う生物をよく理解していなかった、と言うのもあるのかもしれない。私は、ドラゴンを化け物みたいに強い生物、と言う認識でいた。
ステータスは一律500万を超え、小柄なものの方が速く、そして受け止めづらく、大柄なものは、受け止めやすく、鈍い代わりに、小柄なものと比べて圧倒的な威力を誇る、と言うことくらいしか知らなかった。それが正しい知識とも限らないのだけど……。
「えっと……」
「大丈夫ですよ」
にっこりと笑顔で返されては何もいえない。第一……
恥ずかしいっっっっ……!!
何……!? 馬鹿なの、私……!
大丈夫だから出してる依頼を疑って……!
っ〜〜〜〜!!!!!
穴があったらっ! 入りったいっ……!
そんなことを思っていた私の後ろから、数名の冒険者団……よく数えてみれば、二十四人ほどいた……がやってきた。
「ウフィーレアさんよ〜。あなたの腕を疑ってるわけでもなんでもないんだが……さすがにBランク昇格試験でドラゴンソロ討伐は、ちとないんじゃないか?」
え。
「いえ、あの人ならば問題ないかと」
「そう言う話じゃなくてよ〜……。ほら、あれだよ。ギルド自体の信用とかさ。Bランクの昇格試験がドラゴンソロ討伐でしたなんて大々的に広まってみろ。信用だけじゃなくてよ〜……。本部長まで来るかもしれねーだろ〜……」
「…………」
これ。乗れば、稀有さんを見れる、かも……!
「や……」
や……なんて言おうとしたんだっけ……。
みんなの視線が恥ずかしすぎて……すっかり忘れてしまった。
「…………はぁ〜……わかりました。昇格試験の監督として、あなたたち『木の葉』をつけることとします……」
まずい……っ。このまま流されてはついていけないっ!
そんな焦燥に駆られた私は、いつになく、恥ずかしいと感じることもなく、声を出した。
「わ、私もついて行きます……」
別段大きな声でも小さな声でもなかったが、きちんと聞こえたようだ。
言ってからなんだが、すごく恥ずかしかった……。
冒険者団『木の葉』について行き、ギルドから離れるとき……。
ふと、ウフィーレアとか言う受付のおねーさんの方から、舌打ちが聞こえたような気がしたが、きっと気のせいだろう……。
次回もこのままシャイ視点。恥ずかしがり屋だけど自己主張がちょっぴり激しいシャイ。書いてて一番楽しい。




