ドラゴン退治3
別にドラゴン要素ないですけどね
上空には、一人の女性がいた。身長170くらいだろうか。この世界の平均身長と比べて、比較的高めの彼女は、空という安全地帯から少年……鬼灯が『仕込み』に気づいて苦戦し始めたのを見て、独り嘲笑っていた。
楽しい。
元々奴隷の身として酷いという一言では表し切れないことばかりをされてきた彼女は、人一倍、残酷に、残虐に育ってしまった。
そして、幸か不幸か、彼女には、才能とそれにあった環境があった。残酷以上の世界という、彼女の才能にあった環境が。
ちょうど、ドラゴンが仕掛けで強化された力のままにブレスを吐こうとした。
あのブレス出力に彼が耐えれるはずがない。
上空にいた彼女は、それを確信し、次元空間から持参したであろう水筒を取り出し、蓋を開け、それをぐい、と飲む。
そして、飲みながら横目で見る。
そして、そして……。
燃えているにも関わらず、焼失しないドレスを纏った、女性を。
あれは……、誰だ……?
考える暇もなく、行動に出ていた。
彼女の主人曰く、彼の魂はかなりの大きさを誇り、半分に割ったとしても、なんら問題がない。
彼女が考えたこと。それは、まさしく今起こったことの通りであった。
彼が、『エラースキル』を使用したことにより発生した、もう一人の彼……彼女というべきか……『睡りの滅術師』。もし、これが本当であれば、彼は二つの命を持つことになる。
他の世界の勇者は、百を超える命を持ったとか……。
ここで確実にとどめを刺すには、ドラゴンとの戦いで疲弊した、消費した状態の彼を襲うのではなく、ドラゴンとの戦いの最中で、隙をつくのが一番である。
しかし。
隙をつく、つかない以前の話。彼女はもうバレていた。
いくら隙を吐こうにも、その焦りから出た行動の隙をつかれては……。
「知っていますか? 人は集中すると周りが見えなくなるそうですよ。不思議ですよね」
子供らしさを残した幼い声。しかし、その言葉に感じられる圧は、歴戦すらも超える、自らの主人を彷彿とさせるほどのものであった。
身の丈に合わず、足よりも長い黒の外套。
闇色の目。三日月のように湾曲した刃を持つ大鎌。
「ひぃ……っ!!?」
彼女は知っている。いや、知っていた。知らない方がいいことを。この世界には知らない方がいいことがたくさんある。
知る人間には、それ相応の何かがある。
彼女は、まだ幸せな部類だろう。抵抗が許されず死ねるなど……。
最後に何を思い、何を為したのか。
何も為さなかった彼女に、生き残る道は、生まれない。
次回も
( `・∀・´)ノヨロシク




