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世界に抗う少女 Ⅰ

茶番するの楽しいですよね


 思            考     

                     が

途      絶          し          


                        た。




▲▷▼◁



 誰も助けに気はしない。それを一番に理解しているのはやはり、この少年か。当事者である彼が、一番に理解しているのか。それはなぜか。彼は、裏切られた少年であり、切り捨てられ、信用を持っていたとして、信頼を持つことはなくなった。

信頼とは『互い』に信用し合うことなのだ。この少年はあくまで信用『される』立場なのであって、信用する立場ではない。ただ信じることがたまにあるくらい。


 だからこそ、知っている。一人で全てこなそうとして努力していく過程で、たまたま、そう。たまたま誰かに助けられてきただけなのだということを。

努力しなければ、誰も助けてはくれないし、まずその『たまたま』など、起こるわけがない。例え、助けてくれと、声を上げても、努力しなければ、その声は地上の誰かに届くことはない。


 簡単なことだ。大嫌いを裏返したとして、そこに大好きなど隠れていないのだから。


 だからこそ、彼はあがく。


 体が時間に犯されていくというのならば、時間から逸脱すればいい話なのだ。ちょっとした見方の違いで、人は神のような力を得ることができる。いや、それは比喩なのか。

だが、見方を変えれば、世界は大きく変わる。例えば、今の彼が怪我をして動けない状況を、死にそう、とみるか、限界に挑戦できる状態、という風にみるか。


 例えば、小説の主人公はみんなを守って、みんなに好かれる存在と見るか、邪魔する奴を暴力で屈服させ、好かれるのではなく、ただ助けられたから好かれているのか。

そう。実際には雪梅もアイリスも誰でも良かったのだ。自分を理解してくれて、助けてくれて、自分のことを思ってくれる人なら。それがたとえ先生先生と慕っているある少年でもなくとも……いや、きっとそれは変わってしまうのだろう。アイリスも自分のことを止めてくれるのがオリバーじゃなければその人について言っただろう。


 つまり、そういうことなのだ。ただただ自分に都合の良かった人物なのだ。


 もう一度だけ


いう。




 だからこそ、彼は足掻く。

混沌に、秩序に、深淵に、天空に、神に、世界に、そして、神話に。



▲▷▼◁



 一度で失われるのが、命。重々理解している。転生なんてそんなご都合主義なことが起こるなど、普通はあり得ない。こっちの世界にきている異界の人間に、転生者としているのはオリバーとアイリスだけ。そのどちらもが、自力でやってきた。

神様が転生させてくれるなど、あり得ないのだ。


 確かに、この世に神は何柱も存在する。


 裁神、選定神、至高神、魔神、聖神……いくらでもいる。ありふれた存在でもある。転生を司る神だっている。ザグレウスと呼ばれるゼウスの息子は輪廻転生の起源だとも言われているほどだ。


 が、それらはあくまで記憶をなくした上での生まれ変わりである。記憶を有したまま転生するなど、神の力を完全に消費しなければ不可能なのだ。

なぜならば、それは神を創った創造主たちである『神話』が本来は認めていないからだ。


 そんなだから、オリバーは神を信じていても、知っていても、頼ることも、願うこともしなかった。


 そして、オリバーは知っている。願いが叶った奴は、ただただ、神がその時、たまたま見ていて、暇であって、なんでもいいからやりたいな、って時だっただけなのだ。だから神は叶えてくれる。

逆にアイリスのようにオリバー限りで無償でなんでもしてくれるような神もいる。みんな、自由に生きているのだ。


「兄くん。稀有が、危ない」

「…………知ってる。でも、僕じゃ、僕らじゃあそこまで届かない。先に死んじゃう」

「私の回数も流石にこれ以上は前借りさせてくれない」


 二人とも、とっくに限界であった。個人的にも、組織的にも。


 彼らは彼らで『守衛の大罪』の序列第二位を相手取っていた。そして、勝利を収めた。しかし、オリバーの『執行官』は全員死亡してしまい、アイリスの配下のうち、今召喚できる奴らまでもが消滅し、ジブリール は結局参戦できず、フレア=ライス=ウインターはランダム転移でどこか行ったことのあるところへ緊急離脱してしまった。


 今この場にいるのは、アイリスとオリバーの二人だけであった。

残っているのは死体だけ。今となってはどれが誰の腕なのか、目なのか、脳なのか、皮膚なのか、肉なのかすらわからない。よく見ても、筋肉や骨が剥き出しとなった腕や足、そんな肉塊ばかりのこの場では判断できない。


 ちょっとでも歩くたびにぐちゃりぐちゃりと誰かの肉塊や飛び出して転がっている潰れた目や血をふむ。

誰が誰かなんてわかるわけがない。だって、仲間の死体を踏みながら戦い続けたんだから、それが原型を留めているわけがないのだ。


 今更彼らに生き返ってほしいとは思わない。全員犠牲者になってしまったとは言え、それで本望だったのだから。

具体的に、オリバーは壊れかけた。そんな彼を引き止めたのが、死んで行った『十一人の執行官』の言葉だったから。


「…………きっと、大丈夫だろ」

「兄くん、楽観視は……」

「わかってる。わかっては、いるんだ」


 でも、とオリバーは否定し、一度こんな惨状には似付かわしくない天空を見上げ、ため息をつき、


「きっと、アレがどうにかしてくれる」



▲▷▼◁



だ          れ              ?


 わ           た    し           

は         だ   れ?


 ボ           ク      は?


    お       れ        ?





私     は     だ    れ     ?


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