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鬼灯とシズの休暇旅行Ⅱ

 旅行計画。

特に思い入れもないが、こう呼ぶことにした。実際旅行だし、こんな名前でもいい気がする。


 そして現在、ボクらはどこにいるかというと、龍の背中の中にある部屋です。

簡単に言えば体内。まあどういうことかというと、少し遡ることになる。


 雪梅とシズを誘う前まで戻る、つまりはノルンに〈選定〉について聞きに行った時になる。

まあノルンにそういう伝承というか祭事というかがある国の場所やらを聞いた後、すぐに誘いに行ったわけではない。


「アイリス……」

「なんですか?」

「いや、なんでもない」


 泣いたからだろうか、目元の赤いアイリスが立っていた。

いやまあ元々泣き虫とは聞いてたけど……。あんれぇ? 確か魔神だったとかどうとか……。この泣き虫よう……少女が?


 ん〜。まあいいや。この部屋にはノルンがいないっぽいから、隣かな? とりあえず隣の部屋を覗くことにした。

 ら案の定いましたよ、ノルンくん。


 なんかちょっぴり不機嫌そう。どっちかというと、『不本意だ』って顔してる。


「あれ、なんで泣いてるの?」

「泣いてたの、でしょ? 喧嘩した。まあそれでちょっと久々にぶん殴ってあげたら泣いた」

「…………ああ、兄妹喧嘩か。じゃあ心配事はないね」


 アイリスのいた部屋の方を指差し、そういう。


 と。


 メコッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎⁉︎ と。

隣の部屋が思いっきり殴られたような音がし、壁が固定された紙屑を殴ったように破れ、片手に……なんだろあれ?


「お前……またケラウノスなんて持ち出してどうした? 世界を終わらせるとか言ったら殴るぞ?」


 あんたも存外に軽いんですね。


「ところでアイリス、次行く国なんだけどさ、遠いから旅客機の代わりだしてくれない?」

「? どんなものがいいですか? 獄地龍でも地上を走らせれば相当速いですよ? それとも仙山龍にしますか? 仙山という名前から外れて普通に空を飛ぶ馬鹿でかいトカゲです。〈妬龍〉なんてどうですか? 魔界ではよく客船としても使用されています。リヴァイアサンの方が伝わるかもしれませんが」


 すげぇ。全くわかんねぇ。リントヴルムとリヴァイアサンはまだいい。ペルグランスってなんぞな? 仙山龍っていうらしいけど、デカイの? リヴァイアサンとどっちがでかいの? 空飛んでたらどっちにしろ迷惑でしょ?


「ああ、龍はきちんと登録すれば空を飛んでいても迎撃されません」

「アイリス、どこに〈妬龍〉で空を跳ぼうとする奴がいる。まず仙山龍はリヴァイアサンの希少種だろうが。そうホイホイと出したら生態系ぶっ壊れるっての。ここはモ○ハンか」


 うーん、どういうことかな?


「ま、仙山龍でも一体だけなら大丈夫だろ、流石に何体も出したら僕が片っ端から殺すからね?」

「兄くん、可愛い」

「言葉が足りてないよ」


 えなに? これ何か略してたの?


「兄くん、ペルグランスは可愛い」


 想像と全く違った言葉が、飛び出した。







まあそんなことがあり、結局リヴァイアサン希少種こと仙山龍ペルグランスに落ち着いた。

ちなみに、他の候補として〈憤龍〉ニーズヘッグや天空龍スカイドラゴン……雑魚らしいけど……があったらしい。


 ちなみに仙山龍は、全体的に万能なリヴァイアサンと比べ、超防御特化型らしく、ノルンでも殴れば怪我をするらしい。最悪骨折するとか言ってた。

クソ硬いらしい。その上、鱗が軽く、身体の中身の大半は衝撃を吸収するための肉かどうかすら怪しい物体らしく、体内まで軽い。そのため、移動がすごい速い。


 さながら歩く要塞ならぬ走る要塞である。


 いやぁ、危険物だねぇー。


 そんなやり取りもあり、山のど真ん中で出現させた仙山龍をペット登録するまでも一騒動あった。

珍しくあいつも出てきたし、結構収穫はあったけど。


「ふう、貴女はやっぱりネグリジェが似合うわね」

「「……………」」


 着替えるー、と急に言い出した雪梅はシズを連れてどっかいった。

そう思っていたら、何故かネグリジェをきたシズとともに、自分自身は一切着替えず出てきた。


 ちょっと端折りすぎたが、事実はこんな感じだ。


「あのさ、ネグリジェって寝巻きなんだよな? なんで真昼間からネグリジェなんだ?」

「似合うから、かしら?」

「こう言うときだけ女子力発揮すんなまな板ガール」

「ま、まな板? 私がまな板だっていうの? 誰に切られろと?」


 あ、この世界でまな板は通じないみたい。

まあよかった。こんな狭いところで俊足の動きを得意とする雪梅とやりあったら即負ける未来しか見えん。


「シズ、ちょっと着替え直そうか」

「…………」

「おーい、シズー?」

「ああ、無理やり着替えさせたらそのまま固まったのよ」


 瞬間、多分雪梅より素早い動きでボクは雪梅の頬を手の甲で軽くペチン、と叩いた。

いや君何してくれてるのかな?


「可愛い子に似合う服を着せて何が悪いのかしら? 適材適所というでしょう?」


 これだから真面目は……そう毒づきながら、シズの手を引いて部屋に放り込む。

着替えてなさい。


「せっかく可愛くしたのに……」


 残念そうにするなや。


「そういえば、『淑女』の因子はどうなったの?」

「TSです……」

「? てぃ、てぃー、えす? 何それ?」

「性転換だよ。まあ『淑女』相手だし覚悟はしてたけど……」

「今は?」

「触れば?」


 ちなみに現在は制御できていないので寝て起きると勝手にどちらかになっています。そのため、女子。


 すんごいスースーするんですけど……。


「あ、胸ある」

「これさ、制御できてないんだよねー」

「災難ね。まあ、頑張ることね」

「……………」


 反論すらできない。

別に反論する必要ないんだけど。


 ちなみに因子とはさながら魂である。魂魄と言った方がいいかもしれない。

暗器カーテナの初速はレールガンの原理を利用しているので、マッハ3近くになる。それゆえに威力もえぐく、その上点。


 しかし、その目的は魂の一部を刈り取ること。

淑女の体を貫通したそれは、そのまま回収し、魂魄の一部を取り込んでおいた。


まあ、その結果今では立派な少女だ。

ちなみに胸は意外とある。ジブに下着を貸してもらえば? とノルンは提案したが、流石にそれは嫌なので、ジブリールとともに下着を見繕いに行った。


 そのおかげで今では女子としても男子としても、恥ずかしいことがなくなってしまった。

もう語彙力がなくなった。まあいいや。


 魂を刈り取られたダメージは激痛だが、それ以上に痛いのは魂同士の融合である。まあそこら辺は【破壊】と〈奪命剣〉で無理やりどうにかした。


「ルス、もう着くかな?」

『はい! もう時期つきますよー!』


 元気であり、どこかおっとりした感じの少女の声が、突如として部屋に生えてきたスピーカーから聞こえてくる。

これは仙山龍の能力だそう。自身の体内を自由自在にいじれるのだとか。これのせいでリヴァイアサンとはかけ離れてしまったらしい。




 それから少しして、ペルグランスのルスは城壁の見える大草原にボクらをおろしてくれた。





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