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鬼灯とシズの休暇旅行

 〈選定落ち〉とかいう現象を調べるため、ボクはノルンの元にやってきた。


「で、〈選定落ち〉について聞きにきたって? つーか何それ。〈選定〉なら知ってるけどさ、〈選定落ち〉なんて知らないよ? その〈選定〉に落ちた、落第者ってことじゃないの?」

「⁇ ねぇねぇ、専門用語を知らないボクでも分かるようにしてくれないかな? それともボクがそれほど有能だとでも思ってるわけ?」

「一体どこにキレてるのやら……。まあ……いいや。もう〈選定〉の伝承の残る国に行きゃぁいいだろ……」


 そんな手があるのなら最初からそう提案して欲しいんだけどなぁー……。

まあいいや。結果オーライって奴。


「あ、でも僕行けないよ? ほら、あれだよ。後片付けがあるからさ」

「……………ああ、うん……」


 そっか。ノルンはフィリエルを落とした後、国にその立て直しやら住民関連のことを諸々しなくてはならないし、実は『パーチェ・デルニエール』で正式に貴族として取り立てられるとか。准男爵らしいけど。ただし、その実権は公爵家並。まあこれからも役に立ってもらおう。


 さてさて、他の奴らにも声をかけておこう。

まずは放置してしまったので少し機嫌を損ねてそうなフレアさん。


「フレアさん、ちょっと遠出するんだけど、ついてくる?」

「………魅力的だけど、今回は無理そうねぇ」


 何故だろう? と首を傾げていると、フレアさんが後ろを指差す。

そちらへ目をやると、遠くで思いっきり手を振るフレアの部下らしき魔導騎士がいた。


「部下は、ちゃんと労ってあげてくださいね」

「…………あなたとは違うのよ。それと、私は『七星の闇』の構成員ということでいいのかしら?」

「ええ、もちろん」


 三日月のような笑みを浮かべ、ボクはそういう。

フレアさんはダメそうだ。


 お次は期待薄なアイリスの元へ。


「アイリ

「無理。ごめんなさい」

「い、いや。大丈夫だよ……」


 遮られたことで心に傷を負ったのは内緒だ。


 さてさて、お次は。


「シズ、いるかな?」

「……ん」


 部屋に入った途端、ボクの目の前に何故か体育座りのまま転移してきた。というかシズはミニスカートに直パンなので、体育座りされると目をそらさねばならない。


「シズ、えっと……」

「? ………っ‼︎⁉︎」


 体育座りのせいでパンツが見えていることに気づいたのか、すぐに手で押さえ込んだ。珍しく、興奮状態なのに口数が変わっていない。

どうやらあの性格は封じてしまったようだ。まあ三つの人格があると言ってもいいような状態だったしな。なくなって構わないよ。


 いまだに赤面120%で俯いているシズの頭をポンポン、と軽めに叩く。

ピクッと反応するのがまた可愛らしい……って。いやいや、そういうことをしにきたわけではない。


「シズ、療養も兼ねて旅行に行く気ある?」


 シズには旅行といった方が食いつくだろう。

まあ、実際旅行だし。かなり遠出だけど、地球の十倍以上の面積があれば納得できちゃうし、シズにはそれが当たり前だし。


「………いく」


 パッとシズの目の前にトランクケースが一つと大量の……まあ一部何かは言わないし、見ていないことにしよう……ネグリジェやらワンピースやら時雨用の服装やらがたくさん積まれ、横には缶詰の群生地が。ちなみに缶詰はこの世界では結構普通らしい。フィリエルにあったものを少し拝借してきた。残りは全部国民行きだったけど。


「転移って便利なんだね」

「むずかしい……」

「あ、そう……」


 え? いや、ボクは魔術とか一切使えませんから。憧れとかありませんよはい。

頬に何かがつたる幻覚を感じた。


「ようい、できた」

「ああ、うん。今日出れるかはわからないよ?」

「でも、できた」


 ああ、うん。わかったよ。子供の認めて欲しい、っていう欲求だろうか?

まあ認めてるよ。うん。君強いもん。


 今戦えば別かもしれないけど下手を打てば即死確定コースへと移行するし。

まずそもそもの話、相手の体内に転移するその力、おかしいと思うんだ。ボクよりチート主人公に向いている気がするよ。


「しゅっぱつ~!」

「………話聞けよ」


 続いて雪梅のところに。今回雪梅は出番がほぼなかったので、こっちも拗ねてそう。


「あなたは玉座にふんぞり返ってればいいわ。そうすれば、私が勝利をプレゼントしてあげたのに」


 ずいぶんないわれようだし、どうもノルンに言われたことと酷似している。ノルンが先生というのは本当なのかな。


「それで、なにかようかしら」

「旅行」

「うっ………用事が……」


 なんだ、そんなことか。


「旅行先でやれば?」


 まるでいいの? とでもいうかのようなその無駄にキラキラしすぎた目をやめてほしい。

いやまあ部下をいたわるのも僕の役目よ? 役目やけど、その目はやめて。


 どっちかというと遠征だし。


「そ、それなら……」


 普段は仕事にとりつかれているのにこういうときだけ乗り気になるとは。クラスに一人はいるタイプだな。

というか、ショッピング関連も手厳しいだのなんだのとノルンも言ってたし、こういうことが、仕事の次にあるのかもなー。


「待ってて。今着替えてくるわ」

「べつにいますぐいくわけじゃ……」


 ああ、うん。知ってたよ。


 お次はジブリール。

こいつはやらかした面が大きいし、ちょっと精神的に死んでそう。肉体的にもまだ動けないかも知れんけど。


「そ、そのー……けがが痛くて……。すいません。それに、騎士団のほうもありますので、そろそろ戻らないと代理団長にどやされますから……。すいません」


 代理団長なんているんだ。副団長じゃなくて、代理。全権を持っているわけか。

そんな存在、ない方がいいと思うんだけどな。まあいいや。魔導騎士団はまだボクの管轄ではない。いつかとるけど、まあまだいらない。


 『守衛の大罪』と争うときに、手伝ってもらうことにするか。

いや、でもアルカンレティアの防衛がなくなってしまう。


 やはり、まだやめておこう。


 えっと、あとはだれがいるっけ?

ノルンとアイリス、シズに雪梅、ジブリールにとフレア。よし、もういないな。


 あー、でも、一応声かけておくか。

まあこないし、来てても多分すがたはみせてくれないだろうな。


 ま、一応のため。一応、一応だ。


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