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闇夜に紛れし閃光ⅩⅢ

編集しました(※後半だけ)w

「へぇ、随分とやってくれんじゃねぇか」

「そうね。あんな賞金首だもの。こういう仲間くらい、いても不思議ではなくてよ」


 大柄なTHE・不良さんと淑女然とした女性。二人には随分と力の差があるように思えるが、気のせいだろうか?

とりあえず、筋肉質で大柄でTHE・不良の大男はボクの両分になりそうだ。


「その……」

「悪ぃけどさ……」


 二人がボクの後ろで同時にこう言った。



「「あれは生理的に無理」」


 ですよねー、という顔をして、そしてそのまま大男がキレた。

まあ目の前で生理的に無理と言われるのは悲しいだろう。わかるよ。


「うふふ、なかなか面白い方ですわね。これは、久しぶりに楽しめそうです」


 あんれぇ? なんか二人揃ってボクに向かってきてません?

ちょっ……、時雨さん‼︎⁉︎ この淑女さん飛ばして! 無理無理! ボク死ぬって!


 なんとか飛ばしてくれたようだ。二人で無理ならばこいつをひねり倒せばいいだろう。


「っ、てうぉ……‼︎⁉︎」


 こいつっ……!

純粋な膂力で押し負ける。スピードならば勝てるだろうが、純粋に膂力で負けていてはまともな勝負にならない。


 基本的にパワーはスピードに、スピードはテクニックに、テクニックはパワーに弱いという構図が出来上がる。

ただし、それはある程度同等の力か相手が格下の場合に限られるわけで。さらにボクは実戦経験に乏しい。ある意味、同格と格下との戦いが苦手だ。


「? 随分と手応えがねぇやつだな? そんなもんか?」

「生憎実戦経験に乏しくてね!」

「ふぅむ、つまらん」


 ピッ、と。

右頬が切れた。わずかに首を傾げておかなければ口の方から避けていただろう。口裂け男が出来上がっていたかもしれない。


「なるほど、回避力が高いのか」

「ご明察……」


 余裕がない。

同格と思って油断していたのが裏目に出た。こいつ、普通に強いじゃん! え? 何? あの淑女野郎が強そうだったせいで存在感がかうすれてたのかな?


 とりあえず、まずい……。


「移神・セフィロト・原型の世界……」

「奥の手か?」


 とっ、と。

二人揃って消え去る。




「…………+……」


 ある意味、憤怒の悪魔たるサタンを従えたことよりも、圧倒的な禁忌。



「……クリフォト・バチカル……」



 神をも超える力の塊と、神を信じぬ力の塊。

相反する力を、無理やり融合させる。






§





「あら、神子なのね。もう片方は魔導騎士の団長かしら?」

「この戦力でも、余裕ですか?」

「機械神でしょう? 知っているわよ……」


 すると、淑女然とした少女は、背中側に隠していて見えなかった手を、スッと出してきた。

繊細でそこまで握力のないジブリール でさえ、強く握ればおることができそうなほどか弱そうな腕であったが、何よりもその手に持つものが問題だった。


「この子でしょう?」



 それは機械神デウス・エクス・マキナのコアであった。



「え……」


 ジブリール は最初、ほぼ反応できなかった。元よりデウスとデアの二人はスキルに宿った神格でしかなかった。しかし、ジブリール の弛まぬ努力とスキルへの愛情から、二人は機械神へと進化した。

そんな二人の戦力はジブリール とほぼ同等。ジブリール は先頭になると実質三倍の戦力へと力を増幅させることもできた。


 そんな二人だったが、今ではジブリール よりも強くなっていた。

そして何よりも、ジブリール の二人への愛情は、恋仲のそれよりも強かった。


 疾風につかせているデアがどうなったかは不明だが、ジブリール の精神が揺れた。


 ピシっ、というガラスが圧力に耐えられなくなったような音がし、


 淑女然とした女の手から、コアが消失する。


「随分と強そォだなァ」

「うふふ。褒めても何も出さないわよ?」


 時雨が彼女からコアを取り戻したのだ。元より簒奪やら何やらに特化しているわけだ。取り戻すとか造作もない。


「コアから復活できるだろォが。惨めに死にそォになッてんじャねェよ」


 地面に崩れ落ち、座り込んで声すらなく、静かに涙を流す少女の手に、コアを握らせ、時雨は立ち上がる。


「優しいのね。足手まといの心配をするほどに」


 皮肉を込めた淑女然とした女性は、そう言った。


「名前を聞いておこォか」

「あら、名乗るとでも思ったら間違いよ。あなた程度に名乗るような名前じゃないの、神・子・さ・ん」


「‼︎⁉︎」


 ピュンッ、という光線でも飛んだかのような音がし、時雨の薄い胸と胸の間に女性の手があり、時雨はそのまま反応を許されることなく、吹き飛ばされる。

が、伊達に神子の扱う武具。この程度ではダメージはほとんど通らない。


そう、そのはずだった。


 時雨は無意識に迫り上がってきた〝熱〟を吐き出した。


 ゴポッ、という水っぽい音とともに、赤い液体が地面を濡らす。

いくら神子と言えど、怪我はするし、死の境界線も存在する。神子も万能ではない。


「っ………‼︎⁉︎ テメェ! 本当ォに人間かよ!」

「あら、それ以外の何に見えるのかしら? 私が魔神にでも? 悪魔にでも? 魔王にでも? 何に見えるというの?」

「ちぃっ!」


 時雨は元来長期戦は得意ではない。何せ転移を主軸として戦うのだから、如何せん三半規管の揺れや血流の乱れを起こしやすいのだ。体力は大して消耗しないのに、ここだけ消耗するのだから、この力に関してもまだまだ謎が多い。

そのぶん、成長の見込みもある、と言うふうに捉えられるのだが。


「私はねぇ、ずっと試してみたいことがあったの」


 ぴくり、と。耳が自然と反応する。何か、嫌なものがどこかで飛び出た気がした。それが気のせいなのか気のせいでないのかはわからないが。

残機は三。一つでも残っていれば問題ない。


 最悪の場合、転移で逃げればいいのだから。ジブリール を連れて。


「神子は、どこまで行けるのかしら?」


 いける? どう言うことだろうか。

そんなことを考えた矢先、時雨はその場を必死に転がった。服が汚れるのも体が擦れて痛いのも無視して、とにかく転がった。


 自然と時雨は心の中で疑問を受けとってしまい、すぐさまやられたと思う。心を、ペースを乱されかけた。

もしあのまま、本当に受け取って聞き入っていようものなら、今頃体に風穴開けて転がっていたかもしれない。


「神子という生き物はもはや人とは別物。私はそう考えているわぁ」


 ドッ、ドッ、ドッ、と心臓が奏でる音が耳で認知できてしまう。


(うっせェ……だまれ……鎮まれよクソがっっ!! 怖い……?! このオレがっ……!! 怖がってるとでも言うってンのかよォ……!!)


 冷や汗が止まらない。

逃げ出したい、と言う後ろめたい考えがどうしても滲み出てしまう。


 一歩。


「神子は人じゃない」


 二歩。


 腕をふるい、攻撃を仕掛ける。

仕掛け、る……?


(どういうッッ……!?)


「神子はある種の魔物。ある種の神」


 弾かれたわけではない。主人たるあの少年みたく、物で弾いたわけではない。

何か、視認できない絶対的なものに阻まれた、というのが一番近いだろうが、それも違う。


 まず、発動していない。


 三歩。


「なら神子は魔神に分類される、もしくはなれるのではないかしらぁ?」


 何を言っているのか理解できない。しかし、今はそれがありがたい。理解できていたとしたら、きっと自分は聞き入ってしまう。だったらいっそのこと、理解できずに放棄するほうがマシだ。


 走る。

まずはこの女から逃げるしかない。


 なぜ、自分の力が発動しないのかわからない。故に逃げるしかない。

生憎ステータスは高い。逃げるだけの速さはあるはず。


 次の攻撃を見切って逃げる。


 使わせてもらう。

天賦能力(エングレイヴ)『いなし構え』


 打ってきたら、自動でいなし、次の行動まで一切のダメージを負わなくなるスキル。




「うふふ」




(だからよォ……なンで……)






 ドシュッ、と。血が噴き出る音がした。肉が張り裂ける音がした。血が滴る音がした。筋肉が壊れる音がした。骨が、神経が、いろんなものが壊れるような、そんな幻聴を聞いた。






(発、動しねェ……ンだよォ……)






 壁にぶつかった気がした。

けれど、不思議とそんなのが気にならない。


 どこか心地がいい。


あぁ、きっと、死ぬ時はこれよりもいいものが降り注ぐのだろう……。




   *



「  あ 、 い 」


 言語能力なんて留めてられなかった。

言い訳も、命乞いも。


 地面から生えてきた槍には、聞いてもらえなかった。

 

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