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闇夜に紛れし閃光ⅹ

 共和国なんて呼ばれているが、そこに国民はそこまで含まれない。

それに反発したのが当時旅人であったノルンとアイリスだ。


 二人の旅人は商人や旅人の方が好待遇であることに不満を持った。無論、彼らも旅人であるが故に好待遇ではあった。しかし、そこは旅人なりの許せない私情がある。

私怨如き、とバカにする輩は、真に人のために動けない連中である。口ではそう言っているだけ、など言っていようが、それは変わらない。それを口にするという事はそう思っているのとほぼ同義であり、実際に迫られた時、決断を逡巡する。


 そんな風なサイクルがある。


 ノルンは見逃さなかった。

名前の由来が〝平和〟なだけはある、そう思ったわけだが、国としてはたまったもんじゃないだろう。


 たかが数十歳程度の子供と鷹を括ったまま軍を派遣したら全滅。幸い死者はいなかったため、療養していた兵士は今では復活している事だろう。

しかし、それでも被害は甚大だった。軍事力が減っている今、他国との貿易や法の取引をする際、強く出ることができない。勇者が残っているとはいえ、手を組まれればそれまでだ。勇者なき国を叩かれて終わる。それに、もし勇者が役目を放棄したら? 軍事力がほぼゼロのフィリエルは投降せざるを得ない。


 それ故に今のフィリエルはまあまあ強くなってはいるのだが、まあまあ程度だ。

いくら心を入れ替えようとしたって、人間。相当なことがなければ変わりはしない。まだ、ボクのことを子供と見ていたように……。


 今殺した兵士も、そうだった。

ボクが子供という理由で殺される、までは思い至らなかった。これが、平和ボケ……いや、カースト制度の影響か? 子供に影響力はない、そう認識してしまっているのか?


 どちらにしろ殺すことに変わりはない。

この国は洗浄しておくべきだ。


 無論、洗浄して終わりではない。

ボクとアイリスの直轄部隊〈Keter〉が作られたのは『七星の闇』結成から一週間のことであり、速いケテルがノルンの故郷の国に戦争の話を持ちかけ、国をこちらで落とすかわりに、お前らが統治しろ、つまりは戦後の後始末を頼んだのだ。


 運が悪いのかいいのか、フィリエルはノルン達の故郷の隣国だ。

無論取引もあった。だからこそ、だ。


 ノルン曰く、あの国は今領地拡大のためにどこかの国を落とそうとしていた。

ならば油に火を。そんなわけで『七星の闇』はノルンの故郷『パーチェ・デルニエール』の協力を得ている。それ故に、城壁を壊す事は禁止となる。建築物もできるだけ維持する方向性。実質、破壊は禁止。


 【破壊】のうち、〈現実破壊〉の使用は気をつけなければいけないらしい。

まあそりゃそうだ。下手に発動して建物を破壊してみればわかる。どれほどの威力か……。


 簡単にいえば、東京スカイツリーなど触れるだけで原子レベルでの分解が発生する。正確にいえば、物理法則全てをガン無視して原子を崩壊させる。単純にいえば、この世から消失させる。ただし、それは触れている部分が連結していた場合の話だが。

ネジでの連結では消す事はできない。根本的に一つのものでないと消す事はできない。あと生命は攻撃にはなっても殺すことも消失させることもできないみたいだ。これは勇気を振り絞った(………はず)のノルンのおかげで判明した。


 まあ当人死んだらアイリスの『お願い』で復活するつもりだったらしい。

あれのスキルなら『お願い』しなくても自力で復活してきそうな予感はするのだけど。


 ふと。

遠くで構想が勃発した。視力が足りないゆえに見ることはかなわないが、『現実の破壊』によってうまれた聴力によって聞き取ることはできる。


 気にする必要はない。

こっちはこっちで動いていればいい。


 ちょうど兵士の増援がやってきた。

その数は目視で数百ていど。本気で殺しにきている。学習しているのだろうか。まあ相手にならない。数百の戦力も扱い方次第では雑魚同然。


 典型的な馬鹿。

というかこの国の参謀さんは本当に仕事をしているのだろうか?


 うん?

気のせいか。今一瞬とはいえ、あの中に違和感を覚えた気がした。


 なんていうか、初心者の中に交じったプロのような違和感。ここで自分をめげるべきか、貫くべきか。

迷う必要はない。殺せばすべて言おわる。『奪命剣』の本質として、〝剣〟ではなく、『奪命』だけ。根本的な魂の視覚。


 掴むことにある。

神にも魂はある。魂の宿らぬ神というのが『神話』であり、神はその下。


 アイリスのような『神宿降臨術式』のような特異な場合でない限り、ボク

の『奪命』は効果を表す。

『神宿降臨術式』は神を当人の身に宿す力ではあるが、そのさい、魂を加工する。髪の圧力に耐えられるよう加工する。ゆえに奪命の効果が出なくなる。正確には、魂に触れることができなくなる。天界に魂が届けられる、という感じか。


 もとより神に対抗できる『不可視の質量』を持つ『奪命』そして【破壊】のこの二つがどれほどのものなのか。

まあ一度時雨に質量負けしているため、【破壊】はまあ対神には向かなさそうだとは思った。が、それはあくまで神に対しての話。鍛えれば変わる?かもだけど……。


 スッと。

普段通りとでもいうように手を掲げる。


 僕の手が握られ、掴まれるのは一本の木の棒。

『邪悪の樹』と『生命の樹』という二つの世界樹がある。その両方の性質を、そして何よりも、すべての性質を背負っている、つまるところ、『邪悪の樹』と『生命の樹』をさながら凝縮したもの。


 その存在は悪魔と天使に守護される、一本の枝。

また、『邪悪の樹』の葉は食べたものを根源から殺し、『生命の樹』の葉は食べたものを根源から蘇生させるという。根源、つまり魂からの組成というのがどういうことかはわからないが……。


 この木の枝、ただしくは木刀なのだが、こいつ自体、そこまでの威力は持たない。そう、あくまでこいつ自体には……。

こいつの真価はその加護にも似た守護にある。


「移神・クリフォト・シェリダー顕現」


 『拒絶』を示すシェリダー。

その効果、ある一定の力を持つ存在の空間侵入の拒絶。


 きちんと二人、引っかかっているようだ。違和感は正しかった。


 効果が一度出たものは、効果時間が持続する限り残り続ける。


「移神・クリフォト・アクゼリュス顕現」


 【破壊】の効果があるからこそ、これはなすことができる。

クリフォトはもとより『殺』に特化した能力ばかりを司る。それゆえに扱うさい、慎重に注意していなければ、普通は即死する。最悪の場合、根源から滅ぼされる。


 その死亡する現実を破壊したうえ、その効果である幻想を破壊する。そうすることでリスクゼロで行うことができる。

そのうえ、最低でも使用した体力は〈奪命剣〉が勝手に補ってくれる。


 この能力の活用法だが、もっとも簡単に行っている人、といえばノルンである。

ノルンは反転や転換、置換といったことに関する能力である。

それゆえにこの戦法と相性がいい。


 アクゼリュスの顕現には時間がかかるとはいえ、その間の時間稼ぎなどこの程度の連中。簡単だ。

アクゼリュスの効果はいたって単純。対象者が発動者の半分以下の力しかもっていないこと。むろんステータス依存。ステータスが半分以上だとアウト。詳しくは半分+1なのだが……。


「そぉ 、  れ‼‼」


 数人余波で殺しちゃったけど、まあいいや。


「さよなら、名も知らぬ英雄たち」


 アクゼリュス、残酷性。

それに指向性を持たせる。



「〝嵐〟」


 威力は発動者の残酷性に依存。

今のボクに、人間としての良心はあっても、残酷性がないわけではない。その残酷性を推し量れば、まあこの世界の子供が消え去るかもね。


 対悲鳴に特化した耳栓をしているからか、悲鳴だけは聞こえない。

そのかわり、これは聞こえてしまう。


「たす けてく、れ……」


 地面に命からがら落ちた、正確に言えば生き残った兵士さんが一人、たぶん奥の方にいたのだろう。ボクに向かってそういった。

こまったな。ここで殺しちゃってもいいんだが、利用価値がないとは言えない。


 利用するとすれば、襲撃者は逃亡。生き残りが一人。

という感じで内部に潜入することだ。


 いいや、助けてしまえ。

そして、あとでつぶすか。


「『初雪』、治療を」

「…………承知」


 逡巡していた。

敵を助けるとはどういうことか、そんな顔をしていた。が、悪いが無理にでも名得してもらう。ボクはわがままなんだ。


「傷口、拝見させていただきます」


 突如として現れた『初雪』に多少みじろぐ兵士だが、その手の動きから相当の実力者と見抜いたのか、勝手受け入れてくれちゃったようだ。

『初雪』は内心ではいやがっているのだろう。しかし、それでも主からの命令。こちらも勝手に受け入れてくれちゃっている。


 そういえば、『初雪』にもいつか名前をあげるか。

そうだな、あとは、鉄扇でもプレゼントしよう。『初雪』は和装だから、扇が似合う。だろう。


 あとはこいつを利用して内部に潜入しよう。最悪、暗殺方面に以下らを入れることも考えておこう。






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