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闇夜に紛れし閃光④



「アイリスが誘拐された?」


 冗談めいたノルンの報告に、声が少し……落ち着く。


 どうせ、そうなる可能性は考慮していた。

焦る必要はないし、焦ってもいいことはない。ゲームの鉄則にこんなのがある。


 負けそうになり、焦って行動する奴。怒って、復讐心を抱く奴。そういう奴らは上達しない、と。


 どんな状況でもゲームは真に楽しめる奴こそが上達するのだ。


 ところで、アイリスって魔神級のステータス 持ちだったような……。

魔神ってあれだよね? ボクらが倒すために呼び出された原因。それと並び立つほどのステータスを持っていながら誘拐された。


 個人的にこれの流れは理解した。


「ノルン。お前を臨時とはいえ、七星統括に任命する。全員まとめあげろ。ボクは個人で動く」

「臨時っていうのに納得いかないけど、まあいいよ。さて、今回はあれでいいんだよね?」

「君とボクの思考が噛み合っているなら、あれであっている」



 あれ。

つまり、組織『七星の(トリガー)』を表に出す。


 組織名を考案したのはノルンだ。

表に出すタイミングを決定したのは博識なアイリス。


 表に出すタイミングは、現時点で『七世の闇』に入っている誰かが大きなトラブルに巻き込まれた時だ。

今回で言えば、アイリスが誘拐された。


 ただ、問題はそれが大きな問題かどうか、である。

小さすぎると、ジブリール を介してアルカンレティアに記録を残せない。大きな問題を解決したとなれば組織の名が載せられるが、それ以外だとどうしても……ジブリール の権力でも不能だ。


そう言えば、ジブリール の天賦能力は【機械(デウス・)仕掛ケ(エクス・)ノ(マキナ)】だそうだ。

略してマキナ。簡単に言えば、脳内演算装置であり、それを自身の分身体に意思反映して会話することも可能らしい。


曰く、交渉の時に使ってくれると嬉しい、と頬を朱に染めて言っていた。

一言余計だったようだ。


 というか、一つ。

ここで思ったことがある。


 今までボクの【破壊】は活躍しただろうか……?

なんか時雨との戦いでも破られたし、ノルンとの模擬試合では質量負けした。アイリスとは元の実力差で凝縮する前に潰された。


 【破壊】というスキルこそが最強と思っていたが、どう考えてもアイリスたちの方がチートだ。

というか、アイリスって転生者なんだよな。それが何をしたら一七歳で魔神級になれるんだ? もっと修行とかしてなるべきものじゃないの?


 いや、ボクの〈奪命剣〉は成長チートだからまだわかるけど、アイリスってもしかして全体的にチートなわけ?

そう考えると一番謎なのがノルンだ。質量負けしたのだ。完全に点で凝縮したのに、だ。


 これが最大にまで広げていたならまだわかる。

アイリスも二回目では質量突破していた。


 が、ノルンは別格だ。魔力弾が飛んできたので、警戒も兼ねて人差し指に凝縮して突いた。

そのはずなのだが、パキン、と氷にヒビが入るような音がしたかと思うと、パリン、と何かが割れる音がして、魔力弾でボクは吹き飛ばされていた。


 今思うと、あれは魔力弾ではないのかもしれない。


 あと、終わりの方で握手しにきたから、終わりかと思ったら余裕で右手が吹き飛んだ。

…………あれは理解できない。


 もうノルンはそういう存在だと思っている。


 それとも、ボクの【破壊】はまだ進化するのだろうか?

ダンジョンコアを吸収するとか? 魔石を吸収するとか? そういった隠し要素に似た何かがあるのかもしれない。


 ここは組織の団長としても調べなくては。そして強く、もっと強く、最も強くならなくては。

本音はまた捨てられたくないだけですはい。


 特にノルンとアイリスが徒党を組んで攻めてきたら、多分本当に下克上は成り立つだろう。

今のボクでは手も足も出ないし、逃げ出すことも難しいだろう。


 それよりも気になるのは、リーダーや団長といった組織のトップを一人で闘いに向かわせることを黙認しているあいつらだ。

ノルンはその必要性がないから、とかいいそうだが、ボクより強い奴は絶対にいる。というか、いる。


 ノルンだってそうだし、アイリスやジブリール にも敵うかわからない。


 なんか、仲間の方がチートじゃない?

正直このままだと、ボクってお飾りになる予感がする。うーん、利用価値だけで残されるのは嫌だな。


 まあそれなら話は簡単だ。

動物を飼うよりも、武器の手入れよりも、商品の目利きよりも簡単だ。





強くなればいい。





こんな簡単なこともこなせないリーダーなど、あいつらもいらないだろう。

強くなることほど簡単なことはない。


 強くなる、といえば、〈奪命剣〉の補正値とはどんな感じで作用するんだろうか?


 もう一度、じっくりと落ち着いてみようと思ったが、それならばアイリスに聞いた方が早い。

アイリスを助けてから聞くのと自分で考えるならば、前者の方が速いし、両立できるわけだし、楽になる。


 アイリスが捕まったのがどこか、それを探しに出かけたのがジブリールで、えっと……痕跡を色々と探してくれるのがノルンで、ん?


 ノルンに渡された役割配分を見ていたところ、一つ、あれ? となるところが……。




「ボクの護衛、いるじゃん……」




 そこにはきちんと、『雪梅(リーチェ)・護衛』と書いてあった。

つまり、ボクの早とちりであり、確認のし忘れだったわけだ。


 が、問題はそれで終わらない。

雪梅はどこにいるのだ? 護衛対象の前に姿を現さないでどうするんだろうか?


「一応言っておくわ。私は陰に潜れるのよ」

「………………」


 驚けなかったというか、驚く気がなかったというか、なんというか唐突なことだったので、木剣を抜く寸前まで真顔で対応していた。

ちなみに、もし顔を知っていなければ、今頃切り捨てていただろう。


 木剣で切り捨てるというのもおかしな話だが……。

叩きつける、と言った方が正しいだろうか?


 それはともかくとして、本当、なんでこう変なスキル持ってる奴らしか集まらないんだろ?

ノルンは前世から持っているという『OS(アウトサイダー)』。アイリスはよくわからないが、五年に一度周期でたまる力を使用した、世界の法則すらねじ曲げることができる祈願。


 癖がありすぎる上、使用するたびに一国が吹き飛ぶ程の威力のように聞こえる。

それと比べると、陰に潜る、というのは地味だが、結局は変だ。


 まず、有用性や汎用性はあるが、何かと地味だし、目立たないし、一度きりの技ともなる。

そう考えると、他に何かスキルを持っているか、あくまでその力は一端でしかないか、そのどちらかとなる。


 部下としてみれば後者であって欲しいが、敵としてみれば前者の方がまだマシな場合もある。

まず、影を操る、というタイプであった場合、陰縫いなんてことができれば、それこそ厄介極まりない。


 それに、影からトゲ的なのをはやして攻撃したり、影を介して転移に近い現象で距離を縮めるとかできれば、もう戦う気が削がれる。

見た瞬間に全力ダッシュするだろう。元来た道目掛けて……。


 やはり、味方がチートだな。

というか、すでに魔神軍とも戦えるほどの戦力になっている気がする。


 さて、アイリスはどこにいるのか……。


主君(ロード)、痕跡の解析が終了したそうよ。ジブリール に痕跡を追わせる見たい。この先の第三広場で合流しましょう」

「了解。ジブリール に中央で待つよう報告できるかい?」

「距離的には、こちらの方が速く着くわよ?」

「じゃあ、中央で待ってるってよろしく」

「わかったわ」


 そういい、陰に潜って移動を再開しているらしい雪梅を見送り、さらに加速する。


 アイリスを連れ戻したらやりたいことがあるんだ。

簡単に逃すかよ……。




広場の中央で、ジブリール と合流した。


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