闇夜に紛れし閃光③
「久しぶりだな、フレア」
「随分と……なんでもないわ」
フレアは何も変わらず、多分用事を淡々とこなしていたのかも知れない。
そういえば、ボクのパーティーに入ったのはノエルとの私情、とか言ってたし、仕事をさぼってやってきていたのかも知れない。
随分と大胆なことをする人だ。
「仕事、さぼってたのかな?」
「ええ、まあ大体は部下に任せてたけど」
この人最悪だ。
自分はサボってるくせに部下には働けって……。休ませてやれよ。
と言うか……
「部下とは?」
「ちょっと、言語理解能力と単語理解力は大丈夫かしら?」
「そう言うことじゃなくてだな。フレアって部下いたのか?」
「まあね。小隊だけど……」
初耳だ。
というか、部隊を率いているならサボるなよ……。
「それより、さっさとついてきて頂戴。総団長は待たせると損するわよ、特に、男性で、初対面なら、ね?」
うーん、総団長とはどんな人なのだろうか?
待たせると損とか……。まるで怒られるよ、と言われている気分だ。
「総団長、入りますよ」
ガンッ、とドアが返事をした。
怒っているのか?
フレアがドアを開けて、後ろに下がる。
どうやら、招待されたのはボクだけのようだ。フレアは入らないみたいだ。
「入ります」
第一印象は大事。
意識しておかねばやらかしかねない。気をつけて……入念に……。
「……………」
できなかった。
中にいたのはスカイブルーを少し薄めたような髪色の少女であった。そう、完全に少女。
怒ってもいなかった。
ボクをみて、指を合わせて、微笑んでくれた。
そういうことか。
総団長の好感度を稼げる、それがフレアの言葉の真意。そんなものいらないが、確かにあった方がいいし、それに、これからもし、魔導騎士団に手伝ってもらうことがあれば、優遇してもらえるかもしれない。
「えっと、私はジブりゅ……」
赤面120%になって明後日の方向を素早く向く総団長。
これが本当にあの魔導騎士団総団長なのか? 第一印象はただの少女だぞ?魔導騎士団を支えるだけの知力と武力はあるのだろうが……。
それでも、これではただの天然系少女でしかない。
特筆点が見られない。いや、総団長に何を求めているんだ、ボクは。いやいや、普通が一番いいでしょ。
あ、そうか。
ノルンとかシズとか、異常者ばかり近くにいたからこんなになったんだ。
トスッ、と。
極平然と総団長・ジブなんたらは自分の心臓部に、指を突き刺していた。というか、右手がすっぽり体内に入っていた。
頭はカクン、と項垂れ、目からは精気が失せている。
え? この程度で自殺? と思っていたらピョコン、と元気を取り戻した。
「えっと、私はジブリール って言います!」
元気っ子、というよりはジャジャ馬というイメージが高い。
これ、魔導騎士団の連中相当苦労しただろうな……。こんなのが団長だったら、ボクだったらやめてるな……うん。
あ、でも可愛いという理由で残る人いるかもしれないなー……知らんけど。
「えっとですね……」
どうやら、話すことも特にないらしい。
ので、こっちから話を持ちかけるとしよう。
「話すことがないなら、こっちから提案してもいいですか?」
「う、うん!」
少し戸惑いつつも、嬉しそうに、笑って頷いてくれる。
「ボクの組織に入ってくれませんか?」
「え、いいの?」
うん。
何この人⁉︎ フレアよりダメ人間じゃないか。大勢を引き連れてる中、逡巡も一瞬のためらいもなくそう返してきたジブリール を見て、そう思う。
「…………魔導騎士団に思い入れは?」
「何もありません! 全てノエルさんに任せて脱退します!」
ペチン、と適当に頬を叩いておく。
「痛っ、何するんですか⁉︎」
本当嫌だ。
この人普通だと思ったボクがバカだった。ボクは不幸だ。そう認識しておこう。そうしないとこの先やばそうだ。
「えっと、では魔導騎士団ごと入る、というのは?」
「でも、魔導騎士団は基本この国から出られないですよ?」
あ、そっか。
でも、箔は欲しい。あの魔導騎士団を取り込んだ組織、という箔が付くわけだ。ならば無駄ではない。
「ええ、構いません。欲しいのは魔導騎士団が入っている、という事実ですから……。それと、総団長とフレア、ノエルの三人は欲しいですね」
「私は構いません!」
ジブリール 。
その補佐であるイブリール、そしてフレアが組織に入ることが決定した。ありがたい。
これで七星はまあまあ埋めれそうだが……問題はフレアとのイブリール はあくまで、組織でジブリール の手足に過ぎないわけで、つまりはノルンの『執行官』みたいなものなのだ。
つまり、今この瞬間で、実質七星は一人しか増えていない。
あと三人……これ以上、あてはない。全くないわけではないが、誘うためにリスクが高すぎる人ばかりとなってしまった。
それに、ボクのリストだと残り二人だけだ。
アイリスがリストアップ終わらせてくれてると助かるなー。
§
その頃……アイリスは……
「むぐぅっ………‼︎⁉︎ っ………」
誘拐されていた。
あなたの体内にシズが爆弾を送り込んできたようです。
さあ、どうしますか?
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