第十五話 フレアの真実・第二波
そういえば、題名を変えました。
第二波。
地獄続きのスタンピードだと、参戦した者たちは、そう評した。
あれほどのスタンピードは、二度と起こって欲しくない、とも。
それを先に聞かされようが、後に聞かされようが、納得できると、鬼灯稀有……俺はそう思った。
目の前には、第一波とは比べ物にもならない量と質の魔物の大群。
第一波から疲れを取る前にやってきたがゆえに、周りの冒険者はすでに疲弊している。
中衛にこのレベルがくる、ということは、前衛にB+以上の魔物が出現したと思われる。つまり、それはこのあと、第三波と最終波でAランク以上が現れる可能性がある、ということなのだ。
ただでさえ、疲弊した中でのB -の魔物大群の出現。
士気は低下し、騎士団や魔術師団は団長を呼び、国は最高戦力をつぎ込み、それでさえ第三波で砕かれる可能性すら感じ取れる。
どうするべきかは、一目瞭然。
どんなに疲弊していようが、冒険者と騎士たちには、一般市民を守る、という絶対がある。それがある限り、諦めることはない。
まあ一般市民を守るだけではなく、自分自身のためだ、という冒険者もいるだろう。
ダッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎
と。
五百人を越す中衛の冒険者や騎士たちが走り出した。
その音だけで、魔物の鳴き声など相殺させる。それが、彼らを鼓舞する。
魔物の大群の鳴き声による怯えを消してくれる。
うち進む。
全てを破壊して。
出し惜しみする余裕など、とうに尽きた。
本気で、最初っから全力で行く。
そんな意思を心に抱き、木剣を取り出し、【象徴の器】を全力で行使する。
今この場で、まだ危険ではないうちに、先ほどの休憩の残りとして……。
強化を施す。
生まれかわれ。木剣。
その意思を汲み取ったかのように、木剣は神々しい光を、あの時のような光を発し、その木剣というだけの評価を覆す。
———————————————————————————————————
神木の象徴剣+3
STR+2300
スキル
【神の象徴】
【象徴の器】より強化値分倍増。
【時流活与】
効果倍増。強化値分倍増。
【不壊】
この武器は破壊不能。
———————————————————————————————————
強い。
神器は人の意思を反映すると、そううちの家計では言われていた。神話とは関係ないとはいえ、これでもうちの家に伝わっていて、俺が寝る時であろうと、片時も離さなかった木剣。
俺の意思を思ってくれた。
感謝しかない。
【不壊】というチート性能。さすが神器と思い、俺は生まれ変わったその相棒を存分にふるう。
「はあッッ‼︎‼︎」
息を吐き出しつつ、グレイウルフに斬りかかる。
その勢いを残したまま、さらに上位種のマンティコアに斬りかかる。
マンティコアは嗜虐獣と呼ばれるほどの残虐性を持つ魔獣。早めに駆除しておかなければならない。
それら二体を両方とも一撃で殺し尽くす。
第一波での補正値のおかげで、実質Bレベルのステータスを突破している。
今ならば、A -でもおかしくないステータスだろう。
そこで攻撃の手を休めたのが、最大の間違いであった。
忘れてはならない。
俺たちは、数で圧倒的に負けていたことを……。
そして文献で読んだではないか。
スタンピードの魔物は、わずかながらも知性を獲得している、と。魔物同士の連携も過去に確認されていた、と。
時すでに遅し。
目の前には十匹以上の魔物の連携。終わりだ。構え直す余裕はない。
その時であった。
バシャリ、と。
生暖かい液体を真正面からくらう。
呆けて、諦めて開いてしまった口の中に少し入り、俺は慌てて吐き出す。
何が起こった?
「大丈夫かしら?」
そこでは、フレアが炎魔術でもなく、まず魔術ですらなく、槍という形で、魔法器を扱っていた。
フオン……。
という静かで、それでいて恐怖心をくすぐる音とともに、フレアの杖こと槍が振るわれる。
それだけで、フレアに迫っていた目前の魔物が全て、哀れな、醜い肉塊と化す。
「一つだけ」
フレアは、そういった。
それだけいうと、また槍を振るった。
哀れな肉塊がまた増える。
「貴方に嘘を吐いていたわ」
なんのことだろうか。
こんな時に言うことでもない、と。そう思うのだが……。
フレアは、尚も槍を振り続ける。
ぐちゃり、びちゃり、と。
臓物が吹き飛ばされ、仕舞いには俺にまでそれがかかってきた。
「私は、貴方にステータスを偽ったわ」
感づいては、いた。
あの時見たスキル、【隠蔽】。
あとでノエルに聞いたところ、あれはステータスを偽るスキル。
ただ、格下に限られる、と言う条件があった。
フレアの正しいステータスは……
「私は、レベル————」
フレアは、少し勿体ぶるようにして、そして槍を構え直し……。
「—————35000よ」
これ35万であの白くて紫な人と同じにしたほうが良かったんですかね。前に金色にもなりましたが……
【評価・ブックマークの登録をお願いします】




