第十三話 憂いは無くも疑問は尽きぬ 【幕間】
三ヶ月でBランクへ昇級。
そこに私の援助はほとんど介在していない。ほぼ稀有の素の実力。もっと正しく言えば、彼の〈天賦能力〉。
〈奪命剣〉。
今までこの世界のどこの文献にも、記録にも、それこそ出生時の記録にすら載っていない、新しいスキル。
簡単に言えば、彼の〈天賦能力〉はこの世界に元からなかった、外的要因。
通称『魔神』や『聖神』と呼ばれる存在を生み出した、さらに上の存在である『神話』に選ばれた勇者や人間がこちらの世界にやってきて発生する新たな能力そのものだ。
そういえば、本人、異界の勇者って言ってたわね。
スタンピードにやってきた勇者と会いたくないから、中衛を選んだのでしょうね。
自由行動の勇者かと思っていたけれど、何か違うのかしら?
自由行動なら別に他の勇者を避ける理由にはならない。
抜け出した? 彼に限ってそんなことはないわね。あの、前向きで無駄に誠実な彼に限って……。
では何か。
追放。
一瞬そんな言葉が頭をよぎったが、あの王があそこまで強力な能力を持つ勇者を捨てるとは思えない。
追放するとしたら、あの『魔神』や『天神』を退けてからに決まっている。
あそこまで強くなった勇者は片っ端から殺してきたしね。
総団長なら何か知ってるかしら?
あの人の情報網は尋常じゃないし、こうして私が冒険者をしていることも筒抜けでしょう。行動に気をつけなければ制裁されてしまうかしら?
それに、あの時、問題について聞いた時の、冷酷さ、他人行儀。
どれをとっても見たことがなかった。
言うなれば、恐れていた?
いや、そんなことはない。たかが200程度。
私が恐怖するいわれも状態でもないはず。
なのに、なぜかあの言葉を向けられた時、彼に何かを感じてしまった。
おっと、恋心の類ではないわよ。
あくまで、畏怖に連なる系譜。いわば、人の上に立つ存在。
立つべきというより、力で強制的に立つこともできる存在。
あの隠された殺意でもない殺意に反応して、武器を抜きかけた。
害意ですらない、ただの言葉に反応して……。
鈍った?
そんなわけはない。いくらステータスを抑えているとはいえ、この程度で鈍るわけがない。
ではなぜ?
疑問が尽きない。
私はあの時、どう意思を汲み取ってあげれば良かったのかが、全くわからない。
何をするべきか、それは重々理解している。
今はスタンピードが最優先。
この話は、あとでノエルとの酒の肴にでもしましょう。
最悪の場合は、アレを使うことも考えておきましょう………。
【評価・ ブックマークへの登録をお願いします】




