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第十話 ダンジョン五層階層守護者



 斯く斯く然然で、現在狩りを行なっている。

正確には、一日中ダンジョンに篭って階層を進めている。


 フレアさんがいる俺は、レベル200の範囲ならば補助有りで経験値を得ること……もとい、倒すことができる。

フレアさんの援助魔法はなぜか炎属性の攻撃援助魔術だけなのだが……。


 ちなみに、防御のバフは氷属性、攻撃は前述の通り、炎属性、速度は風属性、カウンターは岩属性などなど……。

吸収ってなんぞなって思ったけど、岩って硬いからそれで吸収って名付けられただけで、ほぼ防御アップに近いらしい。


 ただ、吸収は張られたシールドの耐久力分のダメージをゼロにする物らしく、防御アップとは違うらしい。

ちなみに風属性には効果がないらしい……。魔術師有能か?


「それにしても、攻撃バフだけでよく五層まで来れるわね?」

「え? そうですか? なんかおかしいですか?」

「普通、あなたのレベルなら三層に行けて最高潮よ。それ以上は絶対無理だと思ってたわ」

「ちなみに無理になった場合はどうする予定で」

「LAだけ譲って、他はわた時がやる」

「なるほどです」


 ちなみに、あとで知ったが、LAとはラストアタックということらしい。

うーむ、ゲーム用語だったっけ?


「それじゃ、とりあえず五層のエリアボスは頑張ってみてね」


 五層のフロアボス。

ジェアン。


意味は特にないらしいが……。え? 何それ……。異世界だからこそ意味があるのでは?


「ああ、ジェアンの意味は巨人よ」


 どうでもいい情報……。

ん? 意味あるじゃん。


 というか、巨人?


なんですかいな、それ。

文献にも出てこなかったような……。丘の巨人(ヒルチャール)なら聞いたことあるけど……。でもあれってそんな大きくないよな? せいぜい二メートルいかないし……。


 それって巨人じゃないような……。





§





 巨人・ジェアン。

でかい。それだけではない。


 レベル319。

んー、フレアさん、あなた嘘ついてません?


 フレアさんは言っていたはずだ……三層以降で行き詰まれば、あとは自分で終わらせる、と。

さらに五層のエリアボスをやってみろ、ということはフレアさんは単騎でジェアンを倒せるはずだ。


 レベル差が二十あるのに……?

そもそも、疑問があったのだ。


 フレアさんには何か秘密がある。

ステータスは他人に見せることができる。


 俺も見せてもらったが、スキルを見ようと、『開く』を押した。

その瞬間、フレアさんはステータスを引っ込めた上、ごまかし、笑った。


 それに、俺の動体視力でギリギリ捉えていたが、スキル『隠蔽』。これには何かあるはずだ。


 まあそれはそうとして。

今は目の前の格上(てき)に注目しなくて……はっ‼︎⁉︎


 ちょっ、挨拶もなしに飛びかかってくんなし。

というか……。


 こいつ……。

六メートルを越す巨体のくせに、バカ速い。


 今、二十の距離を一瞬で詰めなかったか?

まずい、ステータス を念のために確認したが、すでに今の衝撃波だけで二割近く持ってかれている。


 このままだとジリ貧だし、まずそも直撃しないとは限らない。

おれのAVD……回避率は高めで、二分の一だが、コイツの速度では回避するための行動をする前に殺される。


 流石に避けられたので、少し警戒している様子。

首に手を添え、コキリ、と一度右方向に鳴らし、そして、俺は真正面から、木剣を構え、そのまま突っ込んだ。


 特攻ではない。


 走る。

相手が警戒しているうちに、一発ドカンと削っておく。


 俺は今、出来るだけ相手を消耗させなくてはならない。

一発打った後は、奴の周りをグルグル回るだけだ。


 奴もそれには反応してくる。

手に持っていた斧を俺の周りと合わせたり、逆方向に回してきたり、様々な行動をしてきた。


 まるで、そんなこと、俺に立ってできる、とでもいうかのように……。



 でも残念。

お前はまず第一の問題を間違えた。







 お前が戦っているのは、格上との戦いに特化した人間なのだから……。






 どのくらいそうしただろうか、唐突にボスエリアにゴキリッ、と大きな音が響き、ジェアンが崩れ落ちた。



 その足からは太腿部分の関節……なんていうかは知らん……が飛び出しており……。



「何をしたのかしら?」


 簡単な仕掛けだ。


「俺はただグルグルと回っただけですよ」

「うそよ。何かタネがある」


 そりゃもちろん。

回っただけで倒せる五層のボスってなんですかいな?


「奴は巨体であり、足に結構な負荷がかかる回転をした。俺は回るだけでほぼスタミナ消費で済みますが、アイツからすればかなりの負荷です。そもそも、あの巨体を支えているのに、そこに回転で負荷をかければ、そりゃ折れるってもんですよ」

「折れる? まさか、あれは骨が折れたっていうのかしら?」


 そうですが?

俺はただあいつの骨を折っただけ。


 のため、全然生きています。


「なら、さっさと削らないと、ね」


 ゴオォォォッッ‼︎‼︎⁉︎ と。

炎魔術が吹き荒れる。


 鑑定で見てみるが、かなりどころか、ものすごく早く減っていっている。

奴の体力は十万を超えているはずだが……。それがものの十秒でほぼゼロになる。


「後はお願いね」


 俺は振りかぶった木剣を、真っ直ぐに、ただ淡々と、振り下ろした。







今回も、骨のない敵だったな……、と思いながら……。


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