第6話;あっちでも、こっちでも その1
ずっと1人称で書いている(つもり)なのですが、最近、3人称の方が良いのかな?と思い始めています。
どちらが良いとか、何か意見があれば是非お願いします!
この話のタイトルを
『陰謀渦巻く猫探し』→『あっちでも、こっちでも』に変更しました。
「『ペット探し』!?」
「流石にそれは無いだろ」と思ったのだが支部長の顔色を伺うに、ただのペット探しでは無いのだろう。
「内容はどんなもの何ですか?」
「それは……あまり多くは話せないが、探して欲しいのは、フォルセの街の領主のペットなんだ」
「領主様のペットか……それで何の動物なんですか?」
痛い所を突かれたのか目が泳ぎ、明らかに言いたく無さそうにしていた。
「あのー……流石にそれを知らないと探しようも無いんですけど……」
「猫……」
余りにも小さい声で言ったのでよく聞こえない。
「何ですか?」
「猫」
「猫、ですか……?」
もっとヤバめな魔物か何かを勝手に思っていたが、猫って少し拍子抜けだな。
「他に何か情報は無いんですか?」
「すまん、これ以上は何も情報が降りてきてないんだ。これでは依頼として成り立たないと言ったんだが無理矢理押し通されたよ」
「はぁー、分かりました」
少し受けるか悩みはしたが、これから特に予定も無かったので受ける事にして僕達はギルドを去った。
あの支部長の顔といったらそれはもう嬉しそうだった。
ギルドの外で待たせていたモニアに声を掛ける。
「ごめん、待った?」
「いえ、そこまで。街の雰囲気を見ていたらすぐに時間が経ちました」
「ならいいんだけど、それより今度の依頼はモニアにも色々手伝ってもらうかも知れないからその時は宜しくね」
「はい!勿論です!」
そうやって満面の笑みを作ったモニアを素直に可愛らしいと思った。
「取り敢えず宿に行こうか」
この後、宿でモニアと"一緒の部屋で寝るか否か"で一悶着あったのだがそれはまた別の話―――
◇◇
翌日、僕は領主の邸宅に向かった。モニアとセロには街で色々情報収集を頼んでおいた。
街のメインストリートを30分ほど北上し、街の外に出てまた暫く歩くと、一際大きな建物が姿を現す。正門には常に二人の門番が付いており、それはどうやら領主の私兵団らしい。
僕は恐る恐る門に近づき、門番に声をを掛ける。
「すみません、依頼で来たんですけど……」
そう言うと門番の2人が静かに顔を見合わせて、数拍置いて堪えきれなかった笑いを漏らし始める。
「あははは!何言ってるんだ、お前みたいな餓鬼が領主様の依頼なんて受けられるはずが無いだろう」
「そうだ、今回は見逃してやるから早く家に帰りなさい!」
どうやらイタズラと勘違いされてるらしい。このままでは依頼を達成することが出来ないので『封筒』を取り出す。これは依頼が行き詰まった時に人に見せると少しは役に立つだろうと言われた物だ。
『封筒』を門番に渡し、それを門番が読む。それを読む時間が経つに連れ、段々と顔が青褪めていく。
最終的には譜『封筒』の中身と僕を交互に見始める謎の間があった。
それでも、『封筒』の効果があったのか、さっきまであんなに僕を苔にしていたのにそれが打って変わって突如敬語にまでなった。
それだけあの『封筒』の効力が凄いと言うことなのだろう。
大人に敬語を使われたことが心の中で変なモヤモヤを作り出し、それを抱えたまま広大な庭の中央に敷かれた煉瓦道の上を進んでいく。
庭の中央には巨大な噴水があり、水が様々な顔を見せて、それが庭に華やかさを与える。
20メートルは進んだだろうか、最早どれ程の距離が有るのかも分からない道を進み終えた先に、先の門にも引けをとらない立派な彫刻があしらわれた重厚な扉が視界に飛び込んで来た。
その側には、30代くらいのスラッとした体付きの男性が立っていた。僕はその男の人に声を掛ける。
「依頼で来ました、フェイ=ローレンと言う者です」
また門前払いを喰らいそうになるのかと、眉を潜めて様子を伺うがそれはどうやら杞憂だった様で、こちらには話は通っていたらしい。
「ようこそいらっしゃいました、冒険者フェイ様。私はこの家の筆頭執事の役を賜っているフェルナン=デュクロでございます。以後お見知りおきを」
余りにも手厚い歓迎に若干の照れと既視感を覚えたがそんな事はどうでも良い。
「そして先の門番の非礼、どうかお許し下さい。フェイ様の容姿が末端まで伝わっていなかったようでして……」
「いえ、余り気にしていませんので」
何せそういう系統の嫌がらせは嫌と言うほど受けてきたから多少の耐性がある。そのお陰か、特に何とも思わなかった。
「左様でございますか、それでは早速ですが依頼の説明に入りたいと思いますので応接室までお通し致します。ご案内致しますのでどうぞこちらへ」
僕は言われるがままにデュクロさんに付いて行き、とても格の高い応接室に通された。
丁度良く沈み込むソファ、高級感漂うテーブル、そして拘り抜かれた調度品の数々―――
この部屋には沢山の拘りが感じられる。
そんな部屋を見回し、呆けていると椅子に座るようデュクロさんに促された。
そこからは依頼内容の説明を受ける。内容はギルドで聞けたものとほぼ同じで、そこに猫の身体的特徴の情報が合わさったものだ。
そして―――
「これは最早手掛かりとは呼べないのですが……実は何処に居るかは検討がついております」
デュクロさんの予想外の言葉に暫し頭が働かなくなってしまった。
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