第13話;フェイの初依頼【3】
少し短めです
突如として現れた狼の様な獣
良く分からないが僕の敵では無いのは何となく分かる。
いや、それどころか僕を守ってくれている様に見える。
僕は『鑑定』を行ってみる。
No name 種族 星狼族 〈天秤座の加護〉
スキル;『風魔法(5)』
状態;〈フェイの従魔〉
(えっ……僕の従属って事は……僕があれの主!?)
いつの間に、と思ったが思い当たる節が1つだけある。
僕はそっと自分のステータスを開き、スキル『天秤座』を表示させる。
『天秤座』
・第一階位
『鑑定』 あらゆるものを鑑定出来る。
全てを見通す事ができる。
・第二階位
『星狼召喚』 星狼を召喚できる。
やっぱり……
さっきは戦いに集中していて薄くしか聞いていなかったが、第二階位が開放されていたらしい。
突然現れた星狼、これに頼る事しか今の僕には出来ない。
僕は残った力で安全な場所へ移動する。
移動を終えた瞬間に僕の周囲の空気の流れが包み込む様にして変化した。
「それは風障壁だ。その中に入れば少なくとも生身よりは安全だ」
頭の中に聞き慣れない声が響く。僕は言いたいことを頭に浮かべた。
「この声は今僕の前にいる星狼なのか?」
「あぁ、やっとお前の元へやって来ることができた。取り敢えずさっさとこいつを片付けるからそこで見ておけ」
「わ、分かった……」
聞きたいことを後回しにして今はこの戦いを見届ける事にした。
状況だけ見るとスキルが1つしかない星狼の方が不利に見えるけど……
この状況を鑑みていると今度は聞き慣れた声が響いた。
《フェイ様、私はここで失礼させて頂きます》
《えっ……どういう事?》
《はい、私の役目は星狼様を召喚できる段階までのお手伝いなので、ここで私の役目は終わりました》
《そうなのか……》
急な別れではあるがお礼だけは言っておこう。
《今までありがとう》
《はい、それでは失礼します》
何か急に寂しくなるなぁ……
もう終わったことを考えても仕方ないのだけど。
再び両者の戦いに目を向ける。今はまだお互いに睨みをきかせている。
だがそんな均衡を先に破ったのはオーガキングだった。
身体強化で底上げされたその身体能力で、自らの巨体をもろともせず素早く動く。
だが星狼は何処に攻撃が来るなんかあたかも分かっているかのように、半身横に身体をずらし容易く躱す。
オーガキングが振った剣は地面に深く突き刺さり、その力強さを物語るが、剣を引き抜くまでの数瞬がハイスピードな戦いにおいては命取りだった。
星狼は前脚を上げ、器用にオーガキングの身体目がけて振り抜く。
オーガキングは断末魔をあげることも許されず、身体を三等分にされて息絶えた。
僕はその光景に圧倒された。
圧倒的な力、速さ、予測……
そのどれを取っても遥かに僕を凌ぐものであった。
ほんとにこれが従魔なのか?と思ったがそれは心の奥に仕舞っておこう。
本当に聞きたいのはそこではない。
「お前は一体何者なんだ?そして何で喋れるんだ?」
その質問に星狼は少し考えた顔をする。
「そうだな、別に答えても良いのだが、それはお前の傷が治ってからにしよう。ほらさっさと集めて王都に戻るぞ」
「お前何で僕が王都で生活しているって知っているんだ?」
問い詰めた感じで聞く。
「ん?それはお前の行動は見ていたからな」
「へぇーそうなのか……って見てたの!?いつから?」
「『クズ』を取った時からだな」
そこから見ていたのか……
何か恥ずかしい気もしたがこの際放っておいてもいいか……
「後でちゃんと話してくれるんだよな?」
「あぁ」
その言葉を聞いて僕は話を切り上げる。
少し軽くなった腰を上げて、討伐証明部位の剥ぎ取り作業を再開する。
全てを終える頃には日が沈みかけていた。
ここで1つ大きな問題が起きた。
「さて……この大量の素材をどうやって持って帰るか……」
思案に明け暮れていると星狼が応えた。
「我に渡せば良かろう、王都まで運んでやる」
「どうやって?」
「こうやってだ」
星狼は何かの魔法を発動した様子だ。
オーガの角がカタカタ音を立て始め、徐々に宙に浮き球体状に集まった。
「へぇー、風魔法って便利だな。まぁそう言う事ならお願いするよ」
「うむ、任された」
そして僕と星狼は王都へ帰っていった。
ここから僕の新しい冒険の始まった……
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