第12話;フェイの初依頼【2】
更新ペースが遅くなってしまっています。
ほんとすみません
敵陣へ乗り込んだ僕はすぐさま剣を鞘から抜く。
全て同時に相手するにはまず全体を"見る"必要がある。一度全てを視界に入れてしまえばその後は『鑑定』の効果を持続させられる。
その作業はさっき木の上で済ませたので問題は無い。
オーガが3体、僕に斬りかかる。
だが僕は"先が見えている"。
それらをひらりと躱し、ないしは剣を受け流し、3体全て急所にカウンターを決める。
そこからは流れる様にオーガとの剣戟を繰り返す。
剣を交える度に僕の剣が鈍くなっていく。
だいたいを終える頃には殆ど腕が動かなくなっていた。
流石に100体を相手する程の体力と身体はまだ出来上がっていなかった。
息を切らしながら辺りを見回す。
「ハァハァ……もう……いないかな……」
周りに気配が無いのを確認して、討伐証明部位の剥ぎ取り作業に入る。
数も数なので骨の折れる作業だ。
早速取り掛かろうとしたその瞬間、明らかに空気の流れが変わるのを感じた。
不穏な空気が場に流れ込んでくる。
今までに感じた事のない圧を感じる。
僕はすっと剣を構える。
まだ十分には回復しきっていない。満足には戦えないだろう。
逃げたいのだがそれも出来ない、先の戦いで足は残しておくつもりだったのだが予想以上に消耗が激しくそんな余裕が無かった。
どんどんと強く圧を感じるようになってきた。
そしてその姿をハッキリと捉える事ができた。
薄汚れた肌、角、血塗られた大剣、そしてオーガと似た容姿……
僕は恐る恐るその"化物"に『鑑定』を行う。
オーガキング
スキル:『思考加速 大』『身体強化 大』
『重力操作』『威圧』
オーガキング、オーガの王であり討伐ランクはAランク。
正直なところ全く勝てる気がしない。万全の状態ならまだしも、今の状態では無理だろう。
恐らく"先を見る"ことも有効打にはなり得ないだろう。
実際、オーガキングを見てもハッキリとは先が見えない。
それは、そもそも『未来予知』ではないからだ。
ここまで散々『未来予知』と言ってきたのだがそれは本質とは少し異なる。
これの本質は、相手を『鑑定』してそこから得た情報を分析してその先を予測することだ。
格下相手ならばほぼ100%予測出来る。
だが格上ならば話は別だ。格下とは違い、いくつもの予測が見える為ハッキリとしたものは見えない。
だからあくまでも予測でしかない。それに頼りきるのはあまりにも心許ない。
(さて……どうするか……)
あまり長くは考えられなかった。
オーガキングが大剣を構える。既にお互いは臨戦態勢である。
僕は『バーサーカー』を発動する。
お互い様子を見ながら間合いを徐々に詰めていく。
オーガキングの間合いに入った。
予測が頭の中で錯綜している。
先に均衡を破ったのはオーガキングの方だった。
ぎりぎり視認出来る速度で剣が振り下ろされる。
それを寸での所で躱すが肌に切り傷を負う。
僕はオーガキングの懐に入り、剣を振り抜く。だがまるで手応えが無い。
というよりかは鉄を斬っているような感覚だった。
いくら『バーサーカー』が十全に発動出来ないからと言っても流石にこの装甲のような身体は流石に不味い。
今まで、多少の格上なら戦ったことがあるが、ここまで格上とは戦ったことが無い。ハッキリいってヤバイ。
しかもまだ『重力操作』を使っていない。
つまりは相手はまだ底を見せていない訳だ。
いや、もしかしたら剣を軽くしたりしてるかも知れない。
策を考えようにもそんな暇を与えてはくれない。
絶え間なく剣が振り下ろされる。
何とか致命傷は躱せてはいるものの、負う傷は剣を重ねる毎に増える一方である。
反撃しようにも僕が振る剣には力が乗っていない。
正確に斬り込むことも覚束なくなっている。
(これは本当に不味い……)
久しぶりに見る死のヴィジョン。ここまでの記憶が走馬灯の様に駆け巡る。
刹那―――――――思い出に浸っているその間に割り込む様にして別のヴィジョンが見えた。
僕は"見た通り"に剣を後ろに振り抜いた。それは背後から襲ってきたオーガの急所をたまたま捉え、一撃で絶命させた。
どうやらオーガがまだ1体生き残っていたらしい。
オーガキングの攻撃は止むことを知らない。
(万事休す、か……)
だが転機というものは突然訪れる。
《経験値を獲得しました。一定以上の経験値を獲得した為、『天秤座』の第二階位を開放します》
その瞬間、目の前に巨大な魔法陣が現れる。
オーガキングは何か危険を察知したのか、後ろに飛び退く。
魔法陣からは光の粒子のようなモノが溢れ出て、それらが集まり徐々に実体を現す。
それは――――――まるで巨大な狼の様だった。
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