第9話;試験
8話の最後を改稿しました。
この話で10話目となりました。
僕は今ギルドの前に立っている。
だが実は、能力を開放させてから2週間が経っている。
―遡ること2週間前―
僕がギルドて向かおうとした時、〈天の声さん〉から提言された。
《フェイ様、ギルドへ行くのはまだ早いと思いますが……》
その言葉で、僕の沸騰していた頭が一気に冷めた。
(えっ……それってどういう事?)
《はい、フェイ様は『バーサーカー』を完全に会得しているとは申し上げましたが、出力調整は完璧に行えるのですが、今のままでは高確率で体が壊れてしまいます。それと『未来予知』との兼ね合わせが重要なので、そのあたりの練習が必要になると……》
なるほど、そこまで考えてなかったな……
熱くなり過ぎて少し、冷静さを欠いていた。
確かに上手く使えないとまるで意味を為さないからな。それには練習あるのみだ。ギルドへ行くのは形になってからでも遅くは無い筈だ。
そしてその日から僕の練習は始まった。【ラスクの森】へ行ったり、王都近くの平原に行ったりとあちらこちら移動して経験を重ねた。
ただこの2週間は戦闘だけでは無かった。〈天の声さん〉が必要だと言って、大量の知識を詰め込まれた。そこらへんの下手な学者よりかは知識がある様になった。
この2週間で、この9年間を超える成長をした気がする。
なんたって僕は余り教育は施されていないからね。
そんな訳で形になるまで2週間掛かった。
もう少し続けたい気持ちはあったのだが、生憎手持ちのお金が底を尽きそうになっていたので、半分仕方なく切り上げて今ギルドにやってきている。
今とても憂鬱な気分である。冒険者って殺気立ってる人も多いって聞くし、少し怖い。杞憂だと良いんだけど……
そう恐る恐る扉を開けて中を確認した。
思ったより閑散としていた。まぁ昼時なので依頼をこなしているのだろう。朝は冒険者でごった返している筈だ。
僕はそのまま受付へ向かった。
「すみません、冒険者登録したいんですけど……」
受付にいたお姉さんがまじまじと僕を見る。
「君は何歳?」
「9歳ですけど……何か……?」
(何か不都合でもあったか?一応冒険者に登録出来る年齢はパスしてる筈なんだけど……)
「いえ、たまにいるんですよ。年齢はパスしているから冒険者になりたいって子が。以前そういう子達を冒険者にしたら……依頼途中で消息不明ですよ。それからというもの、ギルドは15歳以下の未成年は合格基準をかなり厳しく設定してあるんです。それでも宜しいですか?」
僕は考えるまでも無かった。
「はい、お願いします」
受付のお姉さんは余りの即答に少したじろいだが、僕が引かないことを悟ったのか仕方なしに手続きの準備をしてくれた。
「ではこの書類に必要事項を記入してください」
「分かりました」
僕はスラスラと空欄を埋めて、受付のお姉さんに渡した。
「あら?ご両親の方の名前が書かれていませんが?」
「親はもういないので」
取り敢えず嘘をついておいた。両親がバレたら少し厄介になってしまうからな……
「分かりました。試験は今からでも出来ますがどうされますか?」
「今からお願いします」
「分かりました、では私に付いてきて下さい。奥の訓練所まで移動します」
◇◇
訓練所は思っていたより広かった。約50メートル四方で高さは約10メートルあるらしい。地面には土が敷かれており、壁を鑑定するとスキルで強度が上げられていた。ちょっとやそっとでは壊れはしないだろう。
「今試験官を呼んできますからここで待っていて下さい」
さて、どうするか……
2週間で形にはなったが、そこまで出来たとは自分では思っていない。威勢よく突っ込んだのは良いが少し不安になった。
僕は他の人が戦っているのを殆ど見たことが無い。それこそリリアンくらいしか知らない。基準がイマイチ分からないのだ。
あれこれ考えていると試験官がやって来た。いかにも冒険者って感じの風格である。恐らくベテラン冒険者だろう。
「おう、お前が今日の相手か。悪いがお前を合格させる訳にはいかねぇんだよなぁ。子供が死ぬのは胸糞が悪いんでな。どうしてもと言うなら……俺を納得させてみな!」
なるほど、この人なりの気遣いって訳か……でもこちとら生活がかかっているんで諦めるわけにはいかない。それに目標を達成する為にも……
そして僕は鑑定を行った。
☆☆
ゼダ=フォルン 種族 人族 lv,58
スキル;「身体強化 中」「気配感知 中」「剣術」「火魔術(1)」「付与」「思考加速 小」
おぉ、中々の高レベルだ。それに「剣術」スキルを持っているのか。かなり珍しいものを見れた。
他のを見ても十分に強いと言える。恐らく、魔法は余り得意でなく、剣に魔法を「付与」して戦うのだろう。
それに「思考加速 小」か……
「フェイ=ローレン君、準備は宜しいですか?」
「ん……あぁはい、大丈夫です」
少し鑑定結果に集中し過ぎたみたいだ。
「ではルールを説明します。自前の武器の使用は禁止、こちらの木剣を使用していただきます。相手を死に至らしめるような攻撃は禁止ですが、気絶は有りとします。何か質問は?」
「場外とかは有りますか?」
「いえ、たとえ壁まで吹き飛ばされても戦闘不能か降参するまでは続きます」
「分かりました、ありがとうございます」
よし、壁の使用は大丈夫だと……
「もうありませんね?では試験を開始します。よーい……始め!」
お姉さんの掛け声とともに僕は「鑑定」と「バーサーカー」を発動した。
ゼタさんもスキルの発動を済ませているようだ。予想通り、剣に「火魔法」を「付与」していた。そしてゼダさんは口を開いた。
「覚悟は良いか?」
「はい……大丈夫です」
会話が終わるや否や、ゼダさんは飛び出した。
それに対し僕は"未来"を見た。それと同時に動いた。
そして―――
僕は勝った。
受付のお姉さんは唖然としており、僕の目の前にはゼダさんが倒れている。
あれ……やらかしちゃったかな……
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