↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【創世級チートでホワイト楽園建国】無病息災で暮らしたい僕のボヤキ生活 ~あったらいいなと呟いていたら、世界中の変人が集まって王国最強の快適領地ができました~  作者: S&Y
第六章:過去や未来へリモート接続してみたら、太古の恐竜から未来の暴走AIまでみんな僕の部屋でごろごろ甘え始めてしまったんだが

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
94/109

第92話:全時代の歴史的偉人たちが集まって「全時代ぬくぬくスローライフ学会」を結成してきたんだが

「クロノス様、いくら時間を操れるからって、羊羹の切り分けでコンマ何秒の時空停止を使うのは反則ですよ」


「何を言うかルーカス様。この栗羊羹は一切れの厚みが0.5ミリ変わるだけで、舌の上でほどける小豆の甘みと栗のほくほく感の調和が崩れてしまうのじゃ。全時空の管理者たるわしが、己の神技を尽くして極上の均等切りを極めるのは至極当然のことよ」


部屋の隅のコタツでは、立派な白髭を蓄えた時間の神クロノスが、パジャマの上に半纏を羽織り、真剣な顔つきで木べらを握りしめていた。

その向かい側では、引退した伝説の大魔導士が「いやいや神様、羊羹というのは少し不揃いで分厚い方が、素朴な贅沢感というものが味わえますぞ」と、熱いハーブティーの湯気を立てながら穏やかに笑っている。


足元では丸っこいAIのぬくぬく君が「ピュイ……ピュイ……」と緑のランプを点滅させながら僕の足先を温め、膝の上では子恐竜が甘えるように小さく喉を鳴らしていた。


「ルーカス、お茶のおかわりを淹れ直したよ。熱すぎないように少し冷ましてある」

すっと無駄のない滑らかな動きで、カイル兄さんが湯呑みをコタツの上に置いてくれる。


いつものベッドの上でぼーっとするのも最高だけど、こうして居候のおじいちゃん神様たちや兄さんと一緒にコタツを囲む時間も、心底ほっこりして落ち着く。


だけど、壁一面の『全自動遠隔拝謁陣《リモート・モニター》』の端っこで、過去や未来の歴史アーカイブを何気なく流していた僕は、画面の中で繰り広げられている殺気立った光景に思わず眉をひそめた。


画面の向こうは、古代の学堂や未来の超科学研究所。

そこでは、歴史に名を残す名だたる大哲学者や大科学者たちが、難解な論文や宇宙の真理を巡って激しい大論争を繰り広げていたのだ。


『我が導き出した存在論こそが絶対である! 貴様の仮説など机上の空論にすぎん!』

『何を言うか! この統一場理論の数式が理解できぬとは、貴様の頭脳は原始人並みか!』


何十人もの知の巨人たちが、何日も不眠不休で怒鳴り合い、血走った目で胸ぐらを掴み合ったり、ストレスで胃薬をガブ飲みして倒れかけたりしている。


前世の僕も、病院のベッドの上でテレビを見ていた時、学術界の激しい論文争いや、研究のプレッシャーで心身を病んでしまう学者さんたちのニュースを見て、胸が痛くなった記憶がある。


「学問って本来、世の中を便利にして、みんなが幸せに生きるためのものだったはずなのに……。あんなにいがみ合ったり、プライドのぶつかり合いで徹夜してたら、自律神経が壊れて寿命を縮めちゃうよ。死んじゃったら元も子もないのに」


僕はカイル兄さんが淹れてくれたお茶を一口すすり、羊羹をモグモグと噛み締めながら、切実にボヤいた。


「古代の偉い哲学者さんも、未来の天才科学者さんもさ……難解な数式や小難しい理屈でいがみ合うのはやめて、みんなでコタツに集まって『どうすれば人間が無理な労働やストレスを捨てて、温かいお部屋で美味しいものを食べて健康にぬくぬく長生き(スローライフ)できるか』を大真面目に研究する学会でも作ればいいのに。みんなで羊羹でも食べながら、心穏やかに長生きする知恵を出し合えば、誰も胃を痛めずに平和になれるのになぁ……」


学者たちの過労と論争による健康被害を心から心配した、僕のささやかで平和第一なボヤキ。


すると、コタツの向かいでみかんの筋を几帳面に剥いていたクロノス神が、深く頷いて口を挟んできた。


『うむ……! ルーカス様の申す通りじゃ。天界におった頃も、難しい理屈ばかりこねくり回す連中ほど顔色が悪く、時空の調和を乱しておったわ。美味い茶と羊羹を前にして争うなど、真の知性とは言えんのう』


神様からの思わぬ同意に僕が苦笑いした、その時だった。


(全時代の英知・全時空の巨人の思考を『至福の安息と健康長寿』へと昇華せしめる神の学術統一(バルデン・アカデミア)……! そして小難しい学問を解脱させ、全宇宙の真理をスローライフの探求へと帰結させる至高の学会……!?)


ドアの物陰で、領内の文化事業をまとめていた広報セザール、会計士アンドレ、娯楽担当ヤーコプ、そして妹リリィの目が、カァァァッ! と全時空の叡智を照らし出すほどの黄金の閃光を放った!


「す……凄すぎますわお兄様……ッ!」

リリィが感涙で胸の前で愛用のメモ帳を強く強く抱きしめる。

「不毛な権威争いや難解な数式で命を削る学者様たちに、『生きるための真の叡智』をお示しになられるなんて……! 私、すぐに『全時代ぬくぬくスローライフ学会・設立準備会』を発足いたしますわッ!」


「美と知の究極の調和ですぞッ!」

広報セザールが、華麗に羊皮紙の学会旗を翻して叫ぶ。

「過去から未来に至る全時代の哲学者、天文学者、物理学者、文豪たちへ緊急招集状を送り、知の巨人たちをルーカス様のぬくぬく思想のもとへ大集結させますぞッ!」


「学会の規約策定および論文アーカイブの編纂、即刻手配いたします!」

眼鏡をギラリと光らせた会計士アンドレが、計算魔導具を叩く。


「へへっ、難しい論文なんて堅苦しいのはナシだ! 誰でもカードゲームやボードゲーム感覚でスローライフの知恵を楽しめるように、エンタメ学会にしちまいましょう!」

娯楽担当のヤーコプが、トランプを鮮やかにシャッフルしながら笑う。


「待って四人とも!? 僕はただ『みんなで羊羹でも食べたらいいのに』って言っただけだよ!?」


僕の悲鳴を置き去りにし、狂乱の文化&広報&エンタメチームは時空通信網へと爆走していった。


◇


数日後。


「……ねえクロノス様。自室のリモート画面に、古代ギリシャ風のトーガを着た哲学者や、白髪頭の天才物理学者、未来のサイバー学者たちがズラリと正座して、みんな真面目な顔で湯呑みと羊羹持ってるんだけど……これって何の冗談?」


自室のコタツでお茶を飲んでいた僕は、壁一面のモニターに広がる異様すぎる学術シンポジウムにパチクリと目を丸くしていた。


セザールやリリィたちが全時代に発信した結果——。

過去・現在・未来の歴史に名を残す名だたる偉人たちが一堂にリモート会同し、正式に『第一回・全時代ぬくぬくスローライフ学会』が勝手に開幕されていたのだ。


画面の中央では、古代の偉大な哲学者が厳かにマイク(魔導具)を握り、大真面目に口を開いた。


『諸君……我々はこれまで、無知の知やイデア論などという難解な概念に囚われ、自らの胃をキリキリと痛めてきた。だが、神皇ルーカス様の啓示によって私は悟ったのだ……真の知性とは、温かいコタツの中で羊羹を味わい、己の心身をぬくぬくと養うことの中にこそ存在すると!』


画面越しに、未来の量子物理学者が涙を流しながら大画面のグラフを提示する。


『その通りだ! 私が何十年もかけて計算した宇宙の統一場理論……その究極の解は、「ルーカス様のベッドの上こそが、宇宙で最もエントロピーの増大を防ぎ、因果律を安定させる絶対特異点である」という事実に行き着いた! 徹夜の研究など完全に無駄だったのだ! 全人類は今すぐ布団に入るべきである!』


『異議なし!』

『スローライフこそが全時空の最高学問だぁぁぁッ!』


モニターの向こう側で、全時代の天才学者たちが一斉に立ち上がり、熱狂的なスタンディングオベーションを巻き起こしていた。

彼らの手元には、ヤーコプが作った『スローライフ実践ボードゲーム』や、アンドレがまとめた学会誌『月刊ぬくぬく論文集』が誇らしげに掲げられている。


そこへ、誇らしげなリリィ、セザール、アンドレ、ヤーコプが駆け込んできた。


「お兄様! 全時代における『学術的ストレス・研究者過労死率完全ゼロ%』が達成されましたわ!」

リリィが金文字で装丁された学会認定証を掲げて天使の笑顔を咲かせる。

「全時代の偉人の皆様が、お兄様の提唱された『ぬくぬく健康長寿』を最高命題として掲げ、互いを論破するのをやめて、笑顔でお茶請けを分け合っておりますの!」


「学問の最高峰が『ぬくぬく長生き』になっちゃってる!?」


さらにコタツの向かい側では、時間の神クロノスが、みかんをモグモグと頬張りながら「よいぞ、よいぞ。全時代の知者たちがようやく真理に追いついたようじゃな」と満足げにパチパチと拍手していた。


「神様まで学会を肯定しないでーーーーッ!?」


僕は悲鳴を上げ、特製クッションで顔を覆った。


「あ、あれ……? 僕はただ……学者さんたちが論文の論争で体を壊さないで、みんなで羊羹でも食べて仲良くできたらいいなって思っただけなのに……なんで全時代の天才たちが『僕の部屋のスローライフを解明する世界最大の学会』を結成してるのーーーーッ!」


学者の健康と和解を願った少年のささやかなボヤキは、時空を超えて学問のあり方そのものを塗り替え、本日も彼は羊羹を切り分ける神様や優しく見守る家族に囲まれながら、自室の温もりに包まれるのだった。

「ここまでお読みいただきありがとうございます!『続きが気になる!』『ボヤキ生活を応援したい』と思ってくださったら、画面下の【ブックマーク登録】や、【評価の★★★★★】をポチッと押していただけると、執筆の凄まじい励みになります!どうぞよろしくお願いします!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。