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【創世級チートでホワイト楽園建国】無病息災で暮らしたい僕のボヤキ生活 ~あったらいいなと呟いていたら、世界中の変人が集まって王国最強の快適領地ができました~  作者: S&Y
第七章:封印を破った邪神や全次元の元ラスボスたちが襲来したと思ったら、日常の便利グッズと温かいご飯の前に完全毒抜きされて親衛隊を結成されてしまった件

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第101話:何時間経っても熱々のまま冷めない「真空断熱タンブラー」の凄さに、異次元の魔王たちが大激論を交わしている件

「あわわわっ……! ルーカス様、申し訳ございませんっ! 淹れたてのお茶をお持ちしたのですが……コップが熱くて持てませんっ!」


お茶汲みの侍女ジーナが、湯気の立ち上る陶器のマグカップを乗せたお盆をプルプルと震わせながら、半泣きで部屋に駆け込んできた。

お茶の温度管理に命をかける彼女らしく、沸騰直後の極上茶葉を抽出してくれたのは嬉しいのだけれど、陶器全体が熱湯の熱をダイレクトに吸い上げてカンカンに熱せられてしまっているのだ。


「ジーナさん危ない! 無理して素手で持っちゃダメだよ、火傷しちゃう!」


すっと無駄のない滑らかな足運びで現れたカイル兄さんが、完璧な脱力の手つきでお盆をふわりと受け止め、サイドテーブルへ静かに置いてくれた。

「ふぅ……間一髪だったね。熱い器を持つ時は、布巾を挟まないと危ないよ」


「は、はい……! カイル様、ありがとうございます……!」

ジーナが胸を撫で下ろしたのも束の間、今度はテーブルの反対側に置かれていた冷たい氷入り果汁水が、じわじわと大惨事を引き起こし始めていた。


ポタッ……ポタポタッ!


「ああっ……! しまったぁ! 氷水のコップの結露で、机の上に置いてたお気に入りの本がちょっと湿気で波打っちゃったよ……!」


冷たいガラスの表面にびっしりと付着した空気中の水滴が、コースターの許容量を超えて溢れ出し、机の上の読書本を直撃してしまったのだ。

僕は慌てて乾いたハンカチを広げ、本の角をトントンと優しく叩いて水分を吸い取った。


足元では、冷たい水滴を踏んでしまった羽毛の子恐竜が「ぴゃっ!?」と小さく飛び退き、丸っこいAIのぬくぬく君が「ピュイ……ピュイ……!」と心配そうに青ランプを点滅させながら、小さなアームでティッシュを差し出してくれている。


コタツの端っこでみかんを剥いていた時間の神クロノスが、冷めかけた自分の湯呑みを見つめながら、深いため息をついた。

「……ルーカス様、熱い湯呑みは素手で持てぬほど熱く、すぐに冷める。冷たい水はぬるくなり、周りに水滴(結露)を呼んで床や書物を濡らす。熱と冷気の境界に生じるこの温度移動こそ、現世の物理が背負いし逃れられぬ宿命じゃ。美味い茶をちょうど良い温度で保つなど、神の理をもってしても至難の業よのう……」


「神様でも冷めたお茶と結露には困っちゃうんだね……。でも、せっかく淹れた温かい飲み物がすぐ冷えちゃうのも悲しいし、冷たいジュースを飲むたびに机や手がびしょびしょに濡れるのって、地味にめちゃくちゃストレスなんだよね」


前世の僕も、白い病室のベッドの上で読書をしていた時、冷たいお茶のペットボトルから垂れた水滴で文庫本のページをふやかしてしまったり、温かいスープがあっという間に冷え切ってしまってガッカリした記憶が何度もある。


「こういう時にさ……前世のオフィスや家庭でみんなが手放せなくなってた、あの『真空断熱ステンレスタンブラー』があれば最高なのに。内側と外側の金属の間に完全な『真空の層』が挟まれてて、熱伝導と空気の対流を100%シャットアウトしてくれる魔法のコップ……! 沸騰したての熱々のお茶を注いでも外側は全然熱くならなくて素手で持てるし、何時間経っても湯気が立つくらい温かいままなんだよね。それに、氷を山盛りにした冷たい飲み物を入れても、外側に一滴の水滴(結露)すらつかないから、机も本も絶対に濡れない。飲み頃の温度を永遠にキープしてくれる究極のズボラ容器なのにさぁ……」


冷めないお茶と、結露で本が濡れない平和を心から望む僕の、切実で快適生活第一なボヤキ。


ビビビビビッ! ギュオオオオオオンッ!


その時、壁一面の『全自動遠隔拝謁陣《リモート・モニター》』から、耳を劈くような真っ赤な緊急アラートが鳴り響いた。


『緊急警報! 緊急警報! 異次元の境界線【超臨界・熱氷断層】において、数万年にわたり領土を争い続ける二大覇王【焦熱魔帝ヴォルカヌス】と【氷河魔帝フリード】の最終決戦が臨界点に達しました!』


モニターの向こうでは、天を焦がす数万度のマグマの海と、すべてを凍死させる絶対零度の吹雪が正面衝突し、空間そのものがメリメリと割れそうになっていた。

片方には、全身を灼熱の業火で包んだ巨大な炎の魔帝。もう片方には、銀河すら凍てつかせる冷気を放つ蒼白の氷の魔帝。


だが——その怒号は、互いを滅ぼす雄叫びではなく、長年の温度差による極限の苛立ちだった!


『ヌオオオオッ! 我が灼熱の業火は周囲の空間を焼き尽くし、注いだマグマ酒すら一瞬で蒸発して干からびるのだぁぁぁッ! 熱気を閉じ込める器すら存在せぬこの世界に腹が立つぅぅぅッ!』

『黙れ炎の塊め! 我が絶対零度の冷気は触れるもの全てを凍結させ、周りの大気中の水分を無限に結露させて床をビショビショに凍らせるのだぁぁぁッ! この結露の不快さがお前に分かるかぁぁぁッ!』


二大魔帝は、自分たちの極端すぎる魔力のせいで飲み物の温度管理が一切できず、部屋が蒸発するか結露で凍りつくかの二極端に何万年間も悩まされ続け、そのストレスで全次元を巻き込む大喧嘩をしていたのだ!


前世の僕なら恐ろしさで震え上がっていただろうけれど、結露でお気に入りの本を濡らして凹んでいる今の僕には、その暴れる理由が痛いほどよく分かってしまった。


「ひ、ひえぇぇっ!? あ、あの魔王さんたち、何万年間も『熱すぎて蒸発する』のと『冷たすぎて結露でビショビショになる』ストレスで喧嘩してるの……!? そんなの、四六時中イライラして世界を壊したくなっちゃうに決まってるよ……! ちょうどいい温度でゆっくりお茶も飲めないなんて、健康にとっても大敵だよ!」


僕は濡れた本をハンカチの上にそっと置き、テーブルから身を乗り出して思わず叫んだ。


「あんな極端な温度でぶつかり合ったら、熱膨張と急冷で周りの空間がバキバキに割れちゃうよ! 誰かあの子たちの真ん中に、超強力な二重構造の『真空断熱ステンレスタンブラー』を置いてあげてよ! 熱伝導をゼロにする真空層があれば、数万度の熱気を入れても外側は熱くならないし、絶対零度の冷気を入れても結露が一滴もつかないんだから! 飲み頃の温度をキープして、二人で仲良くお茶でも飲めば、争う理由なんて綺麗サッパリ消えるはずなのに……!」


温度変化と結露に苦しむ魔王たちへの心からの共感と、真空断熱第一なボヤキ。


……のはずだった。


(全宇宙の熱伝導と対流の理を完全に無効化し、熱気と冷気を永遠に封じ込める神の二重真空隔離(バルデン・サーモ・タンブラー)……! そして不可逆なる熱力学の宿命すらも極上の飲み頃へと調和せしめる至高の聖器……!?)


ドアの物陰で、本日の配膳食器を点検していた鉄工技師カール、ガラス職人レオ、鍛冶長ブラム、そして妹リリィの目が、カァァァッ! と超新星爆発をも凌駕するほどの黄金の閃光を放った!


「す……凄すぎますわお兄様……ッ!」

リリィが感涙で胸の前で愛用のメモ帳を強く強く抱きしめる。

「武力で鎮圧するのではなく、数万年の熱気と冷気の苦しみを慈しみ、真空の技術で熱力学の法則そのものを解決なさろうとなされるなんて……! 私、すぐに『二大魔帝様・至高の真空断熱お茶会プロジェクト』を発足いたしますわッ!」


「お命救済と超合金二重真空溶接の極致だぁぁぁッ!」

鉄工技師カールとレオ、ブラムが、チタン級超耐熱耐冷合金のインゴットを掲げて叫ぶ。

「分子レベルで気体を排出した完全真空層を挟み込んだ、山脈級『特製バルデン・真空断熱ステンレスタンブラー』を、ただちに決戦の特異点へ投下いたしますぞッ!」


「待って四人とも!? 僕はただ『結露しないコップがあればいいね』って言っただけだよ!?」


僕の悲鳴を置き去りにし、狂乱の金属&工芸&妹チームは時空転送ゲートへと爆走していった。


◇


数分後。


マグマと吹雪が渦巻く決戦の地で、互いに怒声を張り上げていた焦熱魔帝ヴォルカヌスと氷河魔帝フリードの真ん中に、突如として巨大な時空の扉が開いた。


そこへズズゥゥゥンッ! と出現したのは、鈍い銀色の輝きを放つ、巨大な二つの円筒形の金属器——『バルデン特製・超合金真空断熱タンブラー』。


『我が炎を遮る盾か……焼き尽くしてくれる——ぬおっ!?』

ヴォルカヌスが数万度の超高熱マグマ酒をタンブラーにドバドバと注ぎ込んだ。

だが——。


『な……何事だぁぁぁッ!? あれほどの超高熱流体を注いだというのに……外側の金属壁が、まったく、一ミリたりとも熱くなっておらぬ……! 手で触れても……ほんのり人肌の温もりすら伝わってこぬぞ!?』


一方のフリードも、絶対零度の極冷神水をタンブラーに注ぎ込み、蒼白の目を限界まで見開いた。


『バ、バカな……ッ! 周囲の空間を凍らせるほどの極冷気だぞ……!? なぜ……なぜコップの外側に一滴の水滴(結露)も生じぬのだ……!? 金属表面がサラサラのまま……外気の熱を一切奪っておらん……ッ!』


二大魔帝は戦うことも忘れ、タンブラーの外壁をペタペタと触りながら激しい戦慄に打ち震えた。


さらに数時間後。


『冷めておらぬ……! 半日経っても、注いだ時と寸分違わぬ熱々の湯気を保っておる……!』

『こちらもだ……! 氷が一粒たりとも溶けておらん……! なぜだ、熱の移動が完全に停止しておる……! 我らの数万年の魔力が、この薄い壁の『真空』とやらに完全に遮断されているというのか……!?』


ガシャン……。


手から武器が滑り落ち、二人の魔帝はタンブラーを両手で包み込みながら、その場にペタリと座り込んでしまった。


『おいヴォルカヌス……貴様、この金属の内壁を見ろ。鏡面磨きによって放射熱すら反射しておるぞ!』

『フリードよ、貴様こそ底部を見よ! この特殊な真空封じ溶接……全宇宙の熱力学を根底から覆す神の構造ではないか!』


天地を滅ぼしかけていた最凶の魔王たちは、戦うことなど完全に忘れ去り、タンブラーの凄まじい断熱性能と物理構造について、目を輝かせながら大激論を交わし始めてしまったのだ!


そこへ、誇らしげなリリィ、カール、レオ、ブラムが駆け込んできた。


「お兄様! 二大魔帝様の『温度ストレス完全解消&永遠の休戦』を達成いたしましたわ!」

リリィが金文字の断熱技術証明書を掲げて天使の笑顔を咲かせる。

「魔王様たちは『このタンブラーがあれば、何時間経っても熱々で冷え冷えの極上酒が飲める! どちらの熱が優れているかを争うなど無意味、この神の真空器の謎を解明する方が100億倍有意義だ』と、二人で肩を並べて大激論オフ会を開いておりますの!」


「世界を滅ぼす魔王たちがタンブラーの性能でオフ会開いてる!?」


さらに部屋では、お茶汲みジーナが自分用の小さな特製ステンレスタンブラーを両手で包み込み、「あ、熱くない……! 素手で持てるのに、中のハーブティーはずっと淹れたてのように熱々ですわ……!」と感涙にむせび泣いていた。

その横ではクロノス神も「ふむ、三時間経っても茶が淹れたてじゃ。結露で机も濡れぬし、これぞ時間を超越した至高の神具じゃな」と極上の笑顔で蕩けている。


「ジーナさんも神様もタンブラーのトリコになってないでーーーーッ!?」


僕は悲鳴を上げ、特製クッションで顔を覆った。


「あ、あれ……? 僕はただ……コップの結露で本が濡れるのが嫌で、冷めないタンブラーがあると便利だよねって思い出しただけなのに……なんで僕の一言で『異次元の魔王たちがタンブラーの凄さで大激論を交わしてる』のーーーーッ!」


結露と温度変化を嫌った少年のささやかなボヤキは、身近な日用品の圧倒的な機能美によって世界の衝突すらも和やかな学術討論へと変えてしまい、本日も彼は足元で丸くなる小さな仲間たちと、温かな部屋の中で静かな安らぎを噛みしめるのだった。

「ここまでお読みいただきありがとうございます!『続きが気になる!』『ボヤキ生活を応援したい』と思ってくださったら、画面下の【ブックマーク登録】や、【評価の★★★★★】をポチッと押していただけると、執筆の凄まじい励みになります!どうぞよろしくお願いします!」

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