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【創世級チートでホワイト楽園建国】無病息災で暮らしたい僕のボヤキ生活 ~あったらいいなと呟いていたら、世界中の変人が集まって王国最強の快適領地ができました~  作者: S&Y
第七章:封印を破った邪神や全次元の元ラスボスたちが襲来したと思ったら、日常の便利グッズと温かいご飯の前に完全毒抜きされて親衛隊を結成されてしまった件

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第100話:冷え切った魔界のラスボスに「着る毛布」と「まるでこたつソックス」を着せたら家庭菜園を始めた件

「ひゃうっ……! コタツから一歩出た瞬間の、この足首と肩口のスースーする冷気……地味にめちゃくちゃ身に染みるぅ……」


僕はサイドテーブルの本を取ろうとコタツから少し身体を出した瞬間、思わず肩をすくめてコタツの中へと素早く逆戻りした。


膝の上では羽毛の子恐竜が「くぅ〜」と温かそうに丸まり、足元ではAIのぬくぬく君が「ピュイ……ピュイ……」と安らぎの緑ランプを灯して爪先を温めてくれている。


コタツの向かい側では、パジャマの上からドテラを羽織った時間の神クロノスが、湯呑みを両手で包み込みながら深く同情するように頷いていた。

「……ルーカス様、首、手首、足首の『三つの首』を冷やすのは万病の元じゃ。特に足首の冷えは全身の血行を鈍らせ、神気すら滞らせてしまう。コタツの中は極楽じゃが、一度外に出ねばならぬ時のあの冷え込みは、まさに現世の試練じゃのう……」


「神様でも足首が冷えると辛いんだね……。下半身が冷え切ると、自律神経が乱れて免疫力も落ちちゃうから、健康にとって本当に大敵なんだよ」


前世の僕も、病院のベッドの上で冬場になると足先が氷のように冷たくなり、夜なかなか寝付けずに困った記憶がある。


「こういう時にさ……前世で冬になると売り切れ続出だった、あの『まるでこたつソックス』があれば最高なんだけどなぁ。足首の『三陰交』っていうツボの周りに特殊な発熱編み素材が使われてて、履くだけで足先まで温泉に入ってるみたいにポカポカになる魔法の靴下……。それに、上半身にはあのフワフワで軽いマイクロファイバー製の『着る毛布』を羽織れば無敵なのに。ボタン付きで足元まで包み込んでくれて、コタツから出ても毛布を着たまま家じゅうをウロウロできるんだから。寒さに震えるストレスがゼロになって、どこに行ってもぬくぬく過ごせるのにさぁ……」


コタツの外のヒヤッとした空気に怯える僕の、切実で防寒第一なボヤキ。


ビビビビビッ! ギュオオオオオオンッ!


その時、壁一面の『全自動遠隔拝謁陣《リモート・モニター》』から、耳を劈くような真っ赤な緊急警報が鳴り響いた。


『緊急事態! 緊急事態! 魔界の最深部、絶対零度の凍土【氷獄界】を統べし伝説の終末魔王【極寒冥王・ヘル=フロスト】が、数万年の氷結封印を破り覚醒いたしました!』


モニターの向こうでは、地平線まで凍りついた不毛な氷の世界から、吹雪を突き破って禍々しい氷の城ほどもある超巨大な魔王が立ち上がっていた。

全身を凶悪な氷の棘鎧で覆い、手には銀河すら凍てつかせる氷河の大鎌を握り、世界中を凍死させかねない猛烈な絶対零度の吹雪を撒き散らしている。


だが——その怒号は、冷徹な征服の雄叫びではなく、全身を激しくガタガタと震わせる悲鳴だった。


『ガガガガガッ……! さ、寒い……! 寒すぎるのだぁぁぁッ! この氷獄界の足元からの底冷えと、吹き抜ける隙間風が……! 数万年間ずっと足先と首筋を冷やし続けてたまらぬぅぅぅッ! 寒くて手足の感覚がない……! 全宇宙を凍結させて、我と同じ寒さの苦しみを味わわせてやるぅぅぅッ!』


冥王は牙をガチガチと激しく鳴らし、青白い氷の手で自分の足首をさすりながら、寒さのあまり涙目で大暴走していた。

四六時中、氷点下何十度の冷気に晒され、血行が完全に滞ってガタガタ震えているせいで、あまりの寒さに狂暴化しているのだ!


前世の僕なら恐怖で震え上がっていただろうけれど、足首の冷えに怯えている今の僕には、その暴れる理由が痛いほどよく分かってしまった。


「ひ、ひえぇぇっ!? あ、あの魔王さん、数万年間も氷の世界で足元を冷やしっぱなしだったの……!? そんなの、四六時中ガタガタ震えて血行が悪くなって、イライラして世界を滅ぼしたくなっちゃうに決まってるよ……! 足先が氷みたいに冷たくて、首筋に隙間風が吹き込んでたら、誰だって暴れて吹雪を撒き散らしたくなっちゃうよ!」


僕は膝掛けのフリースをぎゅっと握りしめ、コタツから身を乗り出して思わず叫んだ。


「あんなガタガタ震えた状態で大鎌なんて振り回したら、余計に筋肉が強張って筋を違えちゃうよ! 誰かあの子の足元に、特大の『まるでこたつソックス』を履かせて、足首のツボをじんわり温めてあげてよ! それに全身には、マイクロファイバーで編まれた特大の『着る毛布』を頭からすっぽり着せてあげれば、全身ポカポカになって寒さのイライラも綺麗サッパリ消えて、大人しく丸くなってくれるはずなのに……!」


冷えに苦しむ巨大魔王への心からの共感と、防寒温熱第一なボヤキ。


……のはずだった。


(数万年の極寒凍土で冷え切った魔界の絶対覇王を、至高のツボ温熱編みで芯から解脱せしめる神の発熱足包(バルデン・コタツ・ソックス)……! そして全冷気を極上のモコモコ多幸感へと遮断する創世の被覆羽織(ウェアラブル・ブランケット)……!?)


ドアの物陰で、本日の部屋着を繕っていた裁縫師エマ、整理整頓係ディアナ、香水係イリス、そして妹リリィの目が、カァァァッ! とオーロラをも凌駕するほどの黄金の閃光を放った!


「す……凄すぎますわお兄様……ッ!」

リリィが感涙で胸の前で愛用のメモ帳を強く強く抱きしめる。

「武力で討伐するのではなく、数万年の底冷えの苦しみを慈しみ、発熱靴下と着る毛布で全身ポカポカにして救済なさろうとなされるなんて……! 私、すぐに『極寒魔王様・全身ポカポカぬくぬく化プロジェクト』を発足いたしますわッ!」


「お命救済と極上モコモコ縫製の極致だぁぁぁッ!」

裁縫師エマとディアナ、イリスが、最高級サラマンダー・フリース布地と発熱魔導毛糸の束を掲げて叫ぶ。

「超極厚発熱毛糸で編み上げた山脈級『まるでこたつソックス』と、全身をすっぽり包み込むアロマ香る『特大・着る毛布』を、ただちに召喚ポータルへ装填いたしますぞッ!」


「待って四人とも!? 僕はただ『暖かくしてあげて』って言っただけだよ!?」


僕の悲鳴を置き去りにし、狂乱の裁縫&妹チームは時空ポータルへと爆走していった。


◇


数分後。


氷獄界の凍土で牙を鳴らし、寒さのあまり吹雪を撒き散らしていた極寒冥王ヘル=フロストの頭上に、突如として巨大な時空の扉が開いた。


そこへボフンッ! と出現したのは、ふんわりと湯気を立てる山のように巨大な淡いミルキーベージュのモコモコ布地と、超極厚のニット靴下。


『我が吹雪を遮る敵か……氷河の大鎌にて両断——ふあぁっ!?』


冥王の氷の足先へ、超巨大な靴下——『バルデン特製・まるでこたつソックス』が、スポンッ! と完璧なフィット感で履かせられた。


さらに、頭の上から足元まで、全身を優しく包み込むように、超特大の『バルデン着る毛布(フード&ポケット付き)』がふわりと羽織らされ、首元のボタンがパチンと留められた。


ジュワァァァァァ……!


その瞬間、魔王の巨体がビクンッ! と大きく跳ね上がった。


『な……っ!? な、なんだこの感覚は……!? 足首のあたりから……じんわりと温かい熱が湧き上がり……数万年間氷のようだった爪先が……ポカポカと温まっていく……!?』


特殊な発熱編みがツボを的確に刺激し、滞っていた血行が一瞬で全身へと巡り始めたのだ。

さらに、全身を覆うマイクロファイバーの毛布が、冷たい隙間風を完全にシャットアウトし、内側の体温をふんわりと閉じ込めた。


『あ……温かい……! 首筋も……背中も……手足も……全部フワフワでポカポカだ……! 冷気でカチコチだった肩の力が……ふにゃあぁぁぁっと抜けていく……!』


魔王の両目から、凍ることのない温かな涙がボロボロと溢れ出した。


ガシャン……。


手から氷河の大鎌が零れ落ち、氷の大地に突き刺さった。


『寒くない……! 震えが止まった……! 我は……我はこんなにも温かい世界を知らなかったのだ……! 世界を凍らせるなど……なんと不毛なことをしようとしていたのだ……』


天地を凍らせていた最凶の魔王は、着る毛布の大きなポケットに両手をすっぽりと突っ込み、地面にペタッと正座して、トロンとした極上の笑顔を浮かべてしまった。


そこへ、誇らしげなリリィ、エマ、ディアナ、イリスが駆け込んできた。


「お兄様! 極寒冥王ヘル=フロスト様の『完全冷え性根治』を達成いたしましたわ!」

リリィが金文字のポカポカ証明書を掲げて天使の笑顔を咲かせる。

「魔王様は『この着る毛布と靴下があれば、世界を凍らせる必要など微塵もない。日当たりの良い庭で、みんなのために無農薬のプチトマトとホウレンソウを育てて暮らしたい』と、氷の鎌をクワに持ち替えて家庭菜園を始められましたの!」


「世界を滅ぼす魔王が着る毛布を着て家庭菜園を始めてる!?」


さらにコタツの向かい側では、時間の神クロノスが、足元に小さな特製こたつソックスを履かせてもらいながら「ふあぁぁ……足首のツボが温まると、こんなにも全身がとろけるのか……。寒さに震えて暴れるより、毛布を着て野菜を育てる方が全宇宙にとって遥かに健康的じゃな」と極上の笑顔で蕩けていた。


「神様まで靴下の魔力に負けてないでーーーーッ!?」


僕は悲鳴を上げ、特製クッションで顔を覆った。


「あ、あれ……? 僕はただ……コタツから出た時に着る毛布や暖かい靴下があると便利だよねって思い出しただけなのに……なんで僕の一言で『冷え切った魔界のラスボスが着る毛布で家庭菜園を始めてる』のーーーーッ!」


足元の冷えと隙間風を恐れた少年のささやかなボヤキは、身近な防寒グッズの温もりによって極寒の恐怖すらもあっさりと和やかな農園へと変えてしまい、本日も彼は足元で丸くなる小さな仲間たちと、温かな部屋の中で静かな安らぎを噛みしめるのだった。

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