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【創世級チートでホワイト楽園建国】無病息災で暮らしたい僕のボヤキ生活 ~あったらいいなと呟いていたら、世界中の変人が集まって王国最強の快適領地ができました~  作者: S&Y
第七章:封印を破った邪神や全次元の元ラスボスたちが襲来したと思ったら、日常の便利グッズと温かいご飯の前に完全毒抜きされて親衛隊を結成されてしまった件

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第99話:千年の古傷が痛むと唸る暗黒竜に「湿布」と「超密閉パワーパッド」を貼ったら大感動して親衛隊長になった件

「あいたたた……! 絵本の角で指先をピッて切っちゃったよ……地味にめちゃくちゃズキズキするぅ……」


窓から差し込む柔らかな光の中、僕は人差し指の腹をきゅっと押さえながら、情けない声を上げて身を縮こまらせた。


膝の上では羽毛の子恐竜が「くぅ?」と心配そうにつぶらな瞳で見上げてきて、足元ではAIのぬくぬく君が「ピュイ……ピュイ……」と心配そうな青緑ランプを点滅させながら擦り寄ってきてくれる。


コタツの向かい側では、パジャマ姿の時間の神クロノスが、肩のあたりをトントンと叩きながら深く同情するように頷いていた。

「……ルーカス様、小さな傷と侮るなかれじゃ。指先は神経が密集しておるからのう。それに寒くなると、昔の古傷までズキズキと疼き出すのが世の常……。わしも神話の時代に天界大戦で負った肩の古槍傷が、季節の変わり目になると鈍く疼いて敵わんのじゃよ……」


「神様でも昔の古傷が疼くんだね……。痛みを我慢し続けるのって、それだけで自律神経が乱れて免疫力が落ちちゃうから、健康にとって本当に大敵なんだよ」


前世の僕も、病院のベッドの上で点滴の針の跡がズキズキ痛んだり、乾燥した指先のあかぎれに悩まされた記憶がある。


「こういう時にさ……前世の薬局で売ってた、あの『ハイドロコロイド絆創膏(超密閉パワーパッド的なやつ)』があれば最高なんだけどなぁ。昔ながらのガーゼ付き絆創膏と違って、傷口を乾かさずに体液(滲出液)を保って密閉する『湿潤療法(モイストヒーリング)』なんだよね。貼った瞬間に痛みがピタッと消えて、傷の治りも驚くほど早くて痕も残らない魔法のシール……。それに、クロノス様みたいな古傷の疼きや肩こりには、あのスースーしてじんわり効く『温感シップ』があれば一発なのに。貼るだけで消炎鎮痛成分が深くまで届いて、何年も苦しんだ疼きがスーッと嘘みたいに溶けちゃうんだからさぁ……」


指先のズキズキを即座に鎮静化させたい僕の、切実で家庭医学第一なボヤキ。


ビビビビビッ! ギュオオオオオオンッ!


その時、壁一面の『全自動遠隔拝謁陣《リモート・モニター》』から、耳を劈くような真っ赤な緊急アラームが鳴り響いた。


『緊急事態! 緊急事態! 千年前に神魔大戦の果て奈落の底へ封印されし伝説の厄災【終末の暗黒竜・ヴォルガノス】が、地殻変動により覚醒いたしました!』


モニターの向こうでは、地割れの底から立ち上る黒煙を突き破り、山脈ほどもある超巨大な漆黒のドラゴンが這い出していた。

天空を覆う巨大な翼、灼熱のマグマを滴らせる顎、そして全次元を滅ぼしかねない圧倒的な暗黒魔力を撒き散らしている。


だが——その咆哮は、破壊の歓喜ではなく、聞いているだけで身につまされるような苦痛の叫びだった。


『グオオオオオオッ! 痛い……! 痛いのだぁぁぁッ! 千年前に勇者の聖剣に刻まれた胸の古傷が……! この季節の冷え込みと気圧の低下でズキズキ疼いてたまらぬぅぅぅッ! 背中の擦り傷もしみる……! 我をこの激痛から解放せよ……全宇宙を焼き尽くして我が痛みを忘れさせてくれぇぇぇッ!』


暗黒竜は胸元に刻まれた巨大な裂傷を前足でかきむしり、背中の古傷を岩肌にゴリゴリと擦り付けながら、涙目で狂乱していた。

傷口が空気に触れて激痛を放ち、寒さで血行が悪くなった古傷がジンジンと疼きまくっているせいで、あまりの痛さに暴走しているのだ!


前世の僕なら恐怖で震え上がっていただろうけれど、指先のズキズキに悩んでいる今の僕には、その暴れる理由が痛いほどよく分かってしまった。


「ひ、ひえぇぇっ!? あ、あの暗黒竜さん、千年前に斬られた古傷が疼いて暴れてるの……!? そんなの、四六時中ズキズキ痛くてイライラして、頭がおかしくなっちゃうに決まってるよ……! 傷口が乾いてヒリヒリして、寒さで節々が痛んでたら、誰だって暴れて火を吐きたくなっちゃうよ!」


僕は救急箱から取り出したガーゼをぎゅっと握りしめ、コタツから身を乗り出して思わず叫んだ。


「あんな傷口が開いた状態で火なんて吐いたら、余計に胸の古傷が引っ張られてパカッと裂けちゃうよ! 誰かあの子の胸の傷口に、特大の『ハイドロコロイド絆創膏』をペタッと密着させて痛みを空気から遮断してあげてよ! それに背中や腰の節々には、生姜と唐辛子エキスが入った特大の『温感シップ』を何十枚も貼ってあげれば、じんわり温まって痛みが綺麗サッパリ消えて、大人しく丸くなってくれるはずなのに……!」


古傷の痛みに苦しむ巨大竜への心からの共感と、湿潤療法第一なボヤキ。


……のはずだった。


(千年の古傷を湿潤環境で無痛再生せしめる神の生体治癒被覆(バルデン・パワー・パッド)……! そして骨の髄まで染み渡る温熱で古傷の疼きを消滅せしめる創世の貼付布(モイスト・シップ)……!?)


ドアの物陰で、本日の常備薬を整理していた薬師フィオナ、医師ガブリエル、看護師長ピア、そして妹リリィの目が、カァァァッ! と太陽光をも凌駕するほどの黄金の閃光を放った!


「す……凄すぎますわお兄様……ッ!」

リリィが感涙で胸の前で愛用のメモ帳を強く強く抱きしめる。

「武力で討伐するのではなく、千年の古傷の痛みを慈しみ、湿潤パッドと温感シップで痛みをゼロにして救済なさろうとなされるなんて……! 私、すぐに『暗黒竜様・古傷完全無痛救済プロジェクト』を発足いたしますわッ!」


「お命救済と湿潤再生療法の極致だぁぁぁッ!」

フィオナとガブリエル、ピアが、特製ハイドロコロイドゲルシートと薬草温感シップの束を掲げて叫ぶ。

「肌密着性100%の超巨大ゲルパッドに、血行促進温熱薬草をたっぷり塗り込んだ『山脈級・特製湿布&超密閉パワーパッド』を、ただちに召喚ポータルへ装填いたしますぞッ!」


「待って四人とも!? 僕はただ『傷口を保護して温めてあげて』って言っただけだよ!?」


僕の悲鳴を置き去りにし、狂乱の医療&看護&妹チームは時空ポータルへと爆走していった。


◇


数分後。


奈落の底で胸をかきむしり、痛みのあまり暴れ狂っていた暗黒竜ヴォルガノスの頭上に、突如として巨大な時空の扉が開いた。


そこへボフンッ! と出現したのは、半透明でぷるぷるした巨大な吸着ゲルシートと、ミントと生薬の爽やかな香りを放つ超特大の白い布。


『我の痛みを嘲笑いに来た敵か……滅びのブレスで——痛ぇぇぇっ!? 息を吸い込むと胸の傷が引き攣れて痛いのだぁぁぁッ!』


痛みに悶絶する暗黒竜の胸元へ、巨大な半透明シート——『バルデン特製・超巨大ハイドロコロイドパッド』が、ペタァァァンッ! と寸分の隙間もなく密着貼り付けされた。


さらに、背中や腰の節々へ、超特大の『バルデン温感消炎シップ』がバシバシと豪快に貼り付けられていく。


ジュワァァァァァ……!


その瞬間、暗黒竜の巨体がビクンッ! と大きく震えた。


『な……っ!? な、なんだこの感覚は……!? 空気に触れてズキズキと燃えるようだった胸の激痛が……一瞬で……消えた……!?』


傷口から滲み出る治癒成分をゲルが優しく包み込み、神経への刺激を完全にシャットアウトしたのだ。

さらに、背中に貼られたシップから、最初はヒヤリとした心地よい清涼感が広がり、数秒後には芯からじんわりと温かい熱が染み渡ってきた。


『あ……温かい……! 千年間ジンジン軋んでいた背骨の古傷が……スースーして……ぽかぽか温まって……痛みが……完全にゼロになった……!』


暗黒竜の両目から、滝のような大粒の涙がボロボロと溢れ出した。


『痛くない……! 息を吸っても痛くない……! 体を動かしても痛くないのだぁぁぁッ! 我は……我は何千年ぶりにこの安らぎを得たというのだ……!』


天地を震わせていた凶悪な暗黒竜は、前足を綺麗に揃え、地面にお腹をペタッとくっつけて子犬のように丸くなってしまった。


そこへ、誇らしげなリリィ、フィオナ、ガブリエル、ピアが駆け込んできた。


「お兄様! 伝説の暗黒竜ヴォルガノス様の『古傷完全無痛化』を達成いたしましたわ!」

リリィが金文字の完治証明書を掲げて天使の笑顔を咲かせる。

「暗黒竜様は『この痛みを消してくれた神童ルーカス様に一生仕え、親衛隊長として守護したい。剥がれそうになったらまた貼り替えてほしい』と、感涙の土下座をされましたの!」


「世界を滅ぼす暗黒竜が超密閉パワーパッドと湿布で親衛隊長になってる!?」


さらにコタツの向かい側では、時間の神クロノスが、肩に小さな特製湿布を貼ってもらいながら「ふあぁぁ……スースーしてじんわり温かい……。古傷の痛みを我慢するより、湿布を貼って大人しくするのが全宇宙にとって最も慈悲深い道じゃな」と極上の笑顔で蕩けていた。


「神様まで湿布の魔力に負けてないでーーーーッ!?」


僕は悲鳴を上げ、特製クッションで顔を覆った。


「あ、あれ……? 僕はただ……指先を切った時に超密閉パワーパッドがあると痛くなくて便利だよねって思い出しただけなのに……なんで僕の一言で『千年の古傷に苦しむ暗黒竜に湿布が貼られて親衛隊長になってる』のーーーーッ!」


古傷の痛みを恐れた少年のささやかなボヤキは、身近な救急グッズの力によって伝説の厄災すらもあっさりと手懐けてしまい、本日も彼は足元で丸くなる小さな仲間たちと、温かな部屋の中で静かな安らぎを噛みしめるのだった。

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