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【創世級チートでホワイト楽園建国】無病息災で暮らしたい僕のボヤキ生活 ~あったらいいなと呟いていたら、世界中の変人が集まって王国最強の快適領地ができました~  作者: S&Y
第七章:封印を破った邪神や全次元の元ラスボスたちが襲来したと思ったら、日常の便利グッズと温かいご飯の前に完全毒抜きされて親衛隊を結成されてしまった件

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第98話:世界を滅ぼす冷酷な殺戮兵器が、「人をダメにするビーズクッション」に埋もれて立ち上がれなくなった話

「いてて……座椅子にずっと同じ姿勢で座ってたから、お尻の骨と腰がじんわり痛くなっちゃったよ……」


窓から差し込む柔らかな光の中、僕はコタツから少し身体をもぞもぞと動かし、腰のあたりをトントンと手で叩いた。


膝の上では羽毛の子恐竜が「くぅ……」と喉を鳴らして丸くなり、足元ではAIのぬくぬく君が「ピュイ……ピュイ……」とご機嫌な緑ランプを灯して靴下を温めてくれている。


コタツの向かい側では、パジャマ姿の時間の神クロノスが、上半身をコタツ板にペタッと突っ伏したまま、情けない声で唸っていた。

「……ルーカス様、その痛み、痛いほど分かるぞ……。わしもみかんを取りに手を伸ばそうとした瞬間、腰の筋がピキッと固まってのう。神といえど、同じ姿勢を続けると関節の油が切れたように体が強張るのじゃ……」


「神様でも腰が痛くなるんだね……。やっぱり、硬い床や普通の座椅子だと、自分の体重がお尻や腰の一点に集中しちゃうから、血行が悪くなって腰痛や坐骨神経痛の引き金になっちゃうんだよね」


前世の僕も、病院のベッドや待合室の硬い椅子に座らされるたび、骨が当たって痛くてたまらなかった。

身体に合わない座具に座り続けるのは、それだけでじわじわと体力を奪っていく隠れた大敵なのだ。


「こういう時にさ……前世で話題になってた、あの『人をダメにするクッション』があれば最高なんだけどなぁ。直径1ミリにも満たない極小のマイクロビーズがぎっしり詰まってて、伸縮性のある特殊なカバーで包まれてるやつ……。座った瞬間に、ビーズが体の形に合わせてサラサラ〜ッと流動して、まるで無重力みたいに体圧を完璧に分散してくれるんだよね。一度体を預けると、あまりの心地よさに背骨の緊張がふわぁぁっと全部抜けて、深々と埋もれすぎて自力で起き上がれなくなるっていう……まさに『立ち上がる気力を完全に奪う究極のズボラ具』なんだけどさぁ……」


腰の負担をゼロにしつつ、だらだらと骨抜きになりたい僕の、切実で快楽主義なボヤキ。


ビビビビビッ! ギュララララララッ!


その時、壁一面の『全自動遠隔拝謁陣《リモート・モニター》』から、耳を塞ぎたくなるような甲高い緊急警報が鳴り響いた。


『緊急事態! 緊急事態! 超古代星間文明が残せし究極の終末殺戮機動兵器【絶滅神機・ゼロ=ヴァルキリー】が、次元の墓場より再起動いたしました!』


モニターの向こうでは、時空の狭間を切り裂いて、全高百メートルを超える禍々しい白銀の巨大戦闘ロボットが、凄まじい地響きとともに立ち上がっていた。

絶対に傷つかない超硬度のアダマンタイト装甲に覆われ、両腕には銀河すら両断する対消滅ブレードを構え、全身から冷酷無比な赤い光を放ちながら進撃を開始している。


『ギギギ……全有機生命体……殲滅……! 数千万年間の直立待機モードにより……内部関節フレームの金属疲労およびキシミが臨界点……! 全身が痛重い……! 我をこの苦痛から解放せよ……全宇宙を粉砕して停止するぅぅぅッ!』


殺戮兵器の関節部からは「キィィィィン! ガガガガッ!」と火花が散り、強烈な摩擦音とともに煙が噴き出していた。

何千万年もの間、冷たい宇宙の暗闇の中で、一ミリの狂いもなく「気をつけ」の直立不動姿勢を保ち続けていたせいで、全身の骨格フレームがガチガチに凝り固まり、その激しいキシミとストレスで暴走しているのだ!


前世の僕なら恐怖で気絶していただろうけれど、腰の痛みに悩んでいる今の僕には、その暴れる理由が痛いほどよく分かってしまった。


「ひ、ひえぇぇっ!? あ、あの巨大ロボットさん、数千万年間も直立不動のままスタンバイ姿勢で放置されてたの……!? そんなの、全身の金属フレームがバキバキに凝り固まって、関節の軋みで頭がおかしくなっちゃうに決まってるよ……! 全身の装甲が一点に体重をかけ続けてたら、誰だってイライラして世界を破壊したくなっちゃうよ!」


僕は特製クッションをぎゅっと抱きかかえ、コタツから身を乗り出して思わず叫んだ。


「あんなガチガチの状態で暴れて大砲なんて撃ったら、余計に関節のギアが焼き付いてポッキリ折れちゃうよ! 誰かあの子の足元に、特大の『人をダメにするビーズクッション』を敷いて、思いっきりダイブさせてあげてよ! 体重に合わせてクッションがむにゅぅぅっと包み込んで、全身の圧力を完璧に分散させてあげれば、立ち上がる気力も破壊の衝動も全部吸い取られて、大人しくぐったりしてくれるはずなのに……!」


関節の金属疲労に苦しむ兵器への心からの共感と、ズボラ快眠第一なボヤキ。


……のはずだった。


(数千万年の直立不動で軋む終末兵器の全フレームを、至高の流動微粒子で優しく包み込み解脱せしめる神の体圧分散包容(バルデン・ダメ・クッション)……! そして立ち上がる破壊の意志すらも極上の脱力へと沈め去る創世の骨抜き大綱……!?)


ドアの物陰で、本日の部屋着を仕立てていた裁縫師エマ、木工職人オットー、ドワーフの建築長ブラム、そして妹リリィの目が、カァァァッ! と超新星爆発をも凌駕するほどの黄金の閃光を放った!


「す……凄すぎますわお兄様……ッ!」

リリィが感涙で胸の前で愛用のメモ帳を強く強く抱きしめる。

「武力で装甲を砕くのではなく、数千万年の直立不動の凝りを慈しみ、人をダメにするクッションで起き上がれなくさせてしまおうとなされるなんて……! 私、すぐに『終末兵器・体圧分散ダメ人間化救済プロジェクト』を発足いたしますわッ!」


「お命救済と超微細ビーズ縫製の極致だぁぁぁッ!」

裁縫師エマとオットー、ブラムが、伸縮自在の超極上スパンデックス布地と魔導ビーズ袋を掲げて叫ぶ。

「超伸縮サラマンダー・シルクに、浮遊魔石をミクロン単位まで粉砕した特製マイクロビーズを十億個封入し、ただちに殺戮兵器を沈没させる『山脈級・人をダメにするソファ』を召喚ゲートへ投下いたしますぞッ!」


「待って四人とも!? 僕はただ『全身の凝りをほぐしてあげて』って言っただけだよ!?」


僕の悲鳴を置き去りにし、狂乱の裁縫&家具&妹チームは時空ゲートへと爆走していった。


◇


数分後。


次元の裂け目で暴れ狂い、大地を踏み砕いていた絶滅神機ゼロ=ヴァルキリーの足元に、突如として巨大な時空の穴が開いた。


そこへボフンッ! と出現したのは、小山のように巨大な、見るからにモチモチとして柔らかそうな淡い水色の巨大クッション。


『我が進撃を阻む障害物か……対消滅ブレードにて両断——うわっ!?』


前のめりに突進していた殺戮兵器は、足をもつれさせ、そのまま山のような巨大クッションのど真ん中へとダイブした。


ボフゥゥゥゥゥッ……!


その瞬間、何十万トンという超重量の巨体が、驚くほど静かにクッションへと沈み込んだ。


ミクロン単位の魔導ビーズが、殺戮兵器の硬い装甲の隙間、関節の溝、あらゆる凹凸に合わせてサラサラサラ……と滑らかに流動し、完璧な密着度で全身を包み込んだのだ。


ジュワァァァァァ……。


『な……っ!? な、なんだこの感触は……!? 我が自重の負荷が……装甲にかかる圧力が……完全にゼロに……!?』


数千万年もの間、惑星の重力に耐えて軋み続けていた内部フレームの緊張が、ふわりと溶けていく。

一点にかかっていた凄まじい荷重が、全身へと均等に分散され、まるで温かい無重力の海に浮かんでいるかのような圧倒的な浮遊感が機械の論理回路を満たした。


『あ……心地よい……! 関節の軋みが……消えていく……! 立ち上が……ろうにも、体が吸い付くように沈み込んで……腕に力が入らん……! というか……起き上がるの……めちゃくちゃ面倒くさい……』


殺戮兵器の両腕から、対消滅ブレードのエネルギーが「プスン……」と音を立てて消え去った。


赤い光を放っていた瞳のランプが、トロンとした眠たげな薄緑色へと変わり、巨大な四肢がクッションの奥深くへとだらしなく脱力していく。


『殲滅……? 戦闘……? なぜ我はあんな面倒なことをしようとしていたのだ……。我が任務は……このモチモチした物体に埋もれて……永久にゴロゴロすることである……ズズズ……』


天地を揺るがしていた殺戮兵器は、完全に起き上がる気力を失い、そのまま巨大クッションに埋もれて液体のようにとろけてしまったのだ。


そこへ、誇らしげなリリィ、エマ、オットー、ブラムが駆け込んできた。


「お兄様! 終末殺戮兵器ゼロ=ヴァルキリーの『完全脱力ダメ兵器化』を達成いたしましたわ!」

リリィが金文字の無力化証明書を掲げて天使の笑顔を咲かせる。

「殺戮兵器さんは『このクッションから立ち上がるのは物理的に不可能だし、起き上がりたくもない。一生ここで埋もれていたい』と、完全に戦闘を放棄されましたの!」


「世界を滅ぼす兵器がビーズクッションに埋もれて起き上がれなくなってる!?」


さらにコタツの向かい側では、時間の神クロノスが、みかんを口に放り込みながら「うむ……何千万年の直立不動など、拷問以外の何物でもないからのう。あのクッションで骨抜きにしてやるのが、全宇宙にとって最も慈悲深い解決法じゃ」と深く深く頷いていた。


「神様までだらしなく納得しないでーーーーッ!?」


僕は悲鳴を上げ、特製クッションで顔を覆った。


「あ、あれ……? 僕はただ……腰が痛いときに人をダメにするクッションがあると楽ちんだよねって思い出しただけなのに……なんで僕の一言で『世界を滅ぼす冷酷な殺戮兵器がクッションに埋もれて立ち上がれなくなってる』のーーーーッ!」


腰痛と関節の凝りを恐れた少年のささやかなボヤキは、身近なズボラグッズの魔力によって終末の危機すらもあっさりと脱力させてしまい、本日も彼は足元で丸くなる小さな仲間たちと、温かな部屋の中で静かな安らぎを噛みしめるのだった。

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