46話 現地到着
昨日は結局、ノアとオリビアは帰ってしまい俺たちだけで予約していたホテルに向かった。
飛行機で寝ていたが長旅で疲れていたのかいつもと違う環境だったがぐっすり眠れた。
いよいよ今日からダンジョンに行く予定だが昨日あんなことがあったのであの2人は案内に来ないかもしれない。
「橘さん、どうしますか?あの2人来ると思います?」
「来なかったらまた別の人に依頼すればいいので問題はないですが少し時間がかかりますね」
「それならよかっです」
ここまで来てダンジョンに行けないよりかは別の人に依頼できるなら時間がかかってもそっちの方がいい。
「ですが来ているかもしれないので一応、集合場所に行ってみますか」
「分かりました」
あまり期待をしないで集合場所に行ってみると意外にも2人はきちんと来ていた。
予想していなかったことに驚いたが橘さんを見ると驚いた様子はなくむしろやっぱり来ていたかという感じだ。
「来ていましたね」
「来ると思ってましたよ」
「そうなんですか?」
「向こうから喧嘩を売ってきて負けたのに依頼からも逃げ出したら立つ瀬がないでしょう」
要するにプライドを守るためということだろう。
橘さんはあの2人に声をかけに行った。
「ああいう人間はプライドだけは無駄に高いな」
シャドウはあの2人のプライドの高さにだけは感心をしているようだ。
「シャドウ、頼むからダンジョンに着くまではもう喧嘩しないでくれよ?」
オリビアがこちら、正確にはシャドウを見て怯えている。
あの感じならもう喧嘩を売ってくることはないと思うが念の為、注意をしておいた。
「分かった。だがダンジョンに着いたら用済みになるしその時は消してもいいか?」
「いいわけないだろ!」
「冗談だ」
声のトーンが冗談を言っているようには聞こえなかったので思わずツッコミを入れてしまった。
そんな話をしていたら橘さんたちがこちらに向かってきた。
『昨日はすまなかった。俺たちが悪かった。もしよければ俺たちに案内を任せてくれないか?』
橘さんはノアが話している事を日本語に訳して俺に伝えてくれた。
「俺はなんとも思っていないですよ。なので案内をお願いします」
昨日のことも別に怒っていなかったしこうして改めて謝ってもらっているので任せることにした。
『ありがとう!それじゃあさっそく向かおうか!』
なんとか和解ができた。ここからダンジョンまではまだ結構距離があるそうなので車で向かうことになった。
「やっと大型ダンジョンに挑戦できますね!」
「そうね。何か手がかりがあればいいのだけど」
「ラミリア様に会えれば何かしら教えてもらえますよ」
「そうだといいわね」
実はシュリはラミリアと会えるとはあまり期待していない。
なぜならシュリの世界ではラミリアと会うことはおろか話すことすらできないからだ。
それをできるのはラミリアに認められた勇者や聖女、ごく稀にラミリアの加護を持っている選ばれた人物だけらしい。
俺はラミリアの加護を貰っているので会える可能性は高い。
「もう少しで着くそうです」
車で移動すること3時間、目的地までもう少しだ。
「ここから少し歩きます」
ダンジョン近くまで来たがまわりは山や木に囲まれておりここから車で移動するのは難しく徒歩での移動になる。
歩くこと20分ほど向かう道中は木しかなかったが整備された場所に出た。
「結構人がいますね」
周りを見ると場所の割には人が多くおり店も開いていた。
店は宿泊施設とポーションやアイテムを売っている店だ。
『このダンジョンには20階層から25階層にレッドブルとブルーカウというモンスターがいてそいつらのドロップ品の肉が高値で取引されているから人がたくさん集まっている』
ノアはこのダンジョンに人が集まっている理由を教えてくれた。
どうやらオークのような肉をドロップする牛型のモンスターがいるようでたくさんの人が集まっているようだ。
「オーク肉は美味しかったしそのモンスターの肉も食べてみたいな」
想像しただけでお腹が空いてきた。だって牛肉だろ?そんなのステーキにして食べたら絶対美味しい。
『そこの食堂で食べれるぞ』
ノアは宿泊施設を指差した。
『しかも産地直送だから他の場所よりも安いぞ』
「それならお腹空いたし食べてから行こうか」
ダンジョンに入ったらまともな食事をすることが難しくなるので是非とも食べておきたい。
「私はいいわよ」
「よし!」
「橘さんたちはどうしますか?」
ノアさん達は依頼を完了し橘さんも予定ではダンジョンに着いたら日本に戻るという話だった。
「私はすぐ日本に戻ります」
『俺らはこいつを空港まで送っていく』
「じゃあ3人ともここでお別れですね」
「神崎さん、私は日本に戻って例の件があるので探索者たちを強くします」
例の件とは地球に何かが攻めてくる話のことだ。今のままだと戦力にならないので強くなってもらわないと困る。
「橘さんだけでできますか?」
「なんとかしてみます」
いくらダンジョン省のトップでも1人だと限界がある。
「例の件、一鬼さんにも協力してもらった方がいいと思います。きっと力になってくれます」
あのコラボでしか関わりはないが一鬼さんなら協力してくれるという確信がある。
「そうですね。極秘に私の中で信用できる方、何人かに協力を仰ぎたいと思います」
「そうした方がいいと思います」
協力してくれる仲間が多ければ多いほど円滑にいろいろ進めれるだろう。
「分かりました。神崎さんが帰ってくるまでに私もA級レベルのモンスターを倒せるように頑張るのでそちらも攻略を頑張ってください!」
「はい!ここまで送って下さりありがとうございました!」
俺たちは帰っていく橘さん達を見えなくなるまで見送りをした。
「それじゃあご飯行きますか!」
宿泊施設内にある食堂に入った。中にはそれなりに人がおり、まだ昼なのに酒を飲んで楽しんでいる人もいる。
空いている席に座り、置いてあったメニュー表を開いた。
メニューにはステーキやハンバーガー、チキンなどがっつりした物が多い。
「2人は何食べる?」
俺はもうステーキの口になっていたので頼むものは決まっている。
「私はあまりお腹が空いていないからこのホットドッグってやつにしようかしら」
「じゃあ我はこのハンバーガーというやつにしよう」
頼む物が決まったので店員を呼び、それぞれ食べたい物を注文した。
少し待つと店員さんが注文した物を持ってきたのだが思わず顔がひきつってしまった。
「流石、アメリカだな。量がすごい」
テーブルの上には日本のハンバーガー屋で出てくる物より2回りほど大きく、パティを何重にも挟んだハンバーガーと500グラム以上はありそうなステーキに付け合わせとは思えない量のポテトの乗ったプレートがある。
「あなたたちそれ食べ切れるの?」
シュリもあまりの量に顔に出るくらいドン引きしている。
「なんとか食べ切るよ」
「まぁなんとかなるだろう」
とりあえず1口食べてみると口いっぱいに肉汁が広がった。
「うっま!」
思ったより脂がひつこくなく肉なのに軽く食べれる。
「これならこの量いけるぞ!」
どんどん食べ進めていき余裕で食べ切ることができた。
シャドウを見るとあと少しで食べ終わる量まで食べていた。
「よく食べきれたわね」
量が量だったので食べきれないと思っていたのだろう。この肉じゃなかったら脂にやられて食べきれなかった。
シャドウも食べ終わったので会計を済ませ店を出た。
「腹ごしらえもできたし攻略に行きますか!」
「我がいるのだ!余裕で攻略するぞ!」
「そうね。大型ダンジョンくらいさっさと攻略しましょう!」
いよいよ大型ダンジョンに挑戦をする。シャドウもいるのでこのメンバーなら攻略もできるだろう。
「よしいくぞ!」




