45話 アメリカの探索者
「橘さんお待たせしました」
「いえ、ここまで分かりましたか?」
「いや〜迷って遅くなりました」
俺たちは現在、空港におり橘さんと合流した。俺がアメリカに行くのが初めてだと言ったら橘さんがアメリカのダンジョンまでの案内を申し出てくれたのだ。
「わざわざ橘さんが案内してくれるなんてありがとうございます」
「私がついて行った方が安心だと思ったので」
「正直、心強いです」
「それならよかったです。それじゃあ行きましょうか」
橘さんに付いて行くと普通の飛行機ではない飛行機に案内された。
「これってプライベートジェットってやつですか?」
「いえ、これは日本国政府専用機です。国の重鎮が乗る飛行機です」
「そんなのに俺たちが乗っていいんですか?」
俺たちの都合でこんなVIP対応をしていいのだろうか。
「日本にとって神崎さんたちは政府のお偉いさん達より貴重な存在なんです。何かあっては困るので普通の飛行機は使えないのです」
「そうなんですね、なんか気が引けます」
「気にしないで大丈夫ですよ。クラスの高い席に座れるラッキーくらいに思ってください」
「分かりました」
気にしてもしょうがないのでそう思うことにした。
全員、飛行機に乗り込み用意できたので出発した。
「凄いわね。こんな金属の塊が空高く速く飛ぶなんて」
「それは同感だな。これはどうやって動いているんだ?」
「俺も初めて飛行機に乗るけど確かに凄いな」
シュリたちは外が気になるのかずっと見ている。
「神崎さん、この後の予定を説明してもいいですか?」
「はい」
「まず向こうに着いたらアメリカの探索者と合流します。私も細かい位置までは把握していないので現地の人に案内してもらいます。通訳はするので任せてください」
「よろしくお願いします」
「その後、ダンジョンに着いたら私は帰りますね。たぶん攻略するまで出てこないですよね?」
「その予定です」
早くシュリを向こうに帰さないといけない。その手がかりを得るためにもこのダンジョンは攻略するつもりだ。
「なので私は一度、日本に戻り攻略ができたら迎えに来ますね」
「分かりました」
「話は以上です。長旅になるのでゆっくり休んでください。何かあれば対応しますので気軽に言ってください」
「分かりました。ありがとうございます」
ダンジョンはアメリカのロサンゼルスにあるらしいので飛行時間は10時間ほどかかる。
長時間の移動なので配信をみたり寝て過ごした。
「蒼空」
「ん?」
「起きて。もうちょっとで着くそうよ」
「分かりました」
空港に着きロビーに行くと2人の男女が待っていた。
橘さんはその2人と会話をしているが俺は英語が分からないので何を話しているかさっぱりだ。
「シュリ、何話しているか分かる?」
「お互い自己紹介をしてこの後のことを話しているわ」
「そうなんですね。やっぱり言語理解のスキルってこういう時いいなー」
(ん?今、男の方俺のことを見たよな)
「頑張って獲得したら?」
「どうやって獲得するんですか?」
(まぁ気のせいか)
一瞬だったのでそう感じただけかもしれない。
「3言語、理解できるようになるとスキルを獲得できるわよ」
「なら俺には無理ですね」
英語すら理解できないのにもう1言語なんて無理だ。
「それかスキルの書で獲得するしかないわね。ただ自力で獲得しないと同じレベルでも差が結構あるけどね」
「そうなんですか?」
「スキルはなんでもそうよ。自力で獲得するのとスキルの書やコピー系のスキルで獲得するのでは熟練度が違うからレベルの上がるスピードや同じレベルでも差があるわ。知らなかったの?」
「初めて聞きました」
確かに思い返すと元々持っていた剣術スキルのレベルはすぐに上がっていったが、特典で貰った鑑定は全然上がっていなかったのはそういうことだったようだ。
「主はそんなことも知らなかったのか?」
「知らないな。そもそも俺の世界にダンジョンが現れて1年くらいなのにそんなことに気づくわけないだろう」
「そういえばそうだったな」
「神崎さん紹介しますね」
喋っていたら話が終わりこちらに来ていた。
「男性がノアさんで女性がオリビアさんです。アメリカの探索者で上位ランカーです」
「俺の名前は神崎蒼空です。こっちがシュリでこっちがシャドウです。よろしくお願いします」
俺が言ったことを橘さんが翻訳して伝えてくれている。
「こちらもよろしくお願いしますと言っています」
「ちなみにランカーってなんですか?」
「ランカーとは日本でいうランクみたいな制度です。アメリカでは上位100人を上位ランカーと言ってノアさんたちは10位と38位です」
「凄いんですね」
アメリカの上位ランカーってどの程度なのだろうか。
ノア・スミス 27歳 人間 レベル64
職業 魔剣士
HP1060/1060 MP620/620
攻撃力 462
防御力 476
体力 464
敏捷性 459
魔法力 470
魔法耐性465
スキル
剣術7、武術5、火魔法4、水魔法4、風魔法4、雷魔法5、気配察知3、並列思考3、魔法剣3、身体強化6、弱点看破3、読心3
耐性
物理耐性2
オリビア・テイラー 24歳 人間 レベル50
職業 武僧
HP870/870 MP570/570
攻撃力 401
防御力 398
体力 390
敏捷性 386
魔法力 405
魔法耐性395
スキル
武術7、回復魔法5、水魔法5、光魔法5、付与魔法3、魔力操作3、魔力感知3、身体強化5
耐性
魔法耐性2
2人ともそこそこ強いようだ。職業が魔法系と戦闘系の上位職なためステータスが均一に上がっている。
オリビアさんが38位なのは支援職だからだろう。
(でもアメリカの10位でこの程度か。これじゃあB級にも満たない)
「今日ですが長時間の移動で疲れていると思うので明日、ダンジョンに向かいましょう」
「はい」
「あいつらそんな強いように見えないな。本当にS級ダンジョンとかクリアしたのか?あのダンジョンの30階層もいけなさそうだが」
「やっぱり噂に尾ひれがついているだけじゃない?」
「おい今、主に失礼なことを言わなかったか?」
「シャドウどうした?」
シャドウが急に2人にキレているように見える。
「いやこいつらが主を馬鹿にしていたので」
「そうね」
「人間の雑魚がよく主にそんなこと言えたな」
「なんだと?」
「お前らなど魔法1発で殺せるぞ?」
「揉めるのは辞めてください!」
「そこまで言うなら戦うか?アメリカのハンターが島国のハンターに負けはしないぞ」
(まじで何喋ってるんだ?)
「シュリ、どうなっているんですか?」
「シャドウが言い返したから決闘を申し込まれているわ」
「何やってるんだよ」
(相手も力量すら測れないのに喧嘩売ってくるなよ)
戦ったら勝負にすらならない。シャドウの覇気だけで気絶させるのは容易いくらいの差がある。
「橘さんあいつらに辞めとけって言ってもらってもいいですか?あいつらが可哀想なので」
「分かりました」
「ノアさん本当に辞めてください。こちらの無礼はお詫びします」
「逃げるのか?やはり小さい島国のハンターは臆病者の集まりだな」
「おい、これ以上口を開いてみろ?殺すぞ?」
シャドウの覇気が漏れ出している。何故そうなったか分からないが話が拗れているのは分かる。
オリビアはシャドウの覇気に当てられて顔が青ざめている。やっと誰を敵に回したのか理解したみたいだ。
「ノアもう辞めましょう。私たちじゃこいつにも勝てないわ」
「うるせぇ!こちとら馬鹿にされたんだぞ!」
「そもそも私たちが悪いわ。すみませんでした!」
「シャドウさん謝罪をもらったのでその威圧を止めてもらってもいいですか?」
「まぁいいだろう」
話が解決したのかシャドウは覇気を止めた。
「くそが!」
ノアはオリビアと先を歩いていった。まだ突っかかってくると思ったがノアは意外とすぐに引いた。
たぶんシャドウの覇気をくらって内心では勝てないと判断したのだろう。
「解決したんですか?」
「そうよ」
「橘さんすみません。うちのシャドウが」
「いえ、私もこの立場じゃなければキレていたと思うのでシャドウさんがキレてくれて有り難いです」
「そうですか」
あの橘さんがキレそうになったということは相当許せないことを言われたのだろう。
ダンジョンに案内してもらうだけなのにどうしてこうなったのだろうか?まったく、先が思いやられる。




