47話 ダンジョン攻略開始
気合いを入れてダンジョンに入った俺たちはまずあることを確認することにした。1階層を探索しているとオークに出会った。
大型ダンジョンの1階層にはオークが出現するのでここで出会ったということはこのダンジョンは大型ダンジョンで間違いない。
「とりあえず今日は何階層を目指します?」
「戦闘を避けていくなら30分で1層降りれると思うから20階層くらいを目指しましょうか」
「了解です」
目標を決めた俺たちはモンスターと戦闘にならないように気配察知と魔力感知を駆使して進んでいった。
「予定より早く20階層に着きましたね。まだ進みますか?」
途中、休憩を挟んで進んできたが予定よりも2時間ほど早く着いた。
「体力的には余裕よね?」
「我はまだまだ余裕だ」
「俺も大丈夫です」
5階層ごとのボスで戦闘はしたものの全て一撃で倒しているので体力の消耗はたいしてしていない。
「それなら進みましょうか」
20階層のボスを倒し21階層に降りると広い草原エリアになっている。出現するモンスターも牛型のモンスターが増えておりそれに伴い、人の数も増えてきた。
「そういえばこのダンジョンはこの牛の肉目当てに人が集まっているんでしたね」
「思っていたよりも多いわね」
シュリの顔が引き攣っているので引いているのだろう。だがその気持ちは分かる。
何故なら俺の気配察知にざっと50以上は反応があるからだ。索敵範囲が半径80メートルくらいでこの人数の反応なので人が多いのが分かる。
「人間が多くて鬱陶しいな」
「確かにな」
人が目障りという意味で言っているのではなく常時発動している感知系スキルに人も引っかかるのでモンスターと人を判別しないといけないから鬱陶しいだけだ。
「それにしてもこんなに人が多かったら競争率が高そうだな」
「今は稼げるでしょうけどいずれ供給が需要をこえるでしょうね」
「人間は単純だな」
「できるなら楽して稼ぎたいからな」
日本でもオーク肉で人が集まっていたように誰しも稼げるならたくさん稼ぎたいと思うし楽できるなら多少稼げなくなっても続ける生き物だ。
「せっかくだし俺たちもあのモンスターを狩りますか」
「蒼空、そこまでお金がなかったのね。それなら私が稼いでくるのに」
「主、そうなのか!?」
シュリは理由を分かっていて冗談で言っているがシャドウは間に受けたようで本気で心配している。
「シュリ」
怒ってはいないが少し圧をかけて名前を言った。
「冗談よ」
「なんだ冗談か」
「当たり前だろ」
シュリはたまぁにこういう冗談でからかってくるから大変だがからかっても大丈夫な相手だと思ってくれているのは心を許してもらえているようで嬉しい。
「俺たちは食料の確保で狩るだけだ」
「そういうことか。それなら我に任せてくれ」
「じゃあよろしく」
食料集めはシャドウにまかせて俺は昼寝を始めた。
ダンジョンの中なのに太陽があり心地いい風も吹いているため昼寝にぴったりな場所だ。
あとでシュリから聞いた話だが他の探索者が昼寝をしている俺を見て頭がおかしいと言っていたみたいだ。
ダンジョンで呑気に寝ている俺が悪いので何も言えない。
「主、起きてください」
「うん?」
目を覚ますとシャドウが目の前にいた。空を見ると青空だったのがオレンジになっているのでそこそこ時間が経ったようだ。
「終わりました」
「ありがとう。シュリは?」
「そこです」
シュリは沈む太陽の方を見て、夕風に髪が静かになびいている。
その光景は絵になるくらい美しく目を奪われてしまった。
見惚れているとシュリは俺が起きているのに気づいたのでそっぽ向いて目線を逸らした。
「おはよう、蒼空」
「はい」
俺は見惚れていたことに気づかれないように冷静に返事をした。
「気持ちよさそうに寝ていたわね」
「すみません」
「大丈夫よ。もう夜になりそうだし今日はここまでだから」
「ありがとうございます。そういえばシュリは俺が寝ている間、何をやっていたんですか?」
俺はシャドウが行ってからすぐ寝てしまったためシュリが何をやっていたか不思議に思った。
「私はシャドウの手伝いをしていたわ」
「手伝いですか?」
「我にはアイテムボックスのスキルがないのでな、姉御に回収してもらっていたのだ」
「そうだったんですね。ありがとうございます」
どうやらサボっていたのは俺だけのようだ。
「いいわよ。どうせ暇だったし」
「申し訳ないのでテントの用意などは俺に任せてください」
俺はここで野営をするためにテントを立て魔除けのペンダントを置いて準備を完了した。
夕食はコンロを用意してバーベキューだ。さっそく手に入れた肉を使う。
串に野菜と肉を刺していきこしょうをかけて下準備は完了だ。
「どんどん焼いていきますね」
「よろしく〜」
大きめのカットで20本ほど用意したがあっという間になくなってしまった。
「やっぱりこの肉うま!量が多くても胃もたれしないでパクパクいけるわ」
「久しぶりに食べたけど美味しいわね」
「牛の肉も悪くないな」
人気な肉なだけに好評だ。ふっと気になることがあったので聞いてみた。
「そういえば今更だけどヴァンパイアって血を飲まないといけないんじゃないのか?」
「本当に今更ね」
シャドウと出会ってから1ヶ月以上は経っているのに今まで不思議に思わなかった。
「我くらいになれば血を飲まなくても問題ないぞ」
「低位のヴァンパイアなら血を飲まないといけないけどシャドウは上位のヴァンパイアだからその辺の弱点がなくなっているのよ」
「だから日光とかも大丈夫なのか」
よくよく考えてみれば日中、普通に活動できている時点で気づくことだった。
「我に弱点などない!」
シャドウは何故か誇らしげにしている。
「だから特に気を使うことはないぞ」
「今の所、気を使ってないから今まで通りだな」
「そうね」
楽しい食事は終わり、物を片付けて今日は就寝した。
翌朝、朝食を食べて朝一で出発をした。ここからは本格的にダンジョンを進んでいくために最短ルートでかけていったおかげで5日で65階層まで進んだ。
40階層辺りから人を見ることも減っていき50階層を超えたくらいからほとんど見なくなった。
「この辺からA級モンスターも現れるようになったわね」
「まだ余裕なので本格的な戦闘になるのは80階層辺りになりそうですかね?」
「そうね。それくらいからS級レベルになってくるでしょうね」
「それでも我の敵ではないな」
このペースなら1ヶ月あればこのダンジョンは攻略できるだろう。
俺たちは65階層のボスに挑もうと部屋の前に行くと扉がまったく開かない。
「あれ?なんで扉が開かないんだ?」
「もしかしたらボスと戦っている人がいるかもしれないわね。中に人がいると倒すまでか諦めて出てくるまで扉は開かないわ」
このパターンは初めてなので少し戸惑ってしまったが中に人がいるならしょうがない。
「これって仮に倒されてしまったらボスってどうなるんですか?」
「倒されるとリスポーンするのに12時間かかるわ」
「ここで12時間、足止めされるのはだるいな」
「ダンジョンではあるあるだからしょうがないわ」
「そうですね。とりあえず待ちですね」
俺たちは12時間、待つことも視野に入れて扉の前にいたがすぐにその必要がなくなった。




