41話 S級ダンジョン①
俺たちは少し遠出して神奈川県にあるS級ダンジョンに来た。
事前情報によるとここは薄暗い霧がかった森から始まるダンジョンで出現するモンスターはヴァンパイアらしいのだ。
事前情報は隠密と鑑定どちらともに長けている人が調査に来ていたようなので確実な情報だろう。
そして何故このダンジョンに来たかというとシュリがいうにはボスはヴァンパイアロードが出てくる可能性が高いらしくこいつはS級のボスの中でも中堅クラスでベヒモスや地竜よりは弱い。
ヴァンパイアは火魔法への耐性が低く血魔法が火魔法と相性も悪い。
それに心臓を潰せば死ぬので比較的倒しやすいモンスターらしいのだ。
「さっそく1体現れたな」
ヴァンパイアの強さ的にはA級レベルの強さだ。
「とりあえずは俺1人で倒しますね」
「ヴァンパイアに血を飲ませないようにしなさい」
「どうしてですか?」
「スキルに吸血ってあるでしょ?」
「はい」
「吸血は血を飲むとMPが回復するわ。それに血を飲む相手のMP量によって回復量も変わるから私たちの血なら結構回復されるから気をつけなさい」
「了解です」
もし怪我をしても飲まれる前にすぐに回復魔法で治せば大丈夫だろう。
とりあえずヴァンパイアの弱点属性である火魔法を放つことにした。
「ファイヤーランス×3」
並列思考のレベルが上がってきたのでこのように同じ魔法の同時発動が出来るようになった。
今の俺ならファイヤーランスを同時に10本ほど出せる。
ファイヤーランスはヴァンパイアに向かっていったが容易く避けられてしまった。
「想定内だな」
避けられるのは想定していたので創造魔法で追尾型にしておいたことで避けられたファイヤーランスは軌道を変えてヴァンパイアの背中に当たった。
「グギャ!」
「まぁまぁダメージ入ったな」
中級魔法でもまぁまぁダメージが入ったので上級魔法なら一撃で倒せそうだ。
「ファイヤーランス×3」
再びファイヤーランスを放った。
ヴァンパイアは学んだのか避けたあときちんとファイヤーランスが向かってきてないか確認している。
だが俺も頭を使ってファイヤーランスを分断させて3方向から狙った。
だが3本中2本は魔法に撃ち落とされてしまい1本しか当たらなかった。
「蒼空、遊んでないでさっさと倒しなさい」
シュリには遊んでいるのがバレていた。
「転移」
俺はヴァンパイアの後ろに転移して心臓を剣で刺した。心臓を刺されたヴァンパイアは呆気なく死んだ。
転移で背後から攻撃するのは卑怯かもしれないが心臓ひとつきで倒せるので楽なのだ。
「お待たせしました」
「ヴァンパイアの強さは分かったかしら?」
「はい。A級にしては倒しやすいですね」
「だからこのダンジョンにしたのよ。だからと言って油断してはだめよ」
「分かってます」
ヴァンパイアを何体か倒しながら森を進んでいくと霧が晴れて館が見えてきた。
「ダンジョンにあるああいう建物にはレアアイテムがあることが多いけどどうする?」
「興味があるので行ってみましょうか」
このような洋風な建物は日本では見かけないので見てみたい気持ちが強くアイテムは二の次だ。
「外見に似つかず内装は綺麗ですね」
外見は古く見え手入れがされてなさそうな見た目だったが内装は今も誰か住んでいるのかと思ってしまうほど綺麗なのだ。
「ヴァンパイアが棲家にしているかもしれないわね。急に出てくるかもしれないから気をつけるわよ」
俺たちは一応アイテムを探しにきたので1部屋ずつくまなく確認していった。
確認していくと寝室があり中に入ると机の上にペンダントが置かれていた。
「シュリ、アイテムぽいのありましたよ」
「どれどれ?」
「これですね」
「結構いいアイテムを見つけたわね」
俺はペンダントの性能を調べるために鑑定してみた。
〈魔除のペンダント 等級A このアイテムを持っている時B級以下のモンスターは近寄らなくなる〉
「確かにいいアイテムですね」
このアイテムならランダム型のダンジョンで活躍する。
ランダム型のダンジョンでは固定型とは違いモンスターが近寄らない休憩エリアがないためこのアイテムがあれば低級ダンジョンなら見張りなしでもゆっくり休めるようになる。
「他にも何かないですかね?」
「この部屋にはなさそうね」
それから何部屋か確認していったが最初に見つけたアイテムだけで他には見つからなかった。
「そういえばヴァンパイアが1体も出ないですね」
「そうね。てっきり何体も出ると思ったのだけれど」
「まぁ出ないならそっちの方がありがたいですけどね」
「なんか嫌な予感がするわ」
最後に2階にある2枚扉になっている大広間だけになった。
「ここの部屋が最後ですね」
「とっとと調べるわよ」
俺たちが部屋を開けると予想通り大広間があり奥の椅子に人が座っていた。
「騒がしいと思えば人間か。我の屋敷を荒らしよって」
「ヴァンパイアが喋った!?」
ここまで来る途中で会ったヴァンパイアは人語を話せなかったがこいつはかなり知能が高い。
「蒼空あれはヴァンパイアロードよ」
「あれが」
椅子に座っているヴァンパイアは殺気と威圧を放っている。
「でもどうしてボスでもないのにこんなところにいるのかしら」
このダンジョンを選んだ時にボスはヴァンパイアロードだろうと予想していたので普通のモンスターとして現れたので少なからず驚いている。
「何故って我より上の存在がいるからに決まってるだろう」
「嘘でしょ」
「ロードより上っているんですか?」
「ヴァンパイアエンペラーよ。ヴァンパイアの最終進化系で強さで言ったら地竜よりも強いわ」
「ほんとですか!?」
それならこのダンジョンはS級ダンジョンの中でも上位に位置するレベルということになる。
「あいつが言っていることが本当なら逃げた方がいいんじゃないですか?」
「人間。逃げられると思っているのか?我の手下を殺しただろ?その報いは受けてもらうぞ」
「とりあえず倒すしかないわね」
「そうですね」
ヴァンパイアロード レベル90
HP4200/4200 MP2700/2700
攻撃力 2150
防御力 2070
体力 2000
敏捷性 2050
魔法力 2300
魔法耐性2000
スキル
鎌王2、武王1、世界眼2、血魔法7、闇魔法6、創造魔法7、並列思考6、飛行7、怪力8、吸血8、気配察知7、覇気5、言語理解6
耐性
光魔法耐性6、物理攻撃耐性5、状態異常耐性5
ステータスだけで見たらA級よりのS級だが有能なスキルが多いので実際にはS級レベルだ。
「シュリ、これくらいなら俺1人で倒せるので体力を温存しておいてください」
「私も手伝うわよ」
「まぁ見ててください。俺、結構強くなったので」
「貴様、我を舐めているな。貴様を殺して調子に乗ったことをあの世で後悔させてやる!」
「やれるもんならやってみろ。炎豪剣」
俺は身体強化と剣にヘルフレイムとウィンドブラストの合成魔法を纏わせ相手も血魔法で作った大鎌を構えて戦闘が始まった。




