40話 表彰式
ダンジョン省の橘さんが家に来てから2週間が経った。
橘さんが帰ったあと攻略して欲しいダンジョンのリストがすぐに送られてきたため、その翌日からB級とA級のダンジョンを俺1人だけで攻略していった。
送られてきたリストにはS級ダンジョンも3つくらいあったが、これは俺がもう少しレベルが上がってから攻略しようということになった。
そしてやっと昨日、橘さんから協会に来て欲しいという連絡をもらった。
協会とはダンジョンやギルド、探索者の管理する国の組織だ。
ここではダンジョンの管理は勿論、各ギルドに国から依頼を出したり探索者の犯罪なども取り締まるいわばダンジョン専用の警察みたいなものだ。そのトップなのが橘さんだ。
「来てくださりありがとうございます。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
「今日は表彰式を行います。そこで日本の探索者だと公言させていただきますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。ちなみにいつも通り仮面を被ったままでもいいんですか?」
「いいですよ。仮面を被っていた方が配信者のシエルさんって分かってくださるので」
「ありがとうございます」
別に身バレを恐れているわけではないが仮面の方が宣伝になると思った。
表彰式の前に流れを確認し終わったらそのまま豪華に飾り付けをされた部屋に案内された。そこには記者の人たちが多くいた。
この表彰式はリアルタイムで全国に放送される。
「今日はお集まりいただきありがとうございます。先日、日本で初めてダンジョンからモンスターが出てきて渋谷をモンスターの脅威に襲われました。ですがある探索者たちのお陰で最小限の被害で解決されました」
橘さんは予定通り俺の方を見て合図を出してきた。
「それを讃えその探索者をこの度、表彰したいと思います。それでは入ってきてもらいましょう。ダンジョン配信者のシエルさんです!どうぞ」
橘さんの方に歩いて行くとたくさんのカメラマンの人が俺の写真を撮っている。
「国を代表して私が表彰させていただきます。この度は日本を救ってくださりありがとうございました。配信者シエルに感謝を申し上げます」
「恐れ入ります」
橘さんに賞状を渡されたので形式上の返事で返した。
「そして今日からこの日本でランク制を取り入れシエルさんを日本初のS級に認定します」
「!?」
流れの確認をした時は賞状を貰って俺が日本の探索者だと伝えて終わりと説明をされていた。
だがまさか俺をS級にするという話は聞いていなかったため驚いてしまった。
「ランクは協会でこれまでの実績と強さによって決めさせていただきます。ランクが高ければその分いろんな所で待遇を受けることが出来ます」
「すみません!質問いいですか?」
これまで静かにしていた記者の人が手を上げた。
「ランクと言いますが何故、このタイミングで取り入れるのでしょう?」
その質問は俺も気になるので聞きたい所だ。
「説明しましょう。それは日本に強い探索者をとどめるためです。今回の事件でダンジョンから国民を守れるのは探索者だと気づきました」
一般人には戦う能力が無いし、今では自衛隊の人たちですらレベルが低ければゴブリンを相手に苦戦する。だから強い探索者は貴重だ。
「これからもダンジョンからモンスターが出てくる事例は増えていくでしょう。その時動いてくれる強い探索者が海外に流れていったら国民を守れません。そのためランクをつけて優遇しその分そのような場面で動いてもらおうと思っています」
たぶんだがこれは対策をしている。この前の話で俺はいろいろ優遇してくれると言う話だった。
だがいくら俺に日本にいて欲しいからといってもその優遇に使われるお金は国民の税金だろうから1人だけ優遇されるのは納得しない人も大勢居るだろう。
そのためそれを対策するのに高ランクの人にも優遇するという制度を取り入れるのだろう。
「ですがその優遇のお金は何処からくるのでしょうか?国民の税金では無いのですか?急にそんなこと決めてもよろしいのでしょうか?」
「もちろん税金から賄われます」
俺が思った通り税金からだった。
「それなら国会で議論してから取り入れるべきでしょう。何故それをしないのですか?」
「じゃあその回りくどいことをしている間にダンジョンからモンスターが出たらあなたが対応してくれるんですか?」
「そんないつ起こるかわからない事を引き合いに出さないでもらえませんか?」
「じゃあ現在、他国からシエルさんを引き抜きたいという連絡がたくさん来ていますがそれについてあなたはどう思いますか?」
「・・・・・」
まさかそんなことになっているとは記者の人も知らなかったのだろう。
「まだシエルさんに直接接触がない今、日本に残ってもらえるだけの待遇を用意しないでいつするんですか?」
「・・・・・」
「シエルさんだけに限りません。他国ではダンジョンから溢れたモンスターに対応するのに強い探索者を求めています。なので日本に残って貰うためにこのような制度を作ったのです!予算などはあとで決めればいい!手遅れになるくらいなら国民から反感を買ってでもこの制度を進めます!」
橘さんは日本の未来をきちんと考えた上での発言をしている。
再びダンジョンブレイクが起きた際に対応できる探索者がいないと日本という小国などすぐに滅亡するだろう。
「他に何か言いたいことは?」
記者は気まずそうに黙って椅子に座った。
「話を続けます。ランクは1番下がG級で1番上がS級です。ランクをつけられた探索者にはこのような探索者カードをお渡しします」
橘さんは自分の顔写真、名前、ランクなどが書かれたカードを見せた。ちなみに橘さんはBランクと書かれている。
[おー]
「これは身分証にもなりますし人によっては待遇を受ける際に使います」
「質問いいですか?」
「はい、どうぞ」
さっきとは別の記者が手を上げた。
「そちらは偽装される恐れがあると思うのですが対策はされていますか?」
記者の人はランク偽装のことを心配しているのだろう。
ランクによって待遇が変わるなら悪用しようとする奴が出てくる。
「もちろん対策はしています。このカードには特殊なICチップが組み込まれているので偽装が出来ないようになっています」
「返答ありがとうございます」
そのあとも説明や質問が続いた。表彰式が終わり帰ろうとしたが記事にしたいからと記者に捕まり質問攻めをされた。
「はぁー疲れた」
人に囲まれて質問攻めされるなんて人生で滅多にない。
この表彰式はSNSで反響を呼び、ランク制度に関しては賛成意見が多く橘さんの迅速な対応が評価された。
ランク制度の説明があってからその翌日からどんどんランクカードが普及していった。
「お兄ちゃん!ランクカード届いたよー」
「ランクはなんだった?」
「B級だった」
「B級?朱音の強さならC級レベルだろ」
「そんなの知らないよ。決めたのは協会だから」
このようにどのような基準でランクをつけているのか分からないこともある。
ちなみにシュリにも身分証代わりにランクカードが届いたがS級だった。
「これシュリもS級だけど世間には公開されていないよな?」
「されてないよ。日本のS級はお兄ちゃんだけだよ」
「またとんでもないことしてくれたな、橘さんは」
身分証を頼んだのは俺なので文句は言えない。
「私、ランクは気にしないからなんでもいいんだけどね」
「まぁシュリは気にしませんよねー」
「そんなことより蒼空はレベル上がった?」
「まぁそれなりに」
あれからダンジョンを攻略していったおかげでレベルは115になった。
神崎蒼空 18歳 人間 レベル115
職業 賢者 加護 ラミリアの加護
HP 2531/2531(+350) MP1331/1331(+150)
攻撃力 1221(+350)
防御力 1284(+450)
体力 1095(+250)
敏捷性 1108(+250)
魔法力 1471(+350)
魔法耐性1571(+450)
ユニークスキル
全属性魔法7
継承4
スキル
武器系
剣王4、棒術9、武王1、槍術9、弓術9、斧術8、短剣術9、盾術8、刀術8、鎌術8
魔法系
並列思考6、無詠唱6、合成魔法6、創造魔法6、魔力操作4、魔纏3
攻撃系
体当たり6、ひっかく6、かみつく6、縮地7
補助系
暗視8、鑑定9、気配察知8、魔力感知7、隠密9、身体強化(極)3、覇気5、再生4、模倣3、飛行3、狂戦士化6、統率4、弱点看破4、手加減2、怪力3
その他
アイテムボックス7、コインチェンジ1、錬金1、調教2、
耐性
物理耐性5、魔法耐性4、毒耐性3、恐怖耐性3、状態異常耐性4(契約中)
称号
ワールドビギナー
試練をクリアせし者 全ステータス+50
殺戮者
ゴブリンキラー
神狼の主人
装備
魔を払いし片手剣 攻撃力+200
魔力回復の指輪
疾風シューズ 敏捷性+100 体力+100
巨獣のローブ HP+200 防御、魔耐+300
覇王の仮面 全ステータス+100
魔晶のネックレス 魔法力+200
契約中
フェンリル(幼体)
やっと全属性魔法のレベルが7にもなったしスキルの書や魔石から獲得した新しいスキルもいくつか増えた。
これならS級ダンジョンでもそこそこ戦えるだろう。
「本当ね。これならS級ダンジョンでも大丈夫そうね」
シュリは俺のことを鑑定して確認した。
「遂に行くんですね」
「私もレベルを上げたいし明日からさっそく行くわよ」
「分かりました」
いよいよS級ダンジョンだ。これまでのダンジョンよりも難易度が高いし地竜やベヒモスクラスのモンスターも出てくるだろう。
気を引き締めて明日に備えることにした。




