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37話 朱音の初戦闘

「あいつらを倒してみろ」

「分かった」


 ゴブリンに狙いをさだめた。


「ファイヤーボール!」

「ギャ」


 朱音のファイヤーボールは力加減を調整してないせいでバランスボールくらいの大きさになった。もちろんゴブリンは一撃で倒した。


「朱音オーバーキルだぞ」

「分かってるよ。初めて魔法を使うから加減が分からなかったの!」

「まぁ初めてだからしょうがないわよ」

「そうか」


(俺が初めてファイヤーボールを全力で使った時は野球ボールくらいだったのにまじか)


 想像以上の威力でびっくりしてしまった。


「もう1匹も倒してみろ。次は抑えるんだぞ」

「分かってる」


 深呼吸をして集中している。


「ファイヤーボール!」

「ギャ!」

「やった!上手くいった!」

「やったわね」

「うん!それにレベルも上がったよ!」


 今回は力を押さえたようでバスケットボールくらいのサイズのファイヤーボールが飛んでいった。


「魔法はよさそうだな。次は武器を使って戦ってみろ」

「えー魔法だけで充分だよー」

「使えるかだけでも試してみろ」

「分かったよ。武器は何にしようかな?」

「とりあえず剣が無難じゃないかしら?」

「そうだね」

「片手剣、大剣、レイピア、短剣どれがいい?」

「あまりモンスターに近づきたくないし重くなさそうなレイピアで」

「おけ」


 俺はショップでD級のレイピアを購入して朱音に渡した。


「これ重いね」


 どうやらレイピアでも重いようで素振りをしているが剣に振り回されている。


「朱音ちゃんにはレイピアは向いてなさそうね」

「そうですね。朱音、短剣を使ってみろ」

「えー刃が短いよ」

「レイピアよりは使いやすいと思うぞ」

「分かった」


 俺は火炎の短剣を渡してみた。


「これしっくりくるよ」


 振り回しているが安定している。


「それ剣から火が出るぞ」

「ほんと?」


 朱音は半信半疑でやると剣身が炎に包まれた。


「ほんとだ!」


 初心者にしては短剣が様になっている。


「あの感じならいけそうね」

「そうですね。朱音それでモンスターを倒してこい」

「え!?無理だよ。近づいたら攻撃されちゃうよ」

「大丈夫だろ。この辺のモンスターじゃお前にダメージなんて与えられないから」


 装備をつけているからその辺の心配はしていない。


「分かった」


 ゴブリンを4匹見つけた。


「攻撃に怯えるな。殴られても痛くないから」

「うん」

 

 ゴブリンは女の子が相手だと分かると笑みを浮かべて近づいてきた。

 朱音は走っていき斬りかかった。


「きゃ!」


 だがゴブリンに棍棒で殴られた。


「あれ?痛くない」


 結構スイングしていたがダメージはない。


「だから言っただろ?その装備をしていれば大丈夫だからって」

「うん」


 朱音はこれで安心をしたのかゴブリンに殴られても気にせず短剣で刺していった。

 ゴブリンを倒せてはいるが危なかしい。


「技術関係ないですね」

「朱音ちゃんに短剣は向いてなさそうね」

「そうですね」


 短剣は向いてなかったが魔法は強いので前衛と一緒なら大丈夫だろう。


「この感じなら行けそうだな。朱音、俺らは後ろで見てるからどんどん進んでいけ」

「分かった」


 進むと次はコボルトが出てきた。


「朱音そいつはE級のモンスターだからゴブリンと同じだと思うなよ」

「じゃあ魔法で倒しちゃうよ」


 朱音はウィンドカッターであっさり倒した。


「朱音ちゃんの魔法の威力ならD級モンスターも倒せそうね」

「あれは初心者が使う魔法の威力じゃないですからね」


 朱音が使う魔法は初級魔法なのに全力を出せば中級魔法にも匹敵する。

 その代わりMPの消費は早いのでD級モンスターがメインで出てくるダンジョンはまだ早い。


「朱音、やっぱりここからは魔法禁止。短剣だけで頑張れ」

「えーなんで?」

「魔法に頼りきっていたらいつか痛い目を見るから短剣術のスキルを獲得出来るように戦ってみな」

「私も魔法だけじゃなくて一応、剣術と武術のスキルを持っているから近接戦のスキルは持っておいた方がいいわよ」

「シュリさんが言うなら」

「おいこら、俺が言っても聞きなさい」


 シュリが言う方が説得力があるのは分かるがアドバイスをしているから始めから聞いて欲しい。


 朱音は短剣縛りでゴブリンやコボルトを倒していった。

 始めはやはり攻撃をくらう前提の攻撃の仕方だったがコツを掴んだのかゴブリンだと始めから首を狙って一撃で倒している。


「いいぞーその調子」

「うん!」

「やっぱり短剣の適性はありそうね」

「手のひら返しましたね」

「ここ数時間であれだけ成長したらね?」

「確かに。そろそろスキルを獲得しそうですね」

「まぁダンジョンの中だしそろそろじゃないかしら」

「え、それ関係あるんですか?」

「知らないの?」


 どうやらスキルはダンジョンの中で戦闘をする方が早く獲得するしレベルも上がりやすいようだ。


「そんなこと初めて知りました」

「ダンジョンは魔力が漂っているからそれが関係しているらしいわ」

「なるほど」


 シュリの世界ではダンジョンについてはやはり詳しい。


「今日のところはこれで終わろう」

「えーまだ戦えるよ」

「初めての戦闘だからアドレナリンが出て疲れてないだけだろうから帰るぞ」

「分かった」


 初めての戦闘は概ね成功だ。ただやはり1人だと心配だ。


「朱音、ダンジョンに行くことは許そう」

「本当に!?やった!」

「だが条件がある」

「え〜それって何?」

「1つ目はハクアを連れて行くことだ」

「ハクア?」


 朱音にハクアはまだ紹介していない。


「ハクア出てこい」

「ワン!」

「この子がハクア?可愛いー!」


 朱音はハクアに抱きつき撫でまくっている。


「ハクアを連れていかないとダンジョンに行かせないからな」

「それでいいなら全然いいよ!」

「ハクアこれからこいつのお守りよろしくな」

「ハクアよろしくね」

「ワン!」

「ちなみにハクアはフェンリルだからめちゃくちゃ強いし頭もいいからな」

「ハクアは強いの?」

「ワン!」

「可愛くて強いなんて最高じゃん!」

「ワン!」

「よーしよしよしよし」


 朱音もハクアを気に入ったようだしハクアも朱音に懐いている。


「もう1つがダンジョン配信をすることだ」

「それも別にいいけどどうして?」

「朱音が危険な目にあったらすぐ分かるようにするためだ。配信をしていればどこでも様子が分かるしピンチな時は助けにいけるからな」

「そういうことなら。まぁうちもダンジョン配信には興味があったし分かったよ」

「じゃあダンジョンに行くことを許可する」

「やった!」


 過保護だが、これなら安心して朱音をダンジョンに行かせることができる。

 

 ここ3日間は朱音が短剣術を獲得するまで付き合った。

 いよいよ明日は朱音のソロデビューだ。


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