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36話 おかえり

 あれから1週間が経った。朱音の検査結果は正常だった。

 どこも悪いところがないどころか健康体そのものの数値で病気は完治していた。


 これには病院の先生も驚いていた。


「どういうわけか分かりませんが神崎さんはすべての病気を完治していました。それにリハビリがいらないくらいに動けますしすぐにでも日常生活に戻ることができます。ここまで正常になるなんて正直に言って奇跡です」

「じゃあすぐ退院できますか?」

「そうですね。異常がないので今日にでも退院しても大丈夫ですよ」

「ありがとうございます!朱音がお世話になりました」


 俺は病室にいる朱音とシュリの元へ行った。


「朱音!退院だ!」

「やった!やっとお家に帰れる!」

「急いで帰る準備をするぞ!」

「おー!」


 俺たちは退院準備を終えて受付に向かった。


「朱音ちゃん」

「あ、美月さん!」


 ナースのお姉さんが朱音に話しかけてきた。


「退院おめでとう」

「美月さん、いつも話相手や遊び相手になってくれてありがとうございました!美月さんはうちの中ではお姉ちゃんだと思ってますしこれからもそうです!」

「私も朱音ちゃんを妹だと思って接していたわ。元気でね」

「はい!美月さんもお元気で!また何処かでお会いしましょう」


 病院の入り口までナースのお姉さんがわざわざ見送りに来てくれたので、どれだけ2人の仲が良かったかが分かる。

 

 2人ともお互いが見えなくなるまで手を振っていた。


「いい人だったな」

「うん!うちの第2の家族なんだー」

「そうか。いいお姉ちゃんを持ったな」

「うん!」


 お兄ちゃんの俺としては少し嫉妬しそうだ。


(俺もいい所を見せますか〜)


「朱音、帰りにどこか行きたい所はあるか?」

「うーん、やっぱりまずは家に帰りたい!」

「家でいいのか?服とか欲しいやつなんでも買ってあげるぞ」

「うん。久しぶりにお母さん達に会いたい」

「そうか」


 家に帰り玄関を開けるとシュリが出てきた。


「朱音ちゃん退院できたのね!おかえり」

「朱音おかえり」


 俺は朱音が家に帰ってきたら絶対に言おうと思っていた「おかえり」と。


「2人ともただいま!」


 そして朱音が家に入りまず向かったのは畳の部屋だ。ここには両親の仏壇が置いてある。


 朱音は仏壇の前に座り目を瞑り手を合わせた。


「お母さん、お父さんただいま。お兄ちゃんたちのお陰で無事病気が治りました。これからはお母さん達が心配しないでいいように健康に元気に過ごします」


 俺も朱音の隣に座った。


「母さん、父さん。朱音は俺が絶対守るから心配しないでくれ。だから安心して天国から俺たちを見守っていてな」


 なんとしてでもこの平和な日常を壊されないように朱音を守るという決意を両親にした。




 この日は買い物や朱音が帰ってきた退院祝いなどをして慌ただしく終わった。


「朱音、そういえば学校って行くのか?行くなら学費出すけど」

「行かないよ。いまさら学校に行っても勉強についていけないし」


 朱音は勉強が嫌いなため小学生レベルの勉強までしかやってこなかった。


「それなら何をやるんだ?一日中家にいるのも退屈だろう」

「うちもダンジョンに行ってみたい!」

「ダメだ。朱音を危険な目に合わせられない」

「行きたい!行きたい!行きたい!行きたい!」


 こうなった朱音は折れないから大変だが今回はこっちも譲れない。


「ダメだ」

「お兄ちゃんは過保護すぎるんだよ!別に16歳以上ならダンジョンに行ってもいいんだよ!」

「それでもだ。ダンジョンは危険なんだ」

「お兄ちゃんもダンジョン行ってるじゃん!」

「俺は強いからいいの」

「蒼空、別にいいんじゃない?」


 俺たちが言い合っているとシュリが入ってきた。


「シュリさん!シュリさんなら分かってくれると思ってました!」

「シュリこいつは危なっかしいから危険ですよ」

「蒼空、やらせる前から否定するのはだめよ」

「そうだ!そうだ!」

「朱音は静かにしなさい」

「一度、一緒にダンジョンに行ってみて大丈夫そうなら行かせればいいし蒼空が言うように危ないと思ったら禁止にすればいいわ」


 確かにシュリの言うことも一理ある。


「え!?シュリさんはうちの味方じゃないの?」

「もちろん。私は公平に意見を言ったまでよ」

「そんな〜」

「分かった。初めては俺たちと一緒に行くこと。その後はまた考える。これに納得出来ないならダメだ」

「分かった。どちらにせよ1人じゃ心細いからシュリさんについてきてもらう予定だったし」


 朱音も納得したので早速3人でダンジョンに向かった。


「受付お願いします」

「はい。3人パーティーですね。こちらのダンジョンは政府が管理しているのでボスは倒さないでくださいね」

「分かりました」

「それでは気をつけて行ってきてください」

「はい」


 俺たちが来たダンジョンはネットによるとゴブリンやコボルトばかりが出るE〜D級くらいのダンジョンだ。


「とりあえず無防備すぎるから俺の使ってないアイテムつけてくれ」


 俺はアイテムボックスから漆黒の外套と豊穣の杖と俊足シューズを渡した。


「何このローブ?厨二病ぽくて嫌なんですけど」

「そうだけどそれA級装備だぞ」

「A級ってすごいの?」

「日本にA級装備はまだないんじゃないかな?たぶんそれを売ったら数億とかになるんじゃないか」

「この前会った一鬼って人の装備でもB級だったわよ」

「え!?これが数億円!?そんな物、怖くてつけれないよ!」

「安全のためにつけておけ」


 俺は無理やり朱音に装備させた。


 神崎朱音  16歳  人間  レベル1


 職業なし


 HP 30/30 MP370/370(+70)


 攻撃力 7

 防御力 106(+100)

 体力  5

 敏捷性 7(+1)

 魔法力 170(+70)

 魔法耐性200(+100)


 スキル

 火魔法3、水魔法3、風魔法3、土魔法3


 耐性

 魔法耐性3


 防御力が高いおかげでこのダンジョンで死ぬことはないだろう。

 そういえば鑑定のレベルが上がって耐性が見られるようになった。


「あとは朱音がどれくらい戦えるかだな」

「うち魔法なら使えるよ」

「4属性使えるな」

「初めから4属性も使えるなんてすごいわね」

「珍しいですか?」

「珍しいわ。多くて3属性くらいだもの」

「うち才能あるってこと?」

「それは特訓次第ね」


 シュリが教えてくれたら日本でならとてつもなく強くなるだろう。


「まずはモンスターを探すか。こっちだな」

「え?なんで分かるの?」

「気配察知と魔力感知っていうスキルで分かるんだよ」

「スキルすご」


 少し歩くとゴブリンが2匹いた。さっそく朱音にこいつらを倒してもらおう。


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