38話 初配信
今日は朱音がダンジョンに1人で行くのと初配信をする日だ。俺は念の為に朱音の配信を見ている。
「こんにちは!うちの名前は朱音だよー」
[こんにちは!]
[こんにちは!]
[朱音ちゃん可愛いー]
「今日は初配信なので行ける所まで行きたいと思います!」
[気をつけてね]
[パーティーメンバーは?]
「パーティーメンバーはいません。うち1人だけだよ」
[危ないよ!誰かと一緒の方がいいよ!]
[命を無駄にするのはダメだよ!]
やはり女の子が1人でダンジョンに行くのは心配される。
「忠告ありがとう。心配しなくてもうちにはお兄ちゃんの召喚獣のハクアがいるので問題ないよ」
画面にハクアが映った。
[そのワンちゃん1匹で大丈夫?]
[召喚獣ってあまり強くないって聞くけど大丈夫そう?]
「大丈夫だよ!だってハクアは中型犬くらいの大きさだけどフェンリルなので。ね?ハクア」
「ワン!」
[フェンリル!?]
[フェンリル!?]
[召喚獣がフェンリルってお兄ちゃん何者!?]
「口止めされてないので言いますがうちはシエルの妹だよ」
[え!?シエルさんの妹!?]
[納得してしまった]
[あれ?病気じゃなかったの?]
「お兄ちゃんがエリクサーで治してくれたんだよね」
[流石!シエルさん!]
[手に入れることができたんだ]
「そうだよ!うちがダンジョンに行きたいって言ったら過保護なお兄ちゃんがハクアを連れて行くならってことでおっけーもらったんだ」
[フェンリルをお守りにつけるって過保護がすぎる笑]
[それだけ大事にされているんやな]
「お世話になってるし感謝もしてるから文句は言えないよねー」
[仲いいんやな]
[ほっこりしちゃう]
「これお兄ちゃんも見てるから恥ずかしいし始めるよ!」
「朱音そんなこと思っていたんだな」
「蒼空、嬉しそうね」
「そんなことないですよ」
蒼空は顔に出やすいのでシュリは気づいているがそれは本人には言わないでおいた。
今回、朱音が来たダンジョンはランダム型のダンジョンだ。
草原のフィールドで難易度もE級と初心者でも攻略が出来る難易度だ。
さっそく1本の角が生えたホーンラビットに出会った。ホーンラビットはゴブリンと同じF級モンスターなので苦戦はしない。
「うさぎだ!可愛い!」
[美少女とうさぎ微笑ましい]
[だがそいつはモンスターだ!]
「そうだよねー。モンスターだからしょうがないよね。じゃあね、ファイヤーボール」
朱音は躊躇なくホーンラビットを燃やした。
[えげつねーw]
[始めのあれはなんだったんだw]
茶番も挟みつつ、このあと出てきたホーンラビットも倒していった。
「やっぱりE級のダンジョンだと手応えがないなー」
[始めは地道に強くなっていた方がいいよ]
[シエルさんに似て強いからしょうがない]
朱音はここ3日間でシュリの指導もあり強くなった。短剣術と創造魔法のスキルを獲得している。
「ハクア強いモンスターを探して」
「ワン!」
ハクアは周りを見渡してさっそく見つけたのか朱音について来いという感じで合図した。
ついて行ってみると大きい岩がありそこに何かがあるようだ。
「ここ?」
「ワン!」
ハクアはそこで岩のある部分をさして合図している。
「何かあるのかな?」
朱音がその部分を撫でていると岩の一部が押し凹んだ。
ガコ ガガガガ
[隠し扉じゃん]
[宝の匂いがするな]
岩が開いていき入り口が出来た。入り口が開くとハクアは中に入っていった。
「ハクア待って!」
洞窟になっているが光輝く苔が生えていて中は明るい。
「本当にこんなところに強いモンスターがいるの?」
「ワン!」
進んで行くと4mくらいの大きさの扉があった。
「それっぽい所に着いたね」
「ワン!」
扉を開けて中を確認すると大きい角が3つのウサギがいた。
「うわー大きいね私の3倍くらいありそう」
[凄いのが出てきたね]
[勝てそう?]
「シュリ、あれって強い?」
「ジャイアントキラーラビットね。ホーンラビットの最上位種ね」
「最上位種?」
「まぁ最終進化系っていたら分かるかしら?」
「はい」
「あれはランクで行ったらC級よ。風魔法を少し使ってくることとツノが鋭いくらいだから朱音ちゃん1人だと勝てないけどハクアがいるし大丈夫よ」
ハクアはB級モンスターも余裕で狩れるので問題はないだろう。
「うちがメインで攻撃するからハクアは補助ね」
「ワン!」
「それじゃあ行くよ!」
「ワン!」
ハクアはまずウサギに威圧を放ち朱音から目線を逸らさせた。
「ファイヤーボール」
その間に朱音は全力のファイヤーボールを放った。
「キュイー!」
ウサギが朱音をロックオンしたがそこにハクアが軽く攻撃して邪魔をした。
[ナイスコンビネーション!]
[ハクア頭いいな]
「ハクアそのまま引きつけといて」
「ワン!」
朱音は短剣に炎を出し、さらに自分のファイヤーボールも上乗せして纏わせた。
「飛炎」
朱音は短剣に纏わせた炎の部分だけを飛ばした。
「お兄ちゃん初級魔法の種類少なくない?」
「少ないな」
初級魔法は火魔法だとファイヤーボールとファイヤーバレットの2種類しかない。
「もうちょっと攻撃の幅を広くしたいんだけど」
「それなら創造魔法を覚えることをおすすめするわ」
「確かにそれなら幅が広がりますね」
「じゃあうち創造魔法を覚える」
という感じで創造魔法を覚えた。今度は
「なんか必殺技みたいなの欲しい!」
「必殺技ねー。厨二病みたいになるぞ」
「それでもいいの!短剣を使った強いのないの?」
「剣なら飛ぶ斬撃とか?まぁ俺でも出来ないけど」
「お兄ちゃんが出来ないならうちが出来る訳ないじゃん!」
「私の世界では剣に纏わせた魔法を斬撃ふうに飛ばす人は居たわよ」
「「それだ!」」
炎は斬撃のように鋭く飛んでいきウサギを斬った。
「キュィー!」
[カッケー!]
[飛ぶ斬撃だ!]
ウサギの体が燃えており火を消したいからか暴れ回っている。
「きゃ!」
気づいたら朱音の方にも突っ込んできたがギリギリ当たらなかった。
「グルルル、ワン!」
ハクアは朱音に危険が及ぶと判断してさっさと魔法で倒してしまった。
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『世界で初めて隠しボスの討伐を確認。称号と特典のブレスレットを獲得』
「ハクアありがとう」
「ワン!」
「あとでお肉買ってあげるからね」
「ワンワン!へへへ」
ハクアはまじ?超嬉しいという感じで尻尾をふりふりしている。
[フェンリル強!]
[あっという間やったな]
[強可愛いな]
「あ、なんか落ちてる」
朱音が拾ったのは毛皮だった。
「何これ?毛皮って何に使うのかな?」
[錬金術師や生産職の人に防具作ってもらえますよ]
[貴重な素材ですな]
「へー素材になるんだ。とりあえず持って帰ろうかな」
朱音は蒼空から貰った魔法の袋に毛皮をしまった。
「満足もしたしハクア帰ろっか」
「ワン!」
朱音はダンジョンの出口まで帰ってきた。
「みんな初めての配信はどうだった?」
[最高だった!]
[面白かった!]
「みんなが楽しんでくれたならよかった!お兄ちゃんがはちゃめちゃだからうちの配信はつまらないかもって思ってたからこのコメントを見れてよかった!」
[あれは例外ですから]
[充分に面白いから続けて欲しい]
「ありがとう!じゃあ今日の配信は終わるね。お疲れ様〜」
[お疲れ!]
[お疲れ様!]
朱音の初配信と1人デビューは無事に終えることが出来た。
「朱音はすごいなー」
「どうしたの?」
「ネットで朱音が騒がれているんです」
「そうなの?」
SNSでは「期待の新人現る!」や「フェンリル使いの新人!」などがトレンドに上がっていた。
初配信は成功に終わり、出だしは上々の結果になった。




