32話 ベヒモス
〈ベヒモス ユニークモンスター 巨体で分厚い皮膚に覆われており歩くだけで街を破壊することから災害級モンスターとして知られている〉
「まさかのこの強さでボスじゃないのか」
ベヒモスのステータスは全て2000を超えているが俺のステータスは称号の効果とアイテムで上がっているとはいえ2000を超えていない。
デュラハンの時のようにユニークボスモンスターなら余裕でベヒモスよりステータスが高かったが今回はそうはいかない。
しかもこの状況でシュリがいないというかなりピンチだ。
「最初から全力だ!」
俺はデュラハンの時に使っていた、身体強化に雷属性を付与して始めから全力でいった。
「はぁ!」
剣でおもいっきり斬りつけたが弾かれてしまった。
「冗談だろ!?全力で攻撃したぞ!」
[攻撃が弾かれた!?]
[硬すぎだろ!?]
鑑定したとおり皮膚が分厚いからか硬い。
「それならこれならどうだ!転移、震撃!」
俺はシュリに教えて貰った空間魔法の震撃を使った。
この魔法は空間ごと攻撃するので防御力を無視して体内までダメージが与えられる。
「フゴォー!」
「よしダメージは入ったようだな」
ダメージが入りはしたがたいしてくらっているようには見えない。それにこの魔法は魔力消費が激しいのでそう何度もぽんぽん撃てるものじゃない。
[流石!]
[いけるんじゃね?]
「ブォーー!」
「うぅ」
ベヒモスは咆哮を上げたと思ったら急に俺にとてつもない重力が乗っかってきて地面に伏せてしまった。
「お、もい、て、ん、い」
この状況から逃げ出すのに転移を使って避難した。
「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか逃れた」
[あれが噂の重力魔法か]
[あれは厄介だな]
あの攻撃は危険だ。転移が使えたからよかったが魔力切れの時にやられたらまずい。常に転移が出来るだけの魔力は残しておかないといけない。
「どうしようかな」
物理攻撃は効かないし魔法もあまりダメージがない。正直手詰まりな所はある。
「いろいろ試してみますか」
まずは俺が出せる高火力の魔法を放つことにした。
「蒼雷!」
「ブォーー!」
皮膚が焼けて動きも鈍くなったので麻痺にもなったみたいだ。
「フゴォー!」
鳴いた瞬間に傷が癒えて元通りに再生されてしまった。
「魔法ならダメージが入るな」
次は創造魔法でヘルフレイムを剣に鋭く沿わせる感じで纏わせた。
『創造魔法のレベルが5に上がりました』
「くらえ!」
「フゥンゴー!」
炎の熱もあり切り裂くことができ、さらに傷口からヘルフレイムをぶち込んだので1番ダメージが入った。
「よし!」
俺は再生される前に再び魔法を剣に纏わせて猛攻を仕掛けた。
だが俺の攻撃は虚しく再び再生されてしまった。
「再生が厄介だな」
どれだけダメージを与えてもすぐ回復されたらジリ貧だ。
相手に魔力の減る攻撃をさせてMPを削っていくしかない。
ベヒモスが再び何かを仕掛けてこようとこちらを見てきた。
「ブォーー!」
「転移!」
ベヒモスは土魔法で地面から棘を生やす範囲攻撃をしてきたので急いで空中に転移した。
「あっぶね〜間一髪」
転移が無かったら串刺しにされていただろう。
ベヒモスは急にいなくなった俺をキョロキョロと探しているが見つけれていない。
「ブォーー!」
ベヒモスは俺が何処かに隠れていると思っているのか大きい岩を何十個も作り地面に降り注いでいる。
「荒技すぎだろ」
あんな魔法をくらってはひとたまりもないだろう。
[えげつないな]
[普通の探索者なら最初の魔法でやられてる]
俺はベヒモスがこちらに気付いてないうちに空中で魔法の発動の用意をした。
発動する魔法は3属性の合成魔法だ。発動するのに時間がかかるので戦闘では使わなかったが今なら使えるだろう。
「ヘルフレイム、天雷、ウィンドブラスト」
この3属性の上級魔法を集中して合成していく。
ただ合成するだけでは足し算に少し威力が上がるだけだ。
合成魔法で火と風、風と雷のそれぞれの相性も考えてまとめていき相乗効果を生まれさせるようにする。
(まだ気づかれるなよ。あと少し)
徐々に魔法が合わさっていき炎は赤色から青色、雷は黄色から青白く変わった。
あとはこれを合わせて最後に創造魔法で弄った。
「ブォーー!」
ベヒモスはついに俺が空中にいることに気がついたがもう遅い。
「3属性魔法!火神鳴り!」
この魔法はメインは雷の範囲攻撃だが当たった場所は何千度という炎で燃える。巨体のベヒモスにはぴったりの攻撃だ。
「ブォー!フゴォー!ブォー!」
流石のベヒモスでも身体中に高火力の攻撃を受けて暴れ回っている。
[なんやその魔法!?]
[初お披露目じゃん!かっこよすぎだろ!]
どんどん皮膚は焼け焦げていきボロボロになっているがベヒモスは焼けた所を片っ端から再生をしていっている。
「それだけ再生をしていればMPも無くなっていくだろう」
こっちはベヒモスが再生できなくなれば勝ち目が見えてくるからどんどん再生してMPを使ってほしい。
そして魔法の発動が終わりベヒモスはボロボロのままだ。
「まだMPが残っているな」
鑑定をしてみるとまだMPが残っているが再生していないので完璧に再生するだけのMPは残っていないのだろう。
「治さないのならこっからこいつの番だ」
ベヒモスの皮膚がボロボロのままなら剣での攻撃も通るだろう。
「身体強化雷属性」
俺は剣で攻撃をしていったが、予想通り始めの時とは比べ物にならないくらい皮膚を切れる。
「よしこの調子ならいける!」
さらに攻撃を加えていった。途中でベヒモスが土魔法で攻撃をしてきたが転移で攻撃をかわしている。
[おー!蹂躙しているぞ!]
[シエル最強!]
「ブォー」
ダメージが蓄積してきたのかベヒモスは疲弊していっている。
本当は今がチャンスなので魔法で大技をぶっ放したいが先ほどの魔法で消耗したのでMPがない。
それにいつ重力魔法が発動されるか分からないので転移できるだけのMPは残しておかないといけない。
「まだ倒れないのか。HPが多すぎるだろ!」
普通のモンスターならもうとっくに倒れるだけの攻撃を与えているのになかなか倒れない。
「ブォー、ブォー、ブォー!」
「うぅ」
最後の足掻きか重力魔法で重力を重くしてきた。
「てん、い」
俺は再び空中に転移したのだがすぐに地面に叩きつけられた。
「がはぁ」
ベヒモスは俺が転移するのを予測して重力魔法の範囲を広げていた。
[転移を読まれているな]
[流石にベヒモスも学ぶよね]
どんどん地面にめり込んでいき息をするのも苦しくなってきた。
(どうすればいいんだ。転移、駄目だ!また地面に叩きつけられる。でもここままじゃ圧死する)
頭の中で今の状況を打開する方法を模索したがやはり転移で逃げるしかない。
「て、ん、うぅ、い」
俺は転移で空中に逃げてさらに重力で地面にぶつかる前にすぐに転移で上に逃げた。
「ここなら魔法の範囲外だな」
3回転移をしてなんとか逃げきった。
「重力のせいで近づけないな」
下に降りたら重力で叩きつけられるし、だからといってMPが少ないので魔法も撃てない。
「MPが回復するまで空中にいるか」
2分稼げれば上級の合成魔法を放つことができる。
「フゴォー!」
ベヒモスは土魔法で槍を何十本も作り空中にいる俺に放ってきた。
「チャンス!」
ベヒモスは同時に2つの魔法を発動できないので重力魔法が解除された。俺はすかさず転移でベヒモスの腹下くらいに転移をして剣で切った。
「フゴォー!」
再び重力が重くなったので転移で逃げた。
「やっぱり剣だと微々たるダメージしか与えられないよな」
やはりトドメは魔法じゃないと駄目だ。
「早くベヒモスのMPなくなれよ」
鑑定すると残りがまだ300くらいある。
「あと2分なんとか転移を使わないで行くぞ」
強敵との戦いで2分というのは長く感じる。とりあえずベヒモスがどう攻撃してくるかを待つことにした。
「ブォーン!」
大きい岩をたくさん作ってこちらに飛ばしてきた。
「これなら剣で切れるぜ!」
俺は飛んできた岩を転移でかわさずに剣で切ったりかわしたりしてMPの節約をした。
(あと1分)
ベヒモスは土魔法で再び槍を作って飛ばしてきた。
(正直、転移でかわしたいが)
当たれば致命傷だが俺はMPのためにも転移を使わずにかわした。
(あと少し、もう少し)
長いようで短かった2分が経ち魔法が放てるようになった。
「終わらせようか」
俺はウィンドブラストと天雷を合成して終わらせることにした。
「雷霆!」
「ブォー」
ズッドーン
紫色の雷がベヒモスを襲いようやく倒れた。
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
ようやく倒すことができた。
[おー!遂に倒したぞー!]
[ありがとう!]
[ありがとうございます!]
コメント欄を見るとたくさんの感謝のコメントが届いている。
「応援ありがとうございました。ですがまだボスを倒せてないので回復が出来次第、攻略に戻ります!引き続き応援お願いします!」
[任せろ!]
[俺らの応援が役に立つならいくらでもコメントを打つぜ!]
[くそ!なんでこいつにはスパチャ機能が無いんだ!感謝をしたりないぞ!]
気持ちだけでもこれだけのコメントをくれるのは嬉しい。
早くみんなが安心できるようにダンジョンを攻略しないといけない。
この先に進むためにも一度、休憩することにした。




