29話 模擬戦
まずは向こうの実力がどれくらいの強さか確かめようと思う。
さっそく向こうからこちらに突っ込んできた。
ステータス差もあるのでこちらは剣を使わないで素手で戦うことにした。
それでもこちらはスキルに武王があるのでハンデになってはいない。
「おら!」
俺は正面からきたパンチをかわさずに受け止めた。
「これはどうだ!」
次は猛攻撃を仕掛けてきたが、その全てを受け流して対応した。
「すげぇ〜俺には速すぎて何が起きているのか分からなかったぞ!」
「俺も。ギルマスが本気で戦っているの初めて見るがあんなに凄かったんだな」
[すげぇ〜これが日本トップの試合か]
[レックスさんもすごいがシエルさんは余裕があるな]
ギャラリーにとっては今の攻撃でもすごいらしいがたぶん一鬼さんは全然本気を出していないと思う。
「この攻撃も簡単にいなされるとはな」
「まだ本気出してないですよね?」
「やっぱり分かっちまうか」
「本気を出した方がいいですよ。勝負にならないので」
「今のは小手調べだ。これからは本気でやる!ビビるなよ!」
一鬼さんは何かをするようで気合いを入れ始めた。
「うぉーーー」
だんだん姿が変わっていきライオンの獣人のような姿に変わった。
「ギルマスのビーストモードだ!」
「あれが噂のビーストモードか!初めて見た!」
[レックスが本気を出したぞ!]
[やっぱりシエル相手だと本気を出さないといけないんだな]
「待たせたな。このスキルを使うのは3回目でな。まだ変身に時間がかかるんだ」
「いえ、それよりそのスキルは何ですか?」
「これは俺のユニークスキル獣人化だ。変身するとステータスと五感が大幅に上がるぞ」
「なるほど」
あのような強化系のユニークスキルもあるようだ。
「さぁ第2ラウンドだ!」
そう言った瞬間にもう目の前にいた。先ほどまでとは打って変わって速くなっているがまだ目で追える。
攻撃はどれくらい強くなっているのか興味が湧き受け流さずに受け止めてみたがとても強くなっている。
例えで言うならトラックが突っ込んでくるような威力だ。まぁ突っ込まれたことはないから知らないけど。
「おー強くなっている。変身すげぇー」
「変身まで使ったのに平然としているお前の方がすげぇわ!」
猛攻撃をされているが対応できてしまっている。
元のステータスが倍以上離れているので変身でいくらステータスが上がってもその差を覆すことは出来ない。
「これでも駄目か。あとの事を考えたら使いたくは無かったが」
まだ隠し玉を持っているみたいだが使うと代償がありそうな言い方だ。
「身体強化!闘気!狂戦士化!」
「それ大丈夫なのかな?」
まさかの一気に身体強化系のスキルを重ね掛けし出したのだ。
それだけの強化をしたら体に負担がかかるだろう。
「これが最後だ。ファイナルラウンドと行こうか」
ズドーン!
俺は気づいたら殴られて壁に飛ばされていた。
「痛って〜」
まさかここまで強くなるとは思わず油断していたため攻撃をくらってしまった。
「まじか!あのシエルさんが攻撃をくらっているぞ!」
「蒼空たら油断したわね」
[シエルさんが遂に攻撃をくらったぞ!]
[ここから面白くなるぞー]
「どうだ!本気を出す気になったか!」
「そうですね。甘くみてました。ここから本気でやります」
油断を捨てて気絶させるつもりで行くことにした。
「身体強化」
俺も身体強化を使い応戦することにした。
俺たちはお互いパンチを繰り出しぶつかった瞬間に衝撃が起きて床にクレーターが出来たがそんなこと気にせずに取っ組み合いの試合をした。
パンチや蹴りがぶつかるたびにだんだん壁などにもヒビが入り衝撃で上も地震のように揺れ出した。
「やばいんじゃね?」
「ちょっと!このままじゃ崩れるわよ!」
「安条さん!これ止めてください!」
「ギルマス!シエルさん!止まってください!」
[レックスって本気だしたらあんなに強いの!?]
[この試合目が離せませんな」
[もっとやれ!]
ギャラリーやシュリは崩れることを恐れて2人を止めるように言っているがコメントはやれやれ!ゴーゴーっと言う感じだ。
「あのシエルとここまでやりあえるなんて楽しいな!」
「まさかここまで強いとは思いませんでしたよ!」
俺たちは周りの声が聞こえないくらい2人の世界に入っている。
「ストップ!止まりなさい!」
「あの2人の間に入れませんよー!」
「もう仕方がないわね」
シュリは周りのみんなの為にも2人の間に割って入り止めた。
「おい!今楽しんでいるだろ!止めるな!」
「周りを見なさい!ここが崩れるでしょ!」
俺たちは周りを見渡して状況を確認した。
俺たちは訓練所がボロボロになっているのを見てまずいことをしてしまったことに気づいた。
「シュリ、止めてくれてありがとうございます」
「嬢ちゃん怒鳴ってしまって悪かったな。止めてくれてありがとう」
「楽しむのはいいけど周りに迷惑をかけない!」
「「すみません」」
[怒られてやんのw]
[子供を叱るお母さんやんw]
俺たちは反省して謝った。
「ギルマス!これどうするんですか!?」
「すまん」
「すみません安条さん。あの俺も弁償しますね」
「シエルさんは弁償しなくても大丈夫です。もとあと言えばここで試合をしようと言ったギルマスが悪いので」
「いやでもシエルも一緒に試合をしたから同罪では?」
「ギルマス!反省して弁償してください!勿論自費ですよ」
「分かった」
一鬼さんはすごくしょんぼりしている。いくらギルマスでもこれを自費で治すとなると落ち込みもするだろう。
「あのやっぱり申し訳ないので少し払いますよ」
「本当か!?」
「ギ・ル・マ・ス!」
「じゃあお金じゃなくてこれで少し足しにしてください」
俺はアイテムボックスからA級の魔石を5つ取り出して渡した。
「この大きさの魔石って何級ですか?」
「A級です」
「A!?」
「いいのか?こんな貴重なもの?」
「はい。まだたくさんあるので」
「まじか。これ1つで数百万になるんだが」
「でも全然足りませんよね」
「いやこれで十分だ。ありがとう」
本当はもうちょっと渡したいが断られそうなので辞めた。
「そういえば配信を終えてないので終わりましょうか」
「そうだな」
[やっと気づいたw]
[忘れられていると思ったw]
「今回の試合は途中で中断してしまったが楽しんでくれたか?」
[面白かった!]
[レックスがここまで強いとは思ってませんでした]
[また見たい!]
本当は俺が圧勝してつまらない試合になると思っていたがいい勝負になったので視聴者も楽しめたようだ。
「楽しんでもらえたようで良かった!」
「またきちんとした場所で決着つけたいですね!」
「まだ全力のシエルと戦えてないからもっと強くなって再戦を挑みたい!」
まだ全力を出してないことに気づいていたようだ。だが一鬼さんはすぐ俺に追いつく探索者になるだろう。
それだけのポテンシャルがある。次に試合をやるのが楽しみだ。
「はい!その時はまたやりましょう!」
[それまで全裸待機します!]
[決着つける所見たい!]
「それじゃあ今日の配信は終わるぞ!じゃあな!」
[お疲れ!]
[おつです!]
「今日はありがとうな!」
「こちらこそありがとうございます」
「本当はダンジョンにも一緒に行きたかったがさっきの試合で体にダメージがあってな」
「やっぱりダメージあったんですね。普通にしていたので大丈夫かと思っていました」
(あれだけ身体強化を重ね掛けして表情に出さずにいるとかこの人バケモンだな)
「また今度ダンジョンに行こうな!」
「そうですね。その時はまたコラボお願いします!」
俺たちは話も終えて受付で別れようとした時だった。
「ギルマス!大変です!」
いきなり若い男の人がこちらに走ってきた。
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「渋谷のダンジョンの調査に行っているパーティーから連絡がありました。ダンジョンからモンスターが出てきました!」
「なんだと!?」
「本当ですか!?」
「ダンジョンからモンスターが出てくるなんてことがあるのか?」
「初めてなんですか?」
「そうだ。日本でこんなことが起きるのは初めてだ」
「しかもB級相当のダンジョンなので緊急を要しています」
B級ってことは一鬼さんでも1体相手するのが精一杯の強さだ。
そんなのがダンジョンから出てきたとなれば大変なことになっているだろう。
前にラミリアが言っていたがダンジョンからモンスターが出ているということは異常事態が起きていることになるのでモンスターの強さも本当にB級かも怪しい。
「シュリ!」
俺は安条さんと話していたシュリを呼んだ。
「どうしたの?」
「ダンジョンからモンスターが出てきたらしいです!」
「本当!?それなら急いで行くわよ」
「そのつもりです」
「シエルさんたちが来てくれるなら安心です」
「俺も行こう」
「一鬼さんは大丈夫なんですか?」
「こんな緊急時に休んでおられるか。安条!すぐに動けるやつを集めろ!俺は先に行く!」
「分かりました」
「それじゃあ行きましょうか」
「そうね」
俺とシュリと一鬼さんで渋谷に向かうことにした。




