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26話 異変

 2体のオルトロスを魔法で倒し終えた。  


「A級のモンスターを2体相手しても1人で勝てるようになってきました」

「動きも良くなってきたし空間魔法の瞬間転移も慣れてきたわね」

「はい。まだ転移したいと思っている場所と少しずれますがなんとか使えるようになってきました」


 シュリに空間魔法を教えてもらって戦闘でも使えるレベルになってきた。


 やはり転移を覚えると戦闘の幅が広がる。単純に回避で使ったり敵の攻撃が当たるギリギリの所で転移して死角から攻撃をするなど使い勝手がいい。


「練習し始めた時は転移先がめちゃくちゃだったものね」


 シュリは俺が転移の練習を始めた時のことを思い出しているのかクスッと笑った。

 

 何があったのかと言うと転移した先が壁でぶつかったり地面に立つ感じで転移したのに1メートルほど浮いた場所に転移して落ちて転ぶなどをやらかした。


「あの時に比べたら様になっているわ」

「ありがとうございます」


 ここまで使えるように付き合ってくれたシュリには感謝しかない。


「それにしてもこの階層でこのレベルのモンスターが出るなんておかしいわね」

「そうなんですか?」

「私が知っている大型ダンジョンは70階層台ならA級のモンスターでもB級よりのA級かB級上位の強さなのにオルトロスはしっかりA級のモンスターよ」


 シュリは知識が豊富なためよくいろんな事を教えてくれる。


「それくらい誤差じゃないんですか?」 

「あくまで私の世界の話だから多少の誤差はあるかもしれないわね」


 でもシュリが違和感を感じているようなので何かあるのかもしれない。


「とりあえずもう少し進んでみましょうか」


 いつもより気を引き締めて進むことにした。


 レッサードラゴン  レベル80


 HP4000/4000 MP2000/2000


 攻撃力 1640

 防御力 1650

 体力  1600

 敏捷性 1500

 魔法力 1700

 魔法耐性1650


 スキル

 火魔法6、かみつく6、ひっかく6、威圧7、硬化6、飛行6


 あれから75階層まで進んだが道中のモンスターの強さが上がっている。


「やっぱりおかしいわ。この前までは誤差かなって思っていたけどキメラクラスのモンスターが出てくるのは明らかに異常よ」


 シュリの予想通りこのダンジョンで何か異変が起きている。


「これ以上は危なくて進めないから諦めて外に出るわよ」

「え?どうしてですか?」


 まさかの判断で驚いてしまった。


「本来その階層に出ないモンスターが出る時は下層でイレギュラーが起きている場合が多いわ」

「例えばどういうことが起きているんですか?」

「ほとんどの場合強いモンスターが現れていることが多いわ。そいつから逃げてきて弱いモンスターが上がってきているの」


 A級のモンスターが逃げてくるほどのモンスターということは最低でもS級クラスだろう。

 S級クラスといったら騎乗中のデュラハン以上のモンスターがいることになる。


「可能性としてはボス部屋のモンスターが出てきてしまった場合とボスとは別の強いモンスターが生まれてしまった場合の2つね」

「それならあまり問題はないんじゃないんですか?」


 進んでいたらボスは倒さないといけないから戦う場所が変わるだけだ。


「問題しかないわ。モンスターはモンスターを捕食すると強くなるの」


 つまりボスモンスターが外に出てモンスターを捕食していた場合、強くなっている可能性があるということだ。


「かなりまずいですね」 

「そうよ。いくら私が強いと言ってもS級モンスターならなんとかなるけどそれ以上が出てきたら正直、逃げるので精一杯になると思うわ」


 シュリが逃げるので精一杯ということは相当強いのだろう。


「でもシュリは早く元の世界に戻らないといけないんですよね?それに俺も強くなってきましたしなんとかなりますよ」


 俺のレベルも90後半になり魔法も前よりも使えるようになったのでシュリと2人ならなんとかなるだろう。


「元の世界に戻るのも命あってのことよ。万が一に最下層のボスがボス部屋から出て強くなっていたら私達では死ぬわ」

「じゃあ下に行く前にレベル上げをしましょう。上に上がってくるモンスターを倒せば早くレベルを上げれますよ」


 強いモンスターを倒せばその分早くレベルが上がるからその点で見たら今の状況はピッタリだ。


「それは無理よ。時間が経てば経つほどモンスターは強くなるわ。人間がレベルを上げるよりも早く」

「それでも」

「蒼空が私のために急いでくれているのは嬉しいわ。でも命は1つしかないの。大切にしないと」


 そんなことは分かっている。でも俺にはもう一つ理由がある。


「確かにシュリを早く元の世界に帰してあげたい。それは嘘じゃないけどそれだけじゃないんです」

「蒼空はなんでそんなに先を急いでいるの?」


 実は朱音のことをシュリにまだ話していない。


「蒼空が言いたくないないなら聞かないけど無謀な事をするなら止めるわよ」

「実は・・・」


 俺は朱音のことや病気のこと、エリクサーの事など全てシュリに伝えた。


「そういうことだったのね。やっと繋がったわ」


 シュリは前から俺の様子に気になることがあったみたいだ。


「ボスのドロップ品や宝箱の中を見るたびに落ち込んでいたから何か探しているかもとは思っていたけど、妹さんの病気を治すためにエリクサーを探していたのね」


 俺が何かを探していたのは気づいていたそうだがなんでかまでは分かっていなかったようだ。


「魔法のレベルを早く上げたかったのもパーフェクトヒールを使えるようになりたかったからです」

「だから魔法についてよく聞いてきたり魔法の特訓もしていたのね」

「そうです。大型ダンジョンを攻略したいのも本当ですがメインはそっちでした」


 遂に言ってしまった。シュリは自分のために攻略を手伝ってくれていると思っていたかもしれないが、他に目的があったと知ってしまった以上、失望するだろう。


「そうだったのね。それなら先に進みたい気持ちも分かるわ。エリクサーは強いボスモンスターからの方がドロップしやすいから」


 シュリは怒りもしないで納得してくれている。


「失望しないんですか?怒らないんですか?魔法を教わっていたのも先に進みたかったのも別の目的があったからなんですよ!」


 シュリをいいように使っていたようなものなのになんで怒らないのかが分からない。


「怒らないわよ。蒼空の私を元の世界に帰してあげたいっていう気持ちは嘘じゃないのでしょ?」

「勿論です。短い間でこんなにお世話になっているのにそれくらいやらないと恩を仇で返すのと同じじゃないですか」


 俺は不義理なことをしたくないのでシュリが帰るまで手伝うつもりだ。


「蒼空の性格なら恩を必ず返してくれると思うわ。それに妹さんのためならそれ以上に優先することなんてないのだから私が2番目でも怒らないわよ」


 シュリは俺のことを高く評価しすぎだ。


「それは買いかぶりすぎですよ。俺はシュリを元の世界に帰してあげれるだけの力もないんですよ」

「でも手伝ってくれるんでしょ?」

「はい」

「ならそれで十分よ。それに恩を返さないといけないのは私の方だもん」

「最後何か言いましたか?」

「なんでもないわ」 


 最後にシュリが何かを言っていたと思うが声が小さくて聞き取れなかった。


「蒼空、妹さんが大事なのは分かるけど妹さんも蒼空のことが大事だと思うわ。それに蒼空が死んだら妹さんを救うことも出来なくなるでしょ?ここは一度諦めてもっと強くなってから来ましょう?」

「そうですね。すみません、駄々をこねるような真似をしてしまって」


 シュリに情けない姿を見せてしまった。先を急ぐあまりに後先を考えられていなかった。


「いいのよ。それにエリクサーならS級ダンジョンでも手に入れられるから一緒に探しにいきましょう」

「ありがとうございます」 

「とりあえず外に出ましょうか。私、蒼空の世界を見てみたいと思っていたの。外に出たら案内してくれる?」

「お安い御用ですよ」


 シュリにはたくさん迷惑を掛けてしまったのでせめてこの世界にいる間は楽しんで過ごせるように尽くそうと思う。


「それじゃあ外に出ますよ。転移」


 俺たちは55階層のボスでドロップした転移結晶を使って外に出た。


 転移した先はダンジョンの入り口近くの場所だった。


「うわぁ〜暑いわね」

「今は夏ですから。それじゃあとりあえず家に帰りましょうか」

「楽しみだわ〜」


 俺たちは久しぶりに家に帰った。




 大型ダンジョン下層


「ここはどこだ?ダンジョンか?ここじゃあ成功したか分からねぇじゃねぇか」


 転移先が地上ではなくダンジョンなので外の様子が分からない。


「しかもボス部屋か」


 目の前にはヒュドラがいる。


「「「「「ギャァーーーー」」」」」

「うるせぇな」


 この正体不明の人物は腕を振って風魔法を発動しヒュドラの首を2本切った。


「「「ギャーーーー」」」


 ヒュドラはすぐ切られた首を再生した。


「めんどくせぇな」


 再び風魔法で首を2本切り落として再生される前に風魔法の大技で残りの首も切り落とした。


「これで静かになったな」


 この人物にとっては蚊を殺す程度の認識でしかなかった。

 

 ドアに近づき押したが開かなかった。


「どうしような。この部屋から出られねぇじゃねえか」


 本来、このダンジョンのラスボスを倒したら外に出る魔法陣が出るがこの人物は正規の方法でここまで辿り着いていないため部屋から出れなくなってしまった。

 

「まぁいい。いずれ誰かここに来るだろう。ゆっくり待つとするか」


 出られない以上誰かが来るのを待つしかない。


「どんな奴が来るか楽しみだぜ」


 ここに辿り着く人物を気長に待つのだった。


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