22話 シュリの実力
[どういうことですか?]
[本当に異世界人なんですか?]
[ただの厨二病なだけだろ]
「嘘のように聞こえるけど本当です」
[まじか!?!?]
[シエルさんはどうやって出会ったんですか?]
「どうやって出会ったかというと得体の知れない大きいスライムに遭遇して襲ってきたから返り討ちにしたらシュリを吐き出して逃げていきました」
[スライムが吐き出した!?]
[今から女の子を吐くまでスライム狩ってきます]
[想像したら・・・]
コメント欄を見ると変態が出てきてしまった。説明だけ聞いたら同人誌に出てきそうな展開だがそういうコメントをしないで欲しい。
「そのまま放っておくことができなかったので起きるまで待ってから話したらこの世界の人じゃないって気づきました」
[なるほど]
[なんで言葉が通じているんですか?]
「言葉が通じるのはシュリが言語理解のスキルでこっちの言葉を話しているからですね」
「スキルがあっても分からない言葉もあるわよ」
「日本人の俺でも分からない言葉あるからしょうがないですよ」
[それな]
[日本って造語とかが多すぎる]
「まぁダンジョンがこの世界に現れるっていうイレギュラーがあるくらいだから異世界人が来ることもあるんじゃないですか?」
[そうかもしれないけどそんなことあり得るの?]
[証拠がないと信じられない]
確かに視聴者のコメントにも一理ある。
「みなさんが信じられないのも分かります。なので無理に信じなくても大丈夫です」
[証明してくださいよ]
[俺は信じます!]
[はっきりさせないって事は嘘って言ってるようなもん]
コメント欄は信じている人が半分、信じていない人が半分だ。別に信じてもらわなくていいと思っているのでこういうコメントは無視だ。
だが無視できない人がここにいた。
「あなたたちは私たちが嘘ついているって言うの?」
「シュリいいから」
「私だけが言われるなら我慢できるけど恩人のシエルが言われるのは我慢ならない!」
そう言ってくれるのは嬉しいがどうするつもりだろうか。
[嘘じゃないなら証明してください]
「いいわよ。やってやろうじゃない!」
「どうやって証明するんですか!?」
「私の強さを見せればいいじゃない?私は勇者パーティーの魔術師なんだから」
[それでいこう]
[魔法について説明できるって事はそれなりに強いと思うし]
「あーあー知っらない」
この日の配信は終わり俺たちはシュリの強さを証明するために50階層に向かった。
50階層に着きシュリにどうするのかを聞いた。
「私、1人でボス戦するから」
「本当に大丈夫ですか?」
「50階層くらいなら1人で十分よ」
「分かりました。でも危なそうなら俺も戦いますからね」
「大丈夫よ」
俺らは配信をつけてボス部屋に入った。
「今日はシュリ1人で50階層のボスと戦っていきます」
[50階層のボスを1人は危ないですよ]
[誰もそこまでしろなんて言ってない]
「でも1人でやるみたいですよ。みんながこの前散々煽るから」
[すみません]
[まだ間に合うからやめて!]
ちなみにボスはキマイラだ。キマイラとはライオンの頭に山羊の胴体で尻尾が蛇のモンスターだ。
キマイラ レベル80
HP4000/4000 MP1500/1500
攻撃力 1800
防御力 1650
体力 1600
敏捷性 1800
魔法力 1500
魔法耐性1600
スキル
火魔法6、風魔法6、合成魔法6、無詠唱6、体当たり7、ひっかく7、かみつく7、毒霧6
ステータスを見るにキマイラの強さはA級でも上の方だろう。厄介そうなスキルは少ないが純粋にステータスが高い。
「なんだキマイラね、この程度なら負けることはないわね」
[キマイラをこの程度?]
[見た目からしてやばそうだけど]
キマイラはシュリという獲物を見つけて攻撃を仕掛けた。
シュリは攻撃が当たる直前に空間魔法でキマイラが先ほどまでいた場所に転移した。
突然シュリが消えてしまったのでキマイラはシュリを探している。
「シエル〜どうやって倒したら信じて貰えるかしら?」
「普通に倒すだけでいいんじゃないですか〜」
「分かったわ、でも派手に行かせてもらうわね」
何気なく俺と会話しているがこの間もキマイラに攻撃されていたがそれを全て転移で避けている。
キマイラは痺れを切らしてライオンの頭部分から火魔法を発動した。威力からみて上級魔法だろう。
シュリはそれを難なくバリアで防いだ。
「次は私の番ね」
そう言うとシュリはキマイラの横腹らへんに転移した。
キマイラの蛇の部分がシュリに気づきかみつき攻撃しようとしたがそれよりも早くシュリが魔法を発動した。
「震撃」
魔法を使った瞬間に空間にガラスが割れたようなヒビが入りキマイラは血を吐き倒れた。
これが空間ごと攻撃する魔法なのだろう。
[うぉーなんだ今の魔法!?]
[空間にヒビが入ったぞ!]
シュリは魔法を使ったあとすぐに転移で距離をとっている。
「これが空間魔法か。凄いな」
攻撃の威力もさることながら転移が万能すぎる。キマイラの攻撃が全く当たらないのだ。
キマイラはふらふらしながらも立ち上がりライオンからと蛇からそれぞれ火と風魔法を構築して発動しようとしている。
「合成魔法ね。受けて立つわ」
シュリも魔法を使う準備をした。目を瞑り魔力を練っているのか集中している。
そして準備が整ったのか目を開けて言い放った
「最上級魔法、インフェルノ」
上級魔法ヘルフレイムと比べると10倍くらいの威力はありそうだ。
キマイラの合成魔法も俺が使う合成魔法と遜色ない威力なのだがシュリの魔法の方が上回っている。
[なんじゃそりゃー!]
[ヘルフレイムが可愛く思える]
シュリのインフェルノはキマイラの合成魔法とキマイラを飲み込んだ。
インフェルノが通った地面は焼け焦げておりキマイラは跡形も残っていない。
[うっそーん]
[強すぎわろた]
[倒すのに3分かかってない]
「終わったわよ」
「まじですか?」
キマイラが一方的にやられて終わった。キマイラは毒霧を吐いたり物理、魔法どちらも強くなおかつ尻尾の蛇にも気をつけないといけないモンスターだ。
なのにシュリは転移で攻撃をかわし強力な魔法で倒してしまった。
「A級相当のモンスターなんてこんなもんよ」
「そう言えるのはシュリだけですよ」
「それよりもこれを見ている人たちはこれでもまだ信じないつもり?」
[信じます!すみませんでした!]
[嘘つき呼ばわりしてすみませんでした!]
[俺は初めから信じていたけど]
疑っていた人の謝罪コメントが大量にきた。
「みんな謝っているよ」
「謝ってくれればいいのよ」
[ありがとうございます!]
[これからはシュリちゃんも推していきます!]
みんな事実を知ると疑っていたのが嘘かのように手のひらを返している。
俺は魔石とドロップ品を拾いシュリに渡した。
「それシエルにあげるわ。私に必要ないもの」
「え?でもこれA級の魔石とA級のアイテムですよ?」
〈魔晶のネックレス 等級A 魔法力+200 特殊効果 魔力消費20%減〉
「魔石があっても使わないし私にはこの杖があるから必要ないわ」
「でもステータスの数値が上がりますし特殊効果は重複するんじゃないんですか?」
「確かにステータスは上がるわ。でも特殊効果って重複しないのよ。」
「そうなんですか?知らなかったです」
てっきり武器やアイテムによるステータスの上昇は重複していたので効果もそうだとおもった。
「私の場合はこの杖の効果で魔力消費30%減でそれは20%減だから杖の効果が優先されるわ」
「そうなんですね」
「だから私よりもシエルが使った方がいいわ」
「本当にいいんですか?」
「じゃあまたメロンパンが食べたい」
シュリはメロンパンを気に入っていたみたいだ。
「そんなのでいいんですか?」
「メロンパン美味しかったんだもん」
「それなら俺が持ってる分全てあげますよ」
「やったー!」
メロンパンで喜ぶなんて可愛いすぎる。
[A級のアイテムをメロンパンと交換であげるなんて太っ腹すぎでしょ]
[メロンパン美味しいもんねw]
[A級アイテム<メロンパンw]
[メロンパン好きなの可愛い]
視聴者も同意見なようだ。
さっそく俺はネックレスをつけた。
「似合っているじゃない」
「ありがとうございます」
[イチャイチャするな!]
[ピー!リア充撲滅委員会動きます!]
そんなんではないがコメントから怒りを感じる。
「ということで今日の配信を終わります。またそのうち配信します」
配信を終わったことをシュリに伝えた。
「みんなに証明できてよかったですね」
「そうね。でも私は私が異世界人だと証明することよりも蒼空がみんなから嘘つき呼ばわれされないことの方が大事だったから証明自体はどっちでもよかったわ」
「ありがとう」
まだ出会ってまもないが1つシュリの事が分かった。それはシュリは自分よりも仲間を大事にするタイプの人間だということだ。
こっちの世界に来たときも今後の自分の心配よりも元の世界や自分がいなくなった勇者パーティーの心配をしていた。
俺は人に優しく出来る人間は報われるべきだと思っているから絶対にシュリを元の世界に帰してあげるという新たな目標が1つできた。




