10話 試練の部屋
俺はいつも通り配信をしながらダンジョンを進んでいた。
進んでいたらボスがいる階層でも無いのに大きい扉を見つけた。
「ボスがいる階層でも無いのになんでこんな大きい扉があるんだ?」
[なんの扉だろう?]
[入ってみてください]
気になったので扉に手をかけ開けようとしたが開かなかった。
よく見てみると鍵穴があり鍵がないと入れないようだ。
「どうやら鍵がないと入れないっぽいですね」
まぁ鍵がないから諦めてもいいなと思っていた時にあるコメントを見つけた。
[前に宝箱から出てきた鍵は違うんですか?]
「そういえば鍵持ってたな」
存在すら忘れていたのでコメントに感謝だ。
アイテムボックスから鍵を取り出して挿してみた。
ガチャ
「開いたな」
なんと宝箱の中に入っていた鍵はこの扉の鍵だったようだ。
「中に入ってみるか」
中に入ってみたら真っ暗だったが部屋にある松明に火がついていき部屋が明るくなった。
「特に何も無いな」
部屋には何も無くただただ広い部屋でやることも無さそうなので出ようとしたが急に扉がしまった。
俺は扉に近づき開けようとしたが開かなかった。
「閉じ込められたな」
[まじで!?]
[やばいんじゃね?]
『入場を確認。これから試練に挑戦してもらいます。』
どうやら試練があるらしい。たぶんクリアしないとこの部屋から出れないのだろう。
『試練は3つ。クリアしないとここから出られません。ですがクリアしたら報酬があるので頑張ってください。』
「どうやら試練をクリアしないと出れないみたいです」
[試練って何があるんだろう]
[頑張って!]
『それでは第1試練を開始します。モンスターを剣のみで500体倒してください』
部屋の真ん中に大きい魔法陣が描かれてその魔法陣からゾンビやオーク、リザードマンなどこれまで戦ってきたモンスターがたくさん出てきた。
「500体!?しかも剣のみってまじか!?」
[やば!]
[剣のみは鬼やな]
俺は覚悟を決めて戦うことにした。単体は弱いので余裕で倒せるが数が多すぎる。
試しに魔法を発動してみたが何も起こらなかった。
これで本当に魔法が使えないことが確定したので魔法で殲滅が出来ない。
[敵の数えぐ]
[普通の人なら秒で死ぬ]
「くそ!数が多すぎだろ!」
倒しても倒してもキリがない。モンスターに囲まれないように倒すので精一杯だ。
それから俺はダメージをくらっても致命傷を避けつつ倒し続けている。そして戦いながらあることを考えていた。
剣のみで倒してくださいってことは身体強化系の魔法なら使用ができるんじゃないかと。
「身体強化」
魔法を使った瞬間、体に力が入り強くなったことが分かった。
「やっぱり身体強化系は使えるんだな」
俺は先ほどよりも早く敵を倒すことが出来るようになり速攻で片付けていった。
『モンスターを500体倒したことを確認。第1試練を終了します。』
[すげぇ!]
[シエルさんだけで何人分の戦闘力があるんだろ?]
身体強化を使い始めて1時間が経ちやっと500体のモンスターを倒すことが出来た。
身体強化が魔力回復の指輪の回復量よりもMPの消費が少なかったため1時間使い続けることが出来た。
少し休憩をしようと座り込んだ。
『続いて第2試練を開始します。モンスターを魔法のみで500体倒してください』
そう言われた瞬間に横に置いておいた剣が消えてアイテムボックスから新しく剣を出すことも出来なくなってしまった。
そして再びモンスターがたくさん現れた。
[またたくさん出てきたよ]
[この試練、殺意高すぎだろ]
「少しは休ませろよな」
俺は立ち上がり戦闘態勢に入った。
第2試練は魔法のみでモンスターを500体倒さないといけないが魔法の方が多数のモンスターを殲滅出来るのでこっちの方が楽だ。
「魔法だったら余裕だな。まずはトルネード!」
俺は中級魔法の中でも広範囲攻撃を選んだ。今の一撃で20体ほど倒せて他に巻き込まれた10匹ほども瀕死に近い。
「次はファイヤーランス」
再び中級魔法でたくさんのモンスターを倒した。
それから何回か広範囲攻撃の魔法などを放ってあっという間に500体を倒した。
『モンスターを500体倒したことを確認。第2試練を終了します。』
[やっぱり魔法強いな]
[これを見るとパーティーに1人は魔法使いが欲しい]
500体を余裕で倒したがMPは残り100を切っている。
このあとの敵次第ではきつい戦いになりそうだ。
『最終試練を開始します。ワイバーンを倒してください』
魔法陣から1軒家くらいの大きさのワイバーンが出てきた。
最終試練に出てきたということはかなり強いだろう。
ワイバーン レベル65
HP1200/1200 MP700/700
攻撃力 620
防御力 600
体力 550
敏捷性 600
魔法力 500
魔法耐性520
正直、今の状況で勝つにはかなりきつい相手だ。
「ギャオーー!!」
叫んだだけでこちらに風が強く吹いてくる。
[でか!見た目的にワイバーンかな?]
[ついにドラゴン系のモンスターが出てきたな]
俺は出来るだけ万全な体勢にするために減ったHPを回復するのにポーションとMPは指輪に貯めておいた分を使った。
さっそくこちらからワイバーンに剣で攻撃をしたが空中を飛ばれてかわされてしまった。そしてワイバーンはブレスで攻撃をしてきた。
「アイスウォール」
咄嗟にブレスを魔法で防いだ。
「とりあえずあいつを落とさないと剣が使えないな」
ワイバーンを落とすには羽を攻撃して飛べないようにするしかない。
「アイシクルランス」
俺はさっそく撃ち落とすために羽を狙って魔法を撃った。だが簡単にかわされてしまった。
それならと俺は隠密のスキルを使いワイバーンの視界から消えて背後に回り魔法を放った。
「アイシクルランス」
「ギャ!」
ワイバーンの羽に魔法が当たり羽が破れたので飛ぶのが不安定になった。
チャンスだと思いさらに魔法を放ち撃ち落とすことに成功した。
「やっと剣で戦えるな」
俺は縮地でワイバーンに近づき剣で攻撃をしたが皮膚が硬く切り傷程度のダメージしか与えれなかった。
「硬いな」
飛ばれなければなんとか勝てると思ったがそんなことは無さそうだ。
「ギャーーーー!!!」
始めよりも大きい咆哮を上げ完全怒っているようだ。
そしてブレスをためて先ほどよりも威力の高いものを放とうとしている。
「あれは直撃したらまずい!アイスウォール、アイスウォール、アイスウォール」
ブレスに備えてアイスウォールを3重に張った。
ワイバーンもブレスの用意が出来たようでこちらに放ってきた。
威力は始めのブレスの2倍以上ありアイスウォール1枚で防げていたのが今では2枚が破られ3枚目が溶け出している。
「まずい!アイスウォール」
結局ブレスを止めるのにアイスウォールを4枚張ってやっと止まった。
[威力がやばいな]
[よく止めた!]
あんな攻撃を何回もされたらMPが持たない。
俺は再び剣で攻撃を始めた。身体強化と隠密を駆使してヒット&アウェイで地道にダメージを稼いでいる。
ある程度MPが回復したら魔法でも攻撃してまた回復待ちで剣で攻撃をしてを繰り返した。
「ギャオー!」
ワイバーンは俺にまったく攻撃を与えられないのにダメージは増えていくので痺れを切らしているようだ。
俺は時間がかかるが勝てると思ったその時だった。
「ギャーーー!!!」
再び咆哮をしたと思ったら翼の傷や体の傷が治ったのだ。
[再生もちやん]
[これは厄介やな]
ワイバーン レベル65
HP1100/1200 MP200/700
攻撃力 620
防御力 600
体力 550
敏捷性 600
魔法力 500
魔法耐性520
俺は鑑定をしてみると体力がほぼ回復していた。
だが回復でMPを相当消耗したようなのでもう回復は出来ないだろう。
俺はさっきと同じような立ち回りで攻撃を与えていったが体力と集中力がきれそうだ。
「ハァハァ、連戦続きで体力の消費がやばいな」
ここに来て初めてワイバーンの尻尾の攻撃に反応が遅れてもろに攻撃をくらってしまった。
「ぐは」
今の攻撃で30mほど飛ばされ壁にぶつかった。たぶん肋骨が折れた。
「痛ってぇ〜」
ダメージで動けないでいるとワイバーンはこちらに向かってきた。
「やばいな、動かないとやられる」
無理やり体を動かしてワイバーンと距離をとった。
「ハイヒール」
初めて回復魔法を使ってみたがこれでは痛みが少し和らぐ程度だった。
剣を握ってみたがきちんと力が入らない。
「剣での戦闘は厳しいな」
痛みで剣でのパフォーマンスは出来なくなってしまったので魔法のみの攻撃に切り替えた。
だが先ほどより早く動けないためワイバーンも魔法の軌道を読めるようでなかなか攻撃が当たらない。
ワイバーンはこちらにブレスで再び攻撃をしてきた。
「アイスウォール!」
だがMPが足りなかったのか発動しなかった。
「やばい!」
俺は急いで横に飛び転がったがブレスを掠めてしまった。
ワイバーンはこちらに余裕がないのに気づき追いかけ回してきた。
逃げながら攻撃をなんとか避けていたが気づいたら壁の方に追い込まれていた。
「はは、ここまでか」
正直、諦めモードに入っている。
[がんばれ!]
[まだいけるぞ!]
視聴者が応援をくれるが疲れとダメージそしてここから打開できる攻撃も持ち合わせていないので勝てる気がしない。
ワイバーンは勝ちを確信したような顔をして目の前でブレスを放とうとしている。
「ごめん、みんな」
そう言った瞬間だった。
『諦めるのはまだ早いです!』
どこからかそんな言葉が聞こえてきた。
『貴方が死んでしまうと困ります。力を授けるので頑張ってください』
俺が死ぬと困る?力をくれるどういう事だ?疑問しか出てこない。
『全属性魔法のレベルが6に上がりました。剣術スキルのレベルが9に上がりました。』
なかなかレベルが上がらなかった全属性魔法のレベルが6に上がり剣術スキルも9に上がった。
全属性魔法のレベルが上がったことによって上級魔法が使えるようになった。
疑問は尽きないがワイバーンがもうブレスを放とうとしている。
考えるのはあとにして俺はさっそく上級魔法を発動した。
「ヘルフレイム!」
上級魔法は中級魔法の10倍くらいの威力がありワイバーンがヘルフレイムに飲み込まれた。
[うおーー!威力えぐ!]
[窮地に立たされて覚醒してるやん!]
火が消えワイバーンが姿を現したが体が焦げておりもう瀕死の状態だ。まだ生きているのが奇跡的だ。
「トドメだ!アイシクルランス!」
たぶん放置してもワイバーンは倒れていたがきちんとトドメをさした。
「勝った!」
[おめでとう!]
[まじ頑張った!]
視聴者がめちゃくちゃ祝福してくれている。
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『ワイバーンの討伐を確認。最終試練を終了します。』
なんとか勝つことが出来た。
『試練の部屋をクリアしました。クリア報酬として称号と疾風シューズを与えます。』
報酬が貰えて閉まっていた扉も開いた。
勝ったことに安心して俺は倒れ込んで意識を失ってしまった。
『よく頑張りました。配信はこちらで切っておくので安心してゆっくり眠ってください』
意識を失ってく中でそんな声が聞こえた。




