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「いえ、大丈夫です。どうぞ先に選んでください」
嫌な予感がし、さっと離れようとすると女性が腰にしがみついてくる。
「冷たくしないでよぉー! お願いだから私におすすめを紹介させてー!」
嫌な予感は的中し、私にしがみつきながら名前も知らない女性が泣き叫んでいる。離そうともがくが、以外にも女性の力が強くなかなか離れそうにない。
「くっ、このっ、離せっ!」
仕方なく力の制御を一瞬だけ外し無理やり抜け出す。
乱れた衣服を直し前を向くと床で女性が咽び泣いている。
「……はぁ」
私はわざとため息が聞こえるようにつき女性に話しかける。
「周りの迷惑なのでそろそろ泣き止んでください。そして私によければ食堂のおすすめを教えてください」
泣き止みように促し、女性の望みを叶えるように言葉をかけると勢いよく女性が立ち上がりこちらの手を掴んでくる。
「もちろんだよ! この龍宮院柑奈がおすすめを教えてあげる。さぁ少女よこちらに一緒に行こう」
掴まれた手が引かれ食堂の注文受付に案内され、メニューを指さし説明をしてくる。
「うちの会社の食堂のおすすめはデミグラスソースのかかったオムライスで、とろとろの卵とコクのあるソースが合わさって最高なんだよ!」
この女性改め龍宮院さんはオムライスを想像しているのか幸せそうな顔をして語っている。まぁ、それをおすすめされたところで昼食はすでに済ませているから頼むことはないのだけれど。
受付で苺のショートケーキと紅茶を注文し席に向かうと、涙目な龍宮院さんもこちらに来て一緒のテーブルに着くと話しかけてくる。
「なんでおすすめしたものを頼んでくれないの。泣いちゃうよ?」
「すでに泣いているじゃないですか。おすすめを教えてくださいとは言いましたけど、それを頼むとは言ってないですよね? それに昼食はここに来る前に済ませちゃったので」
私の正論に肩を落としている。
「自己紹介がまだでしたね。私の名前は結月真白です。今日はある用事でこちらに来ました」
「ご丁寧にどうも。私の名前は龍宮院柑奈。この会社のゲームNBOの広報を担当してるんだ」
お互い自己紹介も終わり雑談していると注文が届き、お互いの目の前に注文が置かれた。確かにおすすめするだけあり、龍宮院さんが食べているオムライスはとても食欲をそそる見た目をしている。
食事も終わり雑談に戻っているが、龍宮院さんから話のネタがどんどん飛んできて話題が尽きることがなく、気づけば迎えの人がくる時間になっていた。
時間ぴったりに迎えの人が来て軽い自己紹介を済まし席を立つ。龍宮院さんに別れの挨拶を済ませ案内の人についていくと後ろから小声のつぶやきが聞こえる。
「また後で会おうねソフィアちゃん」
薄々感づいていたが、やはりNBO広報担当キャンデイの中の人のようだ。ゲーム内の性格は作っているんじゃなくて現実でもそうだったのね。
私はくすりと笑いそうになるのを抑えその場を案内の人と一緒に離れるのであった。
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現在編集作業を行っており、現状7話のボス戦まで修正および改稿済みです。




