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ガチャリという音とともに扉が開き、首から社員証を下げた男性二人が入ってくる。
「どうも初めまして、私の名前は荒井誠と申します。隣にいるのは『National Battle Online』ゲームプロデューサーの新庄孝志です。本日はよろしくお願いします」
連絡のやり取りをした荒井さんが来るのは察してたけど、まさかゲームプロデューサーも来るとは思わず、びっくりしつつも挨拶を返す。
「初めまして、ソフィアといいます。この度はお呼びいただきありがとうございます」
挨拶を終え、お互い席に着く。
「では早速ですが、会議を始めさせていただきます。今回ソフィアさんには『National Battle Online』の公式生放送にゲストとして出演していただきます。内容としてはエネミーとの戦闘を披露していただくのと、イベントの感想を映像とともにしていただこうかなと考えております」
荒井さんが会議を進行し内容を聞くが、とりあえず難しいことはなさそうで安心した。緊張はするけどどうにかなりそう。私は安心し頷いていると新庄さんから声がかかる。
「ソフィアさん、私たち運営は不正行為対策でプレイヤーたちをモニタリングしているんだが、君は戦闘の時に目の色と口調や雰囲気が変わる時があるね? データを解析しても外部のプログラムなどを用いた形跡はないためチートの類ではないと判断しているんが、よければその秘密を教えてもらうことは出来るかい」
安心しきっていると新庄さんから質問が飛んできた。
確かにゲームを運営する側としては急に能力が上がってしまうのは問題視するよね。隠すようなことでもないし、ここは素直に答えよう。
「はい、問題ないので教えれます。実は私は人間ではなく、先祖代々続く吸血鬼の末裔なんです。目が赤くなったり、口調や雰囲気が変わるのは、普段の意識を吸血鬼の状態に切り替えたときになるものなんです。ゲームの中でも目が赤くなっているのは知らなかったんですけど、吸血鬼の能力だと思っていただければ大丈夫です」
私の説明に二人が驚いている。ネット社会になるにつれ、時たま人間とは違う種族の目撃情報が出るものの、実際に会う機会なんてそうそうないしね。
しばらくし落ち着きを取り戻したのか、新庄さんが私に質問をしてくる。
「目が赤いからもしやと思ってはいたが、まさか吸血鬼だったとは驚いた。いま吸血鬼の状態に切り替えることは出来るかい?」
私は新庄さんの言葉に頷き、目を瞑り集中して意識を切り替える。
「切り替えたわ。長い間目を合わすと魅了にかかってしまうから、あまり見続けない方がいいわよ」
意識を切り替えると黒の髪は白髪になり、青い瞳は両目とも赤く輝いている。
「これだけだと吸血鬼とは証明できないし、そうね……。それ、壊しても大丈夫かしら」
そう言いながらなぜか机に置いてあった電子ルービックキューブを指さす。
「吸血鬼の能力を生で見れるなら全然かまわないよ」
了承も得れたことだし、わかりやすいのだとこれかしら。
換気扇が動いているのを確認し、ルービックキューブを持つ手から電撃を放つと、光り輝いていたルービックキューブはショートし黒い煙を上げる。
「こんなものかしらね。今回はかなり威力を抑えたけれど、マジックなどの類ではないとわかってもらえると思うわ」
「これはすごいとしか言いようがないな……。ありがとう。おかげで君が本物の吸血鬼ということがわかったよ。ちなみになんだが、生放送をその状態で出てもらうことは可能かい?」
「いいけれど条件があるわ。1つ目は私の正体をむやみに拡散しないこと。2つ目は戦闘披露の時なるべく強い敵を用意すること。これらをしてくれるならこの状態で出演してあげる」
「1つ目はもちろんだけど、2つ目の条件も了解した。それじゃあ細かい調整をしていこうか」
私は意識を切り替え、新庄さんと生放送の段取りを決めていく。荒井さんもやっと意識を取り戻し遅れてではあるものの会議に参加するのであった。
「それではこれにて打ち合わせを終了させていただきます。ソフィアさん、来週の生放送はよろしくお願いします。お疲れさまでした」
段取り決めも終わったところで会議が終了する。私はお礼を言い部屋を出て、エレベーターで1回に下り会社の外に出る。意外と時間がかかっていたようで、18時とそこそこ暗い時間になっていた。
うーん、ちょっと遅くはなっちゃうけど池袋に来たし、臨時収入もできたことだしウィンドウショッピングしつつ気になるものがあれば買っちゃおう。
その後夜遅くまで買い物を楽しみ、帰宅するころには日付が変わる手前だった。
今日はログインするのはやめて寝るとして、明日はがっつりゲームをするぞ。
評価&ブックマーク感謝です!
次回更新はちょっと遅くなって10月10日になります。




