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「真白ちゃん起きてください。ご飯ができましたから一緒に食べましょう」
優しい手つきで起こされ欠伸をしつつもソファーから起き上がると、私の鼻にとても食欲を誘う香りが入ってくる。香りの方を見ると、鶏団子と野菜たっぷりの塩ちゃんこ鍋が用意されている。
私のお腹からきゅーっとかわいらしい音が鳴り頬を赤く染めるが、照れ隠ししつつキッチンで手を洗い席に座ると愛衣はそんな私に微笑みつつ同じように席に着く。
「それでは食べましょうか。いただきます」
「いただきます」
手を合わせ食前のあいさつをした後、愛衣が小皿に具をよそってくれたため温かいうちに食べる。
私もそれなりに料理の腕に自信はあるが、この幼馴染の腕にはかなわない。
愛衣は趣味で料理教室に長年通っており、料理の専門家から教わっている腕前はその道のプロと変わらないレベルまで上達している。
お腹が減っていたためそこまで時間をかけずに完食し、そのまま机に伏せるようにだらけていると洗い物を終えた愛衣が話しかけてくる。
「おいしそうに食べてくれてありがとうございます。ところで真白ちゃん、吸血鬼の力で無理をしましたね?」
「ぎくっ、えーと、はい……」
「もう、その力は便利ですけどリスクもあるんですから、加減を間違えないでください。海外にいる真白ちゃんのお母さまからも注意するように頼まれているんですから、お願いしますね」
「はい、気をつけます」
「ふふっ、反省してくれたならいいですよ。多分ですけど、この前話してくれたVRゲームで使ったんですよね。現実じゃその力を使う機会なんてそうそうないですし」
長い付き合いがある関係なのもあるが、愛衣は日ごろから教会のシスターとして悩み相談などを受けることが多いため、こちらの心情を的確に当ててくる。だから苦手なんだよなぁ、いいやつではあるけど聖職者だし。
ずっと昔だが吸血鬼と聖職者の争いが起きていた歴史があり、今では大抵の者たちは和解しているが一部の者たちは未だに恨みあっている。
私のおばあさまが大の聖職者嫌いで、遊びに行くたびに聖職者の悪口を叩き込まれていたため、いつしかその影響を受けて聖職者が苦手になってしまった。
お母さまとお父さまはその影響を受けてないのに、なんで私は影響を受けてしまったんだろう。
「では私はそろそろ帰りますね。たまには遊んでくれると嬉しいです」
玄関でこちらに小さく手を振り、外に出ると暗い夜道を一人歩いて行った。
見送りを終え部屋に戻ると、先ほど愛衣に言われた言葉がチクチクと胸を刺激する。いくらおばあさまの影響とはいえ、小さいときは良く一緒に遊んでいたのだから克服する努力をそろそろしないといけないな。あいつとは昔みたいに仲よく遊びたい気持ちもあるし、あんなにさみしそうな顔を見たらこっちもつらい。
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次回更新は10/3になります。




