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第八十七話 結果……

「だーかーらーッ! 出掛ける時は、私に一言言ってって言ったでしょ!?」


 部屋に入ったと同時に、そんな罵声が俺に投げられてきた。俺は堪らず、目を瞑り耳を両手で塞いだ。コイツの声量は意外と大きい。怒っているのは無論、ティナだ。少しだけ長い銀髪を乱れさせて、怒声を放ったのだ。


「……わーったよ……次からは……」


「またそれ!? 今度は許しません! 私がずっとついてます! 離れたらお仕置きします! いい!?」


「は、はぁ?」


 ティナの物言いに半分呆れてしまったかのような声が出る。何故こうも拘束されるのか。それが一番理解に苦しむ所だ。そもそも、ティナに何故こんな言われなきゃならないのか。


「別にいいだろ……ちょっと外でてただけ────」


「そのちょっとで大怪我してきたの、誰?」


「……」


 多分あれだな。リューナにやられた時の事言ってるのな。あれは仕方無いだろ。ああするしかなかったし、それに最終的には和解みたいなのしたじゃねぇか。……と、弁解した所でティナが耳を貸すハズもなく、何故かティナに強引に腕を掴まれる。


「あだだだ!」


「これくらい我慢する! ほら、行くよ!」


 ムッと怒りながらも、ティナは俺の腕を掴んだまま、部屋を出る。必然的に、ティナと同行してしまうことになってしまうのが、なんだかな……。


 ……手軽な店で手軽な軽食を取った俺たちは、船について、情報を集めることにした。流石にRPGみたいに船が貰えるとか、そんな事はないとは思うが何かを成す事で海を渡れるんじゃないだろうか。


「ってこれもゲーム脳だな……」


「また一人でぶつぶつ言ってる……」


「なんでもねぇよ」


 俺の呟きに対して、腕を未だに掴んでるティナが不機嫌そうな顔をしていた。最近、俺がぶつくさと独り言を言っていると、こんな風に機嫌が悪くなるのだ。手綱というか、なんというか、ティナがよぉ分からん。


「ふーん……あっ、すみません」


 こんな調子なのだが、聞き込みをティナは始めていた。俺はぶっちゃけ眺めているだけという謎の作業。いや、作業にすらなってねぇや。ボーッとしていた。そして、ふと異質なものが……いや、トカゲのような人が視界に入る。……確かラーズとか言ったか。


「ありがとうございました。……メイさん? どうしたの?」


「いや、アイツ町には着いたんだな」


「……ホントだ。ラーズさーん!」


「あ、呼ぶのか?」


 ティナが大きく手を上げて、自己主張を行っていた。俺はそれを半目で見ながらラーズの方へと顔を向けた。……何やら見るからに元気が無さそうに項垂れているが、何かあったのだろうか……? ティナもラーズのおかしな様子を見て疑問に思っているようだ。歩き方もボチボチと効果音が付きそうな程、遅い。


「あ……あんら……俺っち……どうしたら……」


「海に飛び込めばいいじゃねぇか」


「何をどうしたらそうなるの!?」


 俺の言葉にティナが声をあらげて突っ込んでくる。提案を出しただけだというのに、ティナの予想外に大きなリアクションで少しビクッとしたぞ。


「……それに代わりない事なんでよ」


「おお、当たった」


「なんで!?」


 またもティナの大きな声が町に響き渡る。いくら人通りが少ないとはいえ、全員が全員、建物の中にいるわけでもないし、仮に居たとしても近所迷惑じゃねぇか。


「実は、俺っち……ここの海上安全委員に報告したんだけども、今度は俺っちが化け物を退治してこいって言われて……」


 話していく度に声のトーンがずんずんと下がっていっているので本当にやりたくない事なのだろう。なるほど、つまるところ海上安全委員に話をしたはいいが、魔物退治なんて専門外のコイツじゃ荷が重すぎっつうことね。


「そこであんらの出番さ!」


「は?」


 俺は呆気に取られるような声を出して、ラーズの言葉に顔をしかめる。何が出番なんだと、嫌な予感がプンプンとしながら、話の続きを聞いてみる。


「あんら、旅してるってことはそこそこ腕はたつんだろ? ならさ! どうぞ俺っちの為に……」


「断るッ!! んなもん国に頼めッ!」


「……」


「なんだその顔……俺とティナは降りるからな!」


「え、私も……?」


 俺はラーズの言葉に断固反対し、そのラーズはというと笑顔が硬直した状態で俺の方を見てきている。……そして、時間が経つと、どんどんと顔が青ざめてきてくる。


「……そこを……!」


「断るッ!」


「なんとか……!」


「絶対駄目だ!」


 コイツは何を考えてんだ!? 普通に討伐ギルドに……!


「んなもん討伐ギルドにでも頼めッ!」


「頼んだけど人は多い方がいいじゃないすかぁ!」


「済んでただと!? んじゃあ頼むんじゃ……っていででで!?」


 ずっと否定してきた俺の腕が壊れそうな程の痛みを伴った。ティナが握る腕が真面目に痛い。……てかティナが力を入れてるのか!?


「駄目だよ。こんなに頼んでるじゃない」


「……ティナさーん……まさかとは思うがお前……」


「ラーズさん、私で良ければ手伝い────」


「わーった!! 俺がやる! お前は来るな! コメットの世話しとけ!!」


「ホント!? うっしゃー!」


 ……結果、こうなった。

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